Neetel Inside ニートノベル
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死人延長線
第一話 【命日】

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皆知らないと思うが僕は熱い人間である

それが仇となって命を落としたからきっとそうなんだろう

僕も知らなかった

こんなにカッコいい死に方ができるとはな







今日の僕は目覚めが良かった

いつもなら遅めに起き、たまには遅れても良いだろうと昨日も思ったようなことを

考えつつ全力疾走で学校まで走って行くのが日課だった

しかしその日は二時間の余裕を持ち目覚めた

大変気分がよかったので翌日もっと長く睡眠をとれるように脚力を鍛えようと

近くの河沿いをゆったりと走ることにした

僕は走るのが好きなのかもしれない開始五分で吐き気がしたが

すれ違うスパッツお爺さんと微笑みを交わし近くのコンビニで飲み物を買おうと

入って時計を見たらいつもの起きる時間になっていた

結局その日も遅刻をしてしまった畜生

授業を中断してまで起こる英語教師に憎しみの炎を燃やしながらふと視線を横にやると

愛しの九根田 理子(くねだ りこ)さんがこっちを見て悲しい顔をしていた

そんなに勉強する子では無いのだがよっぽど授業を中断されたのが嫌だったのだと思い

すさまじい勢いで英語教師に謝り授業を再開してもらった

席に座り教科書を取りに行くふりをし、窓側の一番後ろの席にいる理子さんのかおいろを窺ったが

いつもの涼しい顔に戻っていた 安心した

ここまでが僕の命日の朝の出来事でした




     

どうして梅干しはこんなにうまいのだろうか?

姉が朝作ってくれた昼食用のおにぎりに感激しつつ昨日購入した

【男から漢になるためには】という本を読んでいるとクラスメイトの

木野 亮太(きの りょうた)が話しかけてきた

「理子さんとは何か進展はありましたかな?」

小馬鹿にしたような口調で喋る彼女は亮太という男子っぽい名前ながらも

クラスで2位3位を争うほどの可憐な女子である

当然一位は愛しの理子さんだが!

「進展も何も眺めるので精一杯だ」

「うわっキモ」

「やかましい、あと冗談でもキモと言われると泣きそうになるやめて」

「ごめん」

「ありがとう」

彼女は何故か僕が理子さんの事を好きでいる事を知っている

しかしその事を馬鹿にせず・・・小馬鹿にはするが色々と助けてもらっている

理子さんには多分親しき仲の友人はいない

亮太が言うには嫌ってる人がいるわけでもなくむしろ友好関係を持ちたがっている人が多いらしい

しかし理子さんは話題を持ちかけても

「すいません、よく解りません」

とバッサリと会話を切るらしい

そのお陰で頭の悪い男が近寄らないから良いが

惚れた


     

がしかし亮太は持ち前の明るさで一度だけ理子さんにガンガンと質問攻めをした時がある

あの時は危うく亮太の男らしさに惚れかけたが質問攻めしている亮太を興味なさそうな目で見ている理子さんを見て惚れなおした

その時聞き出した内容でどうにか僕と理子さんの仲を真剣でピュアなお付き合いにしようと頑張ってくれている

きっと女子はこうゆう話題が大好きなんだろう感謝

「で、お前はどうしたいんだ」

亮太が聞いてきた

「ハッキリ言って今日はもうお腹痛いから帰りたい」

痛い殴られた

「お前なぁ、そんなにゆっくりしてていいのかよ!理子さんはかなり競争率高いんだぞ!」

「知っているがどうすればいい?」

「告れ!!」

おぉふ・・・



     

告白をすることは別にいい

しかしこの恋が実ってほしいと言ったらそうでもない

いや、健全なお付き合いはしたいけどもそこまでってわけじゃない

理子さんに限って付き合ってくれそうもないし

ただ理子さんのことが好きなだけなんだ

「なんだそれ!そんなんでいいのか?」

「いいんでない?」

「・・・」

亮太には本当に世話になっている

がしかし俺も男の子だ

恥ずかしいしフラれた時のダメージは目に見えるほど凄まじい

きっと仮面ライダーコーカサスのライダーキックに匹敵するぜ

「・・・男らしくねぇな」

「知ってる、そもそもなんでそんなに手伝ってくれるんだ?恋のキューピッド的なアレか?」

「そんなんじゃねぇよ、ただ…」

亮太はうつむき黙ってしまった

後ろから亮太の友人グループに睨まれてる

ごっつ睨まれてる

なにこれこわい

     

その時

理子さんが席を立った

理子さんは昼食を食べ終わるといつもどこかに行ってしまう

一度ついて行った時がある

亮太に無理やり引きずられながら

あの時おにぎりの梅干しを落としてしまったんだ、畜生

しかし屋上前のトビラでいなくなってしまった

亮太はその時屋上から飛び降りたと思ってパニックになっていたが普通に教室にいた

さっきとは違うお弁当を食べていたという事があった

それからも何度か後をつけていったがいつも屋上前のトビラでいなくなってしまう

摩訶不思議だ

理子さんが教室を出ていつものトビラに行こうとした瞬間

うつむいていた亮太がいきなり理子さんの細い手を掴んで

「今日の放課後!!体育館裏で待ってて!!コイツ言いたいことがあるって!!」

「なにをっッ!!」

そう言おうと思った瞬間痛い殴られた

一瞬理子さんはハッと驚いたがまたすぐ真顔に戻って

「解りました」

そう一言だけ言い、亮太が掴んでいる腕をゆっくりほどき

またいつも通り教室を出て行った

いつもなら告白するであろう呼び出しの誘いを

「嫌です」

と一言なのにまさかの了承を得た

クラスメイトもざわ…ざわ…と驚いている

亮太の方を見てみると、やっちゃった?と言わんばかりの顔をしていた

なにしてくれるんだ畜生

     

時は放課後

理子さんは待っていてくれた

俺は亮太と共に少し様子を窺っていた

しかし待たせるのもなんだかアレだし行こうとした

亮太に袖を掴まれた

「なんだっ!早く行かなくては」

愛しの理子さんが僕の時だけ呼び出しに答えてくれたのが嬉しくて僕のテンションは上がっていた

「…ッ…がんばってね!」

なにかやるせない様な顔をして亮太は俺の背中を押した

きっと俺がフラれて傷つくだろうと気を使ってくれたのだろうが大丈夫だ問題無い

「逝ってくる」

俺は小走りで体育館裏の暗い日影で待っている理子さんのもとへ行った

「ごめん、待った?」

「はい」

…すいませんでした

「…」

少しの沈黙、やばい何て言えばいいのか?

そんなことは決まっている、この僕の気持ちを言えばいい

「理子さッ!」

「立ち話もなんですし歩きましょう」

ん?なんかおかしくないですか?

「そ、そうですね!帰り道こっちでしたよね、奇遇ですね!僕も同じなんですハハハ」

さらりとストーキング発言

「そうですか、ではいきましょう」

振り向くと木陰で隠れていた亮太がハッとした顔をしてピューっと違う場所に隠れた

体育館の陰から出てきた理子さんと僕の距離感は一緒に帰っている感じの距離感だった

かつて理子さんに告白を試み散っていった部活中の男子たちが信じられないと言った顔をしている

中には膝から崩れ落ちる奴もいた、そう理子さんとはそれほどの人なのだ

他の男子たちにドヤ顔を披露しつつ校門を出た、亮太は忍びのような身のこなしでついてくる

しかしなんだ

凄く嬉しい、ただ好きな人と歩いているだけの事がこんなに嬉しいとは

今日死んでも良いぐらいだ



     

僕と理子さんは歩いた

僕の家は当然スルーした

もうかれこれ20分は無言だ

理子さんの家は学校から15分の僕の家からさらに40分歩いた所にある

故に理子さんは普段自転車通学なんだが何故か今日は徒歩だった

しかしそんなチャンスを僕は20分無駄にしている

横断歩道の近くで僕は決心をし話題をふった

「理子さんの家ってどこにあるんですか?」

「?…私の前を歩いているので知っているのかと思いました」

しまった

亮太に調べてもらった理子さんの家を目指して歩いたが今日話したばかりの奴が家知っているとか怪しすぎるだろ

しかもこんな話題から話していたら告白に繋げるのはほぼ無理だ

「いえ、友人から理子さんの家が僕の家に近いと聞いていたから歩いてきたんですがここからは分かんないんですよ」

「そうですか、では此方です」

焦ったが何とか事無きを得た

……まて、このまま行くと理子さんの家に行くことになるのか!?

告白(まだしていないが)した日にそのままお呼ばれ!?フヒヒ!

などと脳の中が暴走し始めた瞬間

携帯が鳴った

ついでに着メロは笑点のテーマだ

「ッっ!!」

おお

理子さんが思わず笑った

小刻みに震えている、そんなに笑点がツボだったのか

大変可愛らしい

     

電話の主は亮太だった

「ちょっとすいません」

理子さんに断りを入れて電話に出た

「なんだすか」

「…………」

「…?亮太?」

「………」

「冷やかしか?今とても大事なとこなん」

「好きです」

「何が?」

そう答えた俺はバカだったんだろう

理子さんは下を向いて歩みを止めなかった

その時信号は赤だった

全てが唐突だった

クラクションが鳴った瞬間俺は一つの出来事を理解し

理子さんを突き飛ばした

俺も突き飛ばされた

そして二つ目の出来事を理解した

轢かれた

俺が

そこまで考えた後

めのまえが まっしろになった

       

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Neetsha