三月の句
玄関を
白く塗りけり
燕の巣
白く塗りけり
燕の巣
早三月
鳥は帰るが
句は残る
鳥は帰るが
句は残る
木の幹の
蜂が告げるは
仲春ぞ
蜂が告げるは
仲春ぞ
草の上
虎色告げるは
春模様
虎色告げるは
春模様
鳴く猫や
見上げた先は
春北斗
見上げた先は
春北斗
汗をかき
舌を振るわせ
水を飲む
舌を振るわせ
水を飲む
風無けど
吾の春風
吹き荒れけり
吾の春風
吹き荒れけり
芯折れど
心は折れず
春の色
心は折れず
春の色
つま先に
春を運ぶは
痒みかな
春を運ぶは
痒みかな
白きもの
枕に垂れて
色染める
枕に垂れて
色染める
砂煙
荒馬駆ける
土の声
荒馬駆ける
土の声
丘の上
線路を走るは
時間かな
線路を走るは
時間かな
三倍と
思いし物は
五倍かな
思いし物は
五倍かな
思い出が
痛み作りし
別れかな
痛み作りし
別れかな
虫の声
涙と痛みで
寝れぬ夜
涙と痛みで
寝れぬ夜