Neetel Inside ニートノベル
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死人延長線
第三話 【帰路】

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『でも、出来たらで良いからたまには顔を見せに来いよ』

と、割と簡単に理子さんの家にかくまってもらう事になったが

…これは凄まじい事なんじゃないのか!?お泊まりだぞ!!

それはもうなんと言うのか…それはDOU☆TEIの僕的にはとても盛り上がる展開であろう

しかし嬉しい事なのだが納得がいかない

まず記憶の話、僕はしっかり覚えている理子さんの事も姉の事も亮太の事も他の友人の事も

今ならネット友達の名前も言える気がする

しかし周りの人間が自分の事を忘れるという事がまだ実証されてない

理子さんは姉に僕の記憶が残っている事を代々木さんに聞くと言っているが信じていいのかは解らない

ついでにさっきツギハギをいじってみた

なんと本当に地肌に縫ってあった

さらに痛みも感じなかくなっていた

コタツの脚に小指を強打したが物ともしなかった

グロが苦手な僕はフラリときたが姉にバレぬように其処は堪えた

チラリと肉が見えたが血も出なかった

やはり身体機能は停止しているようだ

思い出したら気分が悪くなってきた、痛みは感じなくなっていたが気分は悪くなるようだ

つまり僕の体は理子さんが言ったように半分だけ生き返ったらしい

     

姉の了承を得て何時か解らない夜道を歩いていた理子さんと僕は歩いていた

理子さんの家はもうちょっと先にあるコンビニの横にあるらしい

一日に会った事を振り返ったり色々な事を考えていたら理子さんがくしゃみをした

「ヘっッッチ!!(高音」

くしゃみが異様に可愛かった事は置いておいて理子さんの正体も気になった

「理子さんって死神なんですよね」

「はい」

「やっぱり時給とか高いんですか?」

何を聞いているのだ僕は

「いえ、死神というのは生まれもった者なので御給金はありません御布施はありますが、生まれたその時から私は人々の死を扱ってきました」

「へー大変ですか?」

「はい、命の火を消すという行動自体は簡単なのですが簡単だからこそ今回のようなミスが起こってしまうのです」

簡単なんだ

ふと携帯を持ってきたか確認をした

そうだ、友人に電話をしてみよう、皆が自分の事を覚えているのか確認はしてみないといけない

携帯を開き電話帳を開いてみた

…あれゑ?電話帳が姉と亮太しか残っていない

何故

     

「どうかしましたか…?」

「あぁいや、なんか電話帳が…あれぇ?」

轢かれたときに壊れた?ナンテコッタイ

「失礼」

理子さんに携帯を取られた

「何をッ!?」

「…これは多分…記憶が関係してますね…しかしこんなケースは…」

「どういう事ですか?」

「もしかしたらここに書いている人なら貴方の事を覚えているかもしれせん…」

「何、そうなんですか?だから姉は覚えていたんですか?」

「…すいません、こんなケースはほぼ無いのでよく解りませんが多分そうです」

じゃあ亮太も…?でも何で姉と亮太だけが覚えていてくれたのだ?

「あっ、じゃぁこの件も含めてあとで代々木さんに聞きましょう、つきましたから」

「え?あぁ…」

目の前にはごくごく普通の一軒家があった

ここが理子さんの家、死の神様の家らしい

普通だ

しかし理子さんの家だというだけで何とも言えない

多分この心の声が聞かれていたら通報レベルだろう

     

「おっ、おじゃまします!」

「誰もいませんよ」

!!?

「どうぞこちらに」

衝撃の事実を聞いてしまったが誰もいないらしい

…誰もいないらしい!

死神だから家族はいないのか?だからと言って理子さんほど可愛らしい人が一人暮らしとは…

しかし僕はそこいらの低俗かつ下品な男子共とは違う

今この状況は理子さん的にはこれまでに無い状況だ、その当事者は僕なのだから真面目に真剣に今を考えよう

リビングはとても質素だった、丸い机に椅子が二つ

理子さんはいつもここで生活をしているのか、せめてテレビがほしいところだ

「それでは今の状況を整理しましょう、座ってください」

「…はい」

二人丸い机を囲む形で椅子に座った

「今日貴方は私のミスで乗用車に轢かれて死にました」

「はい」

「しかし貴方の死は未来の多大なる人の命を左右するあってはいけない死でした」

「らしいですね」

「なので代々木さんに命を戻してもらい私が体を修復し、ひとまずゾンビのような形で生き返りました」

ゾンビ言うなし

「しかし生き返ったのは半分、身体機能の大半は動かず、一番難解な貴方についての記憶が人々から消えてしまいました」

「ちょっと待ってください、その記憶が消えたという事がまだ実証されて無いんですが」

現に姉やさらに亮太の記憶もあるらしいではないか、いまさら信じないとは言わないが

「それは…私にもよく…」

うつむいてしまった

しばし沈黙

     

気まずい

「い、いやぁでも二人だけでも僕の事を覚えているって事がわかっただけでも良かったですよ!いやマジで」

「あぁ、言い忘れていましたが貴方は明日から転校生として学校に行ってもらいます」

「うへぇ!?なぜ急に?」

「クラスメイトの皆さんは貴方の事を忘れています、ですからもう貴方のいない生活になっているのです」

あぁそうだった、そうか忘れているからね、なるほどなー

「あっ…」

ん?理子さんがまたうつむいてしまった

「どうしました?」

「ごめんなさい…ごめんなさい…」

消えてしまいそうな声で理子さんは僕に謝った

改まってどうしたんかな―と思ったら

僕は涙を流していた

あれ?何故?よく解らない、忘れられているのが悲しかったのだろうか

どうした僕

条件反射ってやつか

今日僕は告白をしようと理子さんのもとに行き、死んだ

そんな僕は生まれ変わり人々の記憶から消え去り(一部を除く)もう一度人生をやり直す

そんな事体験した事は無かったがきっとそれは悲しい事らしい

「何でだろうなー…」

生き返ったのだ、もう一度やり直すだけだ

理子さんが覚えていてくれる、姉が覚えていてくれる、亮太も覚えているらしい

きっとこれは良いことだ

理子さんに責任を感じさせるな僕

しかし僕は訳もわからないまま涙を流していた

     

さて、理子さんに責任を感じさせるわけにもいかないから涙を止めよう

しかし止まらない

理子さんが顔をあげてくれない

どうしよう

どうしよう

「………グスッ!」

理子さんも泣いちゃったみたいだ

駄目だ、それだけは駄目だ

「理子さん!!」

「ッ!!」

理子さんが鳩が豆鉄砲くらって爆発したのを見てしまったような顔をしている

涙を流している

「ぼぼぼ僕は!!大丈夫だすっ!!これはアレです!目薬です、悲しくなんてありません!!」

噛んだし

「僕は!理子さんに直してもらって!幸せです!嬉しいです!僕はこの体で生きていきます!!」

何かを言わなくてはいけなかった

だから言ったんだ

「………」

理子さんは

「頑張りましょう」

微笑んだ

その微笑みはあまりにも綺麗で守るべきものだった

僕が悲しんで理子さんも悲しむなら僕が笑わせよう

そう決心した

     

理子さんは泣きやんだ

僕もようやく鼻水が止まった

「理子さん、具体的に僕はこれから何をすればいいんですか?」

「あっハイそうですね、まずはじめに亮太さんにメッセージを送ってみてください」

そういえばそうだった

記憶が消えているらしいのに亮太には僕の事に関する記憶があるかもしれないらしい

「分かりましたとりあえずメールしてみます」

どうでもいいが僕はメールを打つのがすごく遅い

どうでもいいが

「い…ま…な…に…し…て…」

「できれば急いでください」

すいませんできません…

「よしっ、送信!」

送信した

「…」

「……」

あ、気まずい

亮太!早く!

「あの…」

「はい?」

理子さんが沈黙を破った

「仮説なんですが亮太さんが貴方を覚えている理由って…」

「なんですか?」

「…亮太さん貴方の事が」

テンテケテケテケッ、テッテン!

「ッっ!!」

その瞬間僕の携帯が鳴った

また理子さんは笑ってしまっている

返信が来たようだ

「ちょっとすいません」

「待ってください!亮太さんはもしかしたら貴方を!」

メールを読んだ瞬間、僕は轢かれる瞬間の事を思い出した

『返事』

メールにはそう書かれていた

       

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