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… and begin

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 少女は引き金を引いた
 引いたはずだった

「な、んで?」

 少女は握っていたコイルガンを見詰めた
 点滅する赤い光
 それもまもなくして消えた

「バッテリー、切れ…?」

 再び少女の心を駆け巡る負の感情
 少女の頭によぎるのは罪と罰

「あ、あぁあああああ!!」

 叫ぶ
 嘆く

 どうして死なせてくれないのか
 どうして忘れさせてくれないのか

 ――覚えていてくれ――

 男の声が少女の頭に響く

 ――忘れないでくれ――

「う、おげぇええあああ!」

 胃の中の物が逆流する
 空になってもまだ何かを出そうとする
 それでもこの感情は一向に消え去りはしない


 どれくらいの時間俯いていただろうか

 息を整え虚ろな目で少女は”二人の償い跡”を見詰める
 ふらつきながらも少女は立ち上がる

 一歩
 また一歩
 少女は”前へ”歩く

 彼女は忘れることをやめた
 誤魔化すことをやめた

 その一歩は償うための

 自分を救うための一歩


 そして少女は”前へ”進んだ
13

興干 先生に励ましのお便りを送ろう!!

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