Neetel Inside ニートノベル
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死人延長線
第四話 【問題】

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轢かれる直前

亮太は何て言った?

確かに覚えている、一瞬の出来事だったが

「好きです」

からの

『返事』

これは…

「貴方、亮太さんになんて聞かれたんですか?」

画面を覗き込んで理子さんが言った

「解ってます、さすがに僕も気がつきました」

冗談かもしれない、しかしアイツはいつだって本気だ

「私の仮説ですが…多分亮太さんは貴方に好意を抱いています」

「…っぽいですねー」

どうしたらいいのか、てかアイツ僕の事好きだったのかよ

聞いてねぇし!!あぁわかっているさ普通簡単には言わねぇよ

言うとしたら僕みたいに告白の時だ

でも亮太はその僕の告白を手伝ってくれた、そうだろう?

何でそんな事するんだよ理由があるのかよ!!

理由はあった

アイツはとても残酷なほどに、自分を殺してしまうほどに

良い奴だったのだ

底なしの良い奴なのだ

「返事…どうしましょう…?」

理子さんに聞いてしまった、最低だ、僕は男らしくない男なのだ

残念なことに

     

「これは…チャンスかもしれません…」

「ヘ?」

理子さんは表情を変えずに言った

「しかしこれは亮太さんに失礼…しかし…」

理子さんは目を閉じ悩んでいる

ここで何のことなのか聞くのも悪い気がした

「どうしたんですか?」

聞くけど

「…もしかしたら今日この日貴方と亮太さんは結ばれる運命にあるのかもしれません」

「つまりこの返事をYESにしておしべとめしべがアレしちゃう関係になれば息子の未来をつなぐことができるってことですね」

「下品です」

「すいません」

「しかしそうなれば一番良い結果になります、きっと」

「そうですかねー」

そうはいかないんだすが!

たしかに死んでいるというこの状況、そうすれば良いかもしれない

でも僕も男だ

亮太のことも良い奴とは思っているが好きな人のことを諦めたくない

いや亮太も正直可愛いし人気もあるから良いカンジだなーとは思うが

僕は理子さんLOVEだ、この気持ちは変えないぜ!!

     

という決心を心の中でしたが何て言えば良いんだ

断るのか?しかし僕と理子さんの関係は死神さんとただの死体の関係だ

その時、ふと僕が愛読している【男から漢になるためには】を思い出した

そこには僕の心を打った言葉がこう書かれていた

【告白は体育館裏で!!】

もうひとつは

【愛している女以外には目もくれるな!!】

と書いてあった

「………」

僕は一言、メールを返信した

「なんて送ったんですか?…あの、今の状況は関係無しで考えてくださいね」

「わかってます、ちゃんと決着をつけます…明日!」

「明日に…持ちこすのですか?結構待ってる方はつらいですよ?」

そうなの!?てかそれよりも…

「つらいって…経験あるんですか…?」

「………無いです」

今のなんの間ですか!?と聞きたくなったけどやめた

畜生!俺の根性無しの糞虫がッ!男らしく聞いてみろよ!!

しかし聞かない、俺は根性無しの糞虫なのだ

残念、本当に残念だ

     

亮太から返信が来た

「男らしくない」

知っているさ、でもそんな簡単なことじゃないんだぜ

知ってるだろうがな

「じ…か…ん…を…く…れ…な…い…」

「…声に出てますよ」

これはお恥ずかしい

送信っ

「これでよし…」

「…」

「……」

あ、気まずい

なぜテレビがないのだ…今ならどんな番組でも笑顔で見れるぜ

その時理子さんが何かに気付いたような顔をした

「明日っていっても…明日には転校生として…」

そうだ、僕は忘れ去られているんだった

しかし亮太は覚えている

それなのに僕が転校生としてやってくる

なんてたちの悪いドッキリだよ

     

亮太から返信が来た

「明日かならず おやすみ」

僕は思わず亮太に電話を掛けた

プルル、プルッ

「……んだよ」

早いっ、そして機嫌が悪そうだ

「夜分遅く申し訳ない、ちょっと話があるですが…」

「メールでいいだろ」

「おやすみなんて書くから寝てしまうと思ってですね・・・」

「で、何?」

そうだ、なんて言おう?

今僕が置かれている状況を説明するのか?説明できねぇよ

「こ、こんな立ち話も何ですし…今からセブンにでもどうだい?」

ふざけてんのか僕は

「ふざけてんのかお前…」

「いや、マジだ、本気と書いてマジ」

「………」

沈黙から痛いほど怒りが伝わってくる

本当にごめん

     

「…どこの、」

「えっ!」

「どこのセブンだよ」

「あぁそうだな!えーと…学校近くのなんてどうだい!?」

「声デケーよ…わかった」

「あぁ…よろしく頼む」

そして電話を切った

「…」

さて、

「とりあえず行ってきます」

「私も行きます」

「え…」

「今回の一件は私の責任です、責任を持って説明をします」

「それはそうですが…なんか」

なんかおかしくないか?

ここで理子さんと俺がセットで事情を説明しても付き合えない理由を二人で作ったみたいじゃないですか

こんな当事者でないと信じられない話信じろと言えば言うほど相手を傷つけてしまう

「僕に任せてください」

     

「でも…」

「確かに説明が必要な状況ですが今理子さんが僕と一緒に行くのは駄目です」

「そうですが…では隠れて様子をうかがっていいですか、説明がどうしようもなくなったらすかさず…」

わかってないな理子さん

これは僕の…いや、俺の男をみせる時なんですよ

俺が死んだかなんてもう関係ない

俺はこの思いを伝えるだけだ

…なんて慣れない一人称なんて使ってみたり

「大丈夫です、行ってまいります、そしてチャリ貸してください」

「あっ、鍵なら玄関の靴箱に…でもっ、」

鍵の場所を教えたのが悪かったですね

僕は一目散に靴箱へ向かった

「すいません行ってきます」

理子さんが追ってくる

しかし理子さんは足が遅い、ちょろいぜ

僕はチャリに乗り、理子さん宅を後にした

       

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