あの日あの時あの偉人
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もう嫌だ。
人生に飽き飽きだ。
僕はそう思ったから命を断った。
転生とかなんとかは信じてなかったし、神や悪魔も信じてない。
健全な中学2年生ならみんな一度はなったりする中二病にもならない。
夢を見ないし憧れを持たないからだ。
あの日の僕は今の僕を見てどう思うだろうか?
命を断ったあのとき僕は何を見たかったのだろうか?
あの日あの時信じなかった物。
今の僕は否定できない・・・。
中学2年~夏~
「おい神城!なにしてやがる!?」
いつもはうるさい担任教師の声がひどく虚しく聞こえた。
「あんたにゃ関係無い」
今の僕にとってはそんなのも蠅の羽音と同然に聞こえる。
「ああもう!!」
教師が痺れを切らしてこっちに向かってくる。
が、今の僕には関係無い。
僕は終わりの一歩をスッと前に踏み出した。
・・・ざまぁみろ。
僕はそう言って目を閉じた。
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「なぁ、知ってる?」
クラスでの声。
「え、何々?」
「神城が死んだんだって~」
「え、うっそ~?」
「入院中じゃないの?病気で?」
「屋上から飛び降りたんだって~」
「え?ここの?」
他愛もない会話だな・・・。
死ねよ。
「キャッ!え?大丈夫?マリ?」
会話していた2人の少女のうち一人が泡を吹き悶絶する。
『ハハハハハハハハハハハ!!!!』
この世のものとは思えない声が地の底から聞こえてくる。
「イヤァーー!!」
この声を皮切りに教室中で声が響く。
「なんだ!?」「助けて!!」「なにこれ!!?」
そして声はそれを吸収するかのように響き続ける。
『怯えろ!!泣きわめけ!!』
こんなことで・・・・・・・・・いいんだろうか・・・?
誰かに問われた気がする。
それでいいのか?
何も果たせないまま終わっていいのか?
「・・・偉人。」
察しが良いな。
たとえ私が誰で有れもう関係無い。
ああ夢だな、すぐにそう思った。
後悔しないようにやれ。
偉人が言った。
「誰なんですか?」
誰でもあり誰でもない。
ある必然的現象といっても過言ではない。
ここは人と人外の通過点。
人ならざる者と卑下された偉大なるものもここに来る。
何をしようとも勝手だ。
堕ちるなり何なり好きにしろ。
言うなり偉人は消滅した。
「お前らが望んだ非日常僕が叶えてやるよ。」
その時の僕は既に人じゃなかった・・・。
それは破壊衝動であり殺戮衝動であり
自分で有りたいと願う術であった。
壊れた僕はもう歯車を巻き戻せない。
歯車を壊して全てを止める。
それが壊れた僕の唯一の贖罪だったから・・・。
これが唯一の自己表現だから・・・。
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「うわぁああああ!!!」「嫌だぁぁあ!!」「助けてぇえええ!!!」
発狂がクラスを包む。
次々に気を失うクラスメイトに皆が我を失う。
その不協和音が学校全体を包み込む。
いつかその学校で立っている・・・生きている人はいなくなっていた。
『これでいいんだ・・・。さあ、殺戮を続けよう。』
もう嫌だ!!
叫ぶ僕を他所に「僕」は・・・狂った偉人達は進み続ける。
この世界という歯車を壊し尽くすまで・・・。