番外:学園編
登場人物
・黒木瞳
物静かなクールビューティー
・竹下卓也
通称たけぼう。趣味はパソコン。
・智一
たけぼうの唯一無二の親友。
・新谷
やんちゃ坊主
僕の中学での立ち位置。どこにでもいる。目立たない。
友達も少ないの三拍子揃ってる。いやゆる負け組的位置だろう。
それは、中学三年に上がる一か月ぐらい前。この時期に転校生が来た。
肩ぐらいまである黒髪。西洋のアンティーク人形のような整った顔。
僕とは到底釣り合わないであろう部類に属す子だ。
彼女は転校初日から大人気。特に群れをなしてイケイケのやんちゃ男共が
群がっていた。僕はそれを見ていることしかできなかった。だけどそれも
彼女が誰も寄せ付けないためか二三週間したらその熱も冷めていった。
そして、何もないまま三年生。
僕は数少ない友人である、智一とお昼を食べていた。この学校に給食はない。
なので弁当である。僕らは肩を寄せるように隅で食べる。これが弱者のスタイルだ。
「たけぼう、あの子気になってるんだろう。」
僕の名前は武下卓也。皆からはたけぼうと呼ばれている。
「痛いとこつくな。たしかにそうだけどさ。」
彼女のほうに目線を向ける。物静かに本を読んでいた。何気なく髪をかきあげる仕草が
妙に色気があった。
「たけぼう、がん見しすぎだろう。」
智一が笑いながら言う。
「別に見ても減るもんはないだろう。」
僕はそう言い返す。
懲りずに今日もヤンキー新谷が黒木さんに近づいていく。
止めろ、やめろ、その空間を乱すな。
心の中で呟いていたつもりだった僕の言葉は
その日に限って口にでてしまっていた。
「あぁ?なんだ。竹下?お前今なんかいっただろ?」
それは最悪なことに新谷の耳に入っていた。絶対絶命だ。
だけど、神は僕を見捨ててなかった。
「新谷君、確かに私も静かに本を読みたいの。頼むから目の前から消えてくれない?」
彼女の口から発せられた明確な殺意にも似た言葉。新谷はその言葉と圧に耐えられず。
何も言わずにその場を去って行った。
「すごいなあ。黒木さん。」
智一が感心している。僕も感心している。黒木さんはとてつもなく強かった。
マーキング!
番外編_01 学園編
だけどそれはその場限りの凌ぎで、世の中はそんなに甘くなかった。
放課後、僕は案の定呼び出され、ぼっこぼっこにされたわけで。
顔は目立つからと言う理由から何発も腹に食らわされる始末です。
「くそっ、まじでむかつくぜ!お前みたいなやつはいなくてもいい。」
蹲る姿勢の僕に罵声を浴びせながらもなお何発も蹴りを入れる。
嗚呼、なんでかな。なんで僕はこんなにも弱いのだろうか。
新谷はある程度満足したのか、ぐったりしている僕に唾を吐きかけて
去って行った。
「大丈夫か?」
智一が後ろから僕を支える。僕らはこうやって支えあって生きるしかない。
僕だって新谷にやられている智一を助けることはできない。ただ見ていることしかできない。
だから、僕は見ているだけだった智一を責めるなんてことはできやしないんだ。
「ごめんな。ごめんな。」
智一が申し訳なさそうにそう言った。
「智一は悪くないよ。いったい何が悪いのかは僕にも分らない。」
新谷が悪い。本当はそう言いたいさ。でも勝てるわけない。勝てない戦は
しない主義なんだ。
「新谷の野郎。絶対許さない!」
智一が僕の代わりに怒ってくれる僕はそれだけでも救われた。
僕はよろよろと支えられながら立ち上がると、荷物を取りに
教室へともどった。
「あっ…。」
教室に入った瞬間僕は、黒木さんと目があった。彼女はまだ残っていたのだ。
「ごめんね…。」
彼女は僕にそう言うと、走る様に教室から去って行った。
真横を通り過ぎる時にふわっと揺れる髪からはほのかに甘いシャンプーの匂いがした。
「俄然やる気が出た。」
僕は、痛みなど吹っ飛ぶほど舞いあがった。彼女は僕がこうなることを予期していたのだろう。
「いい匂いだな。」
智一もどうやら同じ気持ちだったみたいだ。僕らは、帰り道もっぱら黒木さんの話で盛り上がった。
放課後、僕は案の定呼び出され、ぼっこぼっこにされたわけで。
顔は目立つからと言う理由から何発も腹に食らわされる始末です。
「くそっ、まじでむかつくぜ!お前みたいなやつはいなくてもいい。」
蹲る姿勢の僕に罵声を浴びせながらもなお何発も蹴りを入れる。
嗚呼、なんでかな。なんで僕はこんなにも弱いのだろうか。
新谷はある程度満足したのか、ぐったりしている僕に唾を吐きかけて
去って行った。
「大丈夫か?」
智一が後ろから僕を支える。僕らはこうやって支えあって生きるしかない。
僕だって新谷にやられている智一を助けることはできない。ただ見ていることしかできない。
だから、僕は見ているだけだった智一を責めるなんてことはできやしないんだ。
「ごめんな。ごめんな。」
智一が申し訳なさそうにそう言った。
「智一は悪くないよ。いったい何が悪いのかは僕にも分らない。」
新谷が悪い。本当はそう言いたいさ。でも勝てるわけない。勝てない戦は
しない主義なんだ。
「新谷の野郎。絶対許さない!」
智一が僕の代わりに怒ってくれる僕はそれだけでも救われた。
僕はよろよろと支えられながら立ち上がると、荷物を取りに
教室へともどった。
「あっ…。」
教室に入った瞬間僕は、黒木さんと目があった。彼女はまだ残っていたのだ。
「ごめんね…。」
彼女は僕にそう言うと、走る様に教室から去って行った。
真横を通り過ぎる時にふわっと揺れる髪からはほのかに甘いシャンプーの匂いがした。
「俄然やる気が出た。」
僕は、痛みなど吹っ飛ぶほど舞いあがった。彼女は僕がこうなることを予期していたのだろう。
「いい匂いだな。」
智一もどうやら同じ気持ちだったみたいだ。僕らは、帰り道もっぱら黒木さんの話で盛り上がった。