新都社作家の小説の書き方アンソロ自慰
ムラムラオ編
ふと、小説を書いてみようと思ったと仮定しましょう。
なんとなく、です。書きたいと思ったら、すぐに書ける。それが小説です。
原稿用紙を広げ、鉛筆を手に取る。またはパソコンでワードエディタを起動させてください。
これで準備完了です。あとはあなたの思うがままに筆を走らせ、キーを叩いてください。
ただ、これだけのことなのに。どうして小説には面白さの差が出てくるのでしょう?
とても、とても興味深いことだとは思いませんか?
それでは、ここからは個人的に考える「小説の書き方」を紹介したいと思います。
書き方、なんて呼べるものじゃないかもしれませんが。
1 読み手を考える
あなたは、誰かにその文章を「読んでもらいたい」と思って書いていますか?
もし「これは誰にも見せない。自分の、自分による、自分のための小説だ」と、いうのであれば
これ以降の文章を読む必要がありません。なぜなら、そのようなタイプの小説に「書き方」など必要ないからです。
あなたはなぜ小説に「書き方」があるのだろう。と、考えたことがありますか?
理由は簡単。他人に読んでもらうからです。他人に公開するものだからです。
人間は言語を使います。その言語には、文法というものがあります。
これがとても大切なものだということは、日常的に言語を使っている人なら誰しも知っていることでしょう。
文法を守って言葉を話さないと、あなたの話を聞いている人はあなたの話を理解できません。
もっと言えば、聞こうという姿勢すら持ってくれないでしょう。
「私 昨日 町 遊ぶ」
極端な例ですが、こういう話し方では聞く耳を持ってほしいと土下座しても持ってもらえません。
小説でも同じだ、と考えてください。
「書き方」のルールを守れていなければ、中身がどんなに面白くても、読んでもらえないことがある、と。
それでは、ここからは具体的に小説の書き方について、つらつらと述べていこうと思います。
が、基本的なことは「小説 書き方」と検索して弾き出されるサイトを参照した方が早いと思います。
それらのサイトに書いてある基本事項を、一通り読みこむのがベストです。
逆に、それらのサイトにかいてある文章量すら読みのが苦痛ならば、あなたは小説を書くことに向いていません。
では、ここで見落としがちな点を一つ挙げたいと思います。
2 漢字の使い方~常用漢字を目安にしておく~
馬鹿にしているわけではありません。
が、俗に言う「読みにくい小説」のほぼ9割方がこれに当てはまるので書きたいと思います。
あなたは常用漢字、というものを知っていますか? おそらく耳にしたことはあるでしょう。
常用漢字とは、国が「日常の使用に必要なものとして選んだ漢字」のことをいいます。
義務教育の学習指導要領では、この漢字しか教えられません。
つまり、日本国民の一般人は常用漢字ならば読めますが、それ以外だと読めない場合が出てくる、ということです。
もしあなたが何か小説を読んでいて、そこに書かれているほとんどの漢字が、初見だと仮定しましょう。
見たこともない、むつかしい漢字が所狭しと並んでいます。もちろん、それぞれには一応丁寧にルビがふってあります。
あなたはそれを読みやすいと思いますか? わざわざ自分の時間を使ってまで、読もうと思いますか?
もう一つ、漢字の使い方で注意しておきたいことがあります。
次の文を見てください。
「僕は昨日、仕方無く彼女の家迄行って、暫く待った」
「僕は昨日、仕方なく彼女の家まで行って、しばらく待った」
上の二つの文章、どちらが読みやすいでしょうか?
あなたはどちらの文章を、数百ページにわたって読みたいと思いますか?
小説を読むという行為は、実はとても頭を使います。あなたは小説を読むとき、必ず場面・情景を頭の中に浮かべているはずです。
面白い小説というのは、すんなりと文章が頭の中に入ってくる感覚を覚えます。そんな経験をしたことはありませんか?
小説を読むとき、あなたは紙に印刷された文字を「目」というデバイスで読み取っています。
読書中はこの「目」を常に稼働させているわけです。
もし読み取りに障害が発生したら、その効率が下がるようなことが発生したら、どうなるでしょう。
あなたはきっと、言いようもない不快感を覚えるでしょう。あくまでも無意識のうちに。
「なにが書いてあるのか、わからない」
これは、とてつもなく大きなストレスになります。
日本語で書いてある文章を、日本人が理解できないのです。
そんな文章を、数百ページにわたって読みたいと思いますか?
自分の時間を使って、読みたいと思いますか?
人間は、楽を求める動物と言われています。
あなたが小説を読むとき、買うとき、何かを求めているのは間違いないでしょう。
冒険活劇を読んで、まるで世界を旅したような気分に浸りたい。
失恋体験談を読んで、同じ境遇に共感したい。自分をなぐさめたい。
様々な目的があるでしょう。
ですが、それを達成する前にイライラしてしまってはどうしようもありません。
天国で娯楽を楽しむはずが、地獄で針の数を数えていた、なんてことになってしまっては元も子もありません。
そんな小説を、あなたは読みたいですか?
そんな小説が、読んでもらえるとあなたは思いますか?
3 何を書くのかを、決める
1・2では普遍的なルールについて触れてきました。
大げさに言えば「人を殺してはいけません・物を盗んではいけません」ということと同じことです。
これから述べることは、決して普遍的なルールではありません。
例えるなら、トランプのゲームの一つ「大富豪」のようなものです。
このゲームに数え切れないローカルルールが存在するように、小説の内容についても様々なアプローチが存在します。
それらは大抵、ジャンルごとに分けられています。ジャンルごとに適切な書き方があるのです。
ですが、ここでは扱いません。あまりに膨大で、とても書くことができないのです。
それに、間違ったことを書いてしまうかもしれません。
自分の中で曖昧なことを書こうとするのは、とても危険なことです。
ですから、ここでは触れません。他の文献に、よりジャンルに特化した書き方の説明があるでしょう。
あたり前のようなことをつらつらと色々書いてきましたが、一貫して言えることを一つだけ書いておきます。
「読者を考える」
誰かに読んでもらう小説を書く以上、これだけは忘れないでください。
逆に、これさえ忘れなければ、あなたも今日から小説家になれます。
頑張ってください。武運を祈っています。