Neetel Inside ニートノベル
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わが地獄(仮)
虫歯

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 虫歯ですね、と歯医者に言われた。削ってきますけど広がってるんで、何度か来てください、と女医に言われて俺はハイ、と頷いた。やけに顔面の骨にまで響く痛みにいらつきながら、家に帰って彼女にライン。虫歯になったあ、と顔文字つきで言ったら、
『え、じゃあキスとか出来ないじゃん』
 と、すぐに返信がきた。それからすぐに『ない』と二文字。何が無いのか考えているうちにさらに着信、『別れよ』。それから何を送っても返事は無かった。確かに、俺はようやく就いた仕事が忙しくって、アパレル関係の店に勤めている彼女と会うのは二ヶ月に一度くらいになっていた。でもしょうがない、仕事なんだから。俺は仕事のためにいろんなことを諦めた。空手もやめたし、バイクも売った。お金を溜めて彼女と暮らす部屋でも借りようかなんて思っていたこの俺が、フラれた原因は虫歯ときた。確かにそうだ、久々に会った彼氏に歯を黒ずみにされるために休日をふいにする女性はいないだろう。そのことにはひどく納得したが、俺の災難に関係なく痛み続ける歯も、鏡に映る青ざめたひげづらも、なんの責任も取ってくれず、俺には何も残らず、本当にこの世の中はなんの面白味もないのだな、と思った。








       

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Neetsha