Neetel Inside ニートノベル
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わが地獄(仮)
理論上幸福

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 もう十年以上、異世界に転生し続けている。
 最初はバイトが嫌だったから。いつもいつも俺が悪者にされていたから。
 生きるのが上手なだけのイケメンばかり人気者で、俺ばかり異常者扱いだったから。
 そんな世界に用はない。
 だから俺は異世界に転生して、気に入らないやつを片っ端からぶち殺した。
 今でもぶち殺すことにしている。
 すべての敵対勢力を最初に殺してしまう。そしてそれを褒めてくれる女どもをひとつまみ。それだけで安眠は確実だ。
 なのにいつも、そこで夢が終わってしまう。
 俺に歯向かうゴミどもをぶち殺したあとの理想世界の物語がちっとも頭に思い浮かばない。なんでもできるし、どこまでも俺の世界なのに。
 異世界転生は逃避だ。だが、立ち向かうだけの価値が現実にあるか?
 ある、というのは簡単だし結構なことだ。逃避はなんの意味もない。そうかそうかという感じだ。それで追い詰められてドカンと爆発してなんの意味がある?
 生きるために逃げることが必要なら、逃げるべきだ。呪的逃走。すべてをかなぐり捨てて逃げて初めて助かるものもある。火事のときはおかしもと学校で習った。おさないかけない喋らない戻らない。そう戻らない。現実なんていう燃え盛る地獄に戻ってどうする。煙に巻かれて死にたいのか。
 俺は嫌だ。
 だから、最近は竜族の王に転生して、自分を神様と崇めるペガサスナイトとかウルフナイトとかに囲まれて暮らしている。もうすぐファイアーエムブレムの新作が出る。ソラネルという島で俺は自由に暮らすのだ。敵対者はすべて抹殺する。存在させてはおかない。
 そのあとは?
 いつも、そのあとがない。マインクラフトで鉄装備まで整えたあとみたいだ。なんのドラマもない。それこそが平和だからかもしれない。
 平和な世界に俺の居場所がなぜかない。
 戦うべきか。戦ってどうする? 得られるものなど何もない。
 戦い方も忘れてしまった。
 何を信じればいい。











       

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Neetsha