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* 私たちの塔「最後の扉」 *
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『さっきはどうも』
そのフロアには白衣の立川はるか……学者がいた。扉に立ち塞がるように、立っている。
「懲りないなーもー」
『ちょっと待って。もう戦う気はないよ』
面倒な様子で拳銃を創り出す彼女。しかし学者は両手を上げる。敵意はない様子を彼女に見せた。
抵抗の有無はどうでも良かったが、無抵抗な人間をいじめる趣味はない。それに何か話したそうな雰囲気なので、拳銃を消した。
『まいった。参りました。』
「降参……?」
『さすがに2度も負けると諦める。むしろ尊敬の域にも届くよ。戦士と魔法使いも、もう関わりたくないって言ってた。
盗賊とバニーには会ってないけど……あの2人じゃ勝てるわけないしー』
「あの2人は負けてない。……で、何の用?」
『んー、強いて言うなら、お見送り?』
学者は奥にあった扉を開けた。
そこから広がったのは、外の世界。うっすらと見える水平線、鼻をくすぐる潮風、差し込む太陽の光。
『ここの扉、かなり強めの結界が張ってあったんだけどね。魔法使いと私の知識、戦士の腕力で開けたの。
そりゃあ、最初は報復だのなんだの考えてた。でもね、時間が経つにつれてバカらしくなってきたというか……追い出して、塔まで手に入ったんだから、別にいいか、ってなった。
たまーに外に出たりしてね、買い物とか、気分転換に散歩とか。私もよく魔導書の買いに出かけたなー。盗賊とバニーはいっしょに遊びに行ってたみたいだし。
……そりゃあ、さ。戦士は殺人鬼だし、魔法使いはカニバリズム、盗賊とバニーはあんな関係で、まともな人間は唯一私だけ。それでも、少なくとも私は、それなりに楽しいかなって思ってた。
貴女が来るまでは』
「…………」
『侵入者に対して攻撃するのって、普通なことじゃないかな? 空室はないって言った私も大人げなかった気がするけどね。
たいてい、話し合えば仲良くできると思ってる。同じ自分なんだしなおさら。私たちだって、最初はそれほど仲が良かったわけじゃないし。
でも、貴女は知れば知る程、分かり合える気がしない。戦士や魔法使いは、自分が満足するために殺したり喰べたりしているけど、貴女は違う。ただの暇つぶしで苦しめているだけ。
理解できない。
受け入れられない。
だから』
『どうか、ここから出て行ってください』
学者は頭を下げた。覚悟は決まっていた。死ぬぐらいどうでも良いが、それでも怖いことには変わりない。
これで出て行ってもらえればそれで良し。まだ留まるようなら、そのときは自分たちが出ていけば良い。
「うーん……」
彼女の口が開く。
「……やっぱり勘違いされている」
「私は、塔から脱出するためだけに、大賢者様から呼ばれてわけじゃない。
途中いろいろと遊んだのは、あれは、単なる趣味。
本当の目的はちゃんとある」
「貴女たちを、助けること」
『……はあああぁ!?』
「信じられない気持ちもわかる。大賢者様としては私を監視役にしたいつもりだったんだろうけど。
でもね、私は、貴女たちを助けたい」
その瞬間、学者の身体が光り始めた。
『え、え、何これ!?』
「大丈夫。何ともない。その光、見覚えない?」
『見覚えって……て、もしかして……』
「そう。この世界に来るとき、一度は体験しているはず。貴女たちを元の世界に戻す。これが私の目的」
『元の、世界!?』
学者の血の気が引いていく。
元の世界に戻る。最も嫌なことだった。
『待って、戻りたくない! あんなバカばかりな世界なんてイヤ! この世界は、本と知識に溢れている! だから!』
「あはっ」
「その顔が見たかった」
『…………!!!!!』
「さっき戦士と魔法使いにも同じことやって、同じ顔して訴えてきたよ。
ふふふ、そう、その顔、サイコーだよ」
光に包まれた学者の姿が薄くなっていく。
『やめ……が、い……』
「だーめ、サヨナラ」
学者は、消えた。跡形もなく、消えた。
「……さて」
扉の向こうを見つめる。
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◇ 塔から脱出するゲーム ◇
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彼女は、進む。
外に向かって。
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◇ ◆ シナリオ ◆ ◇
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◇ ひょうたん ◇
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「あの2人は帰さない。私から鮮やかに勝利した、そのご褒美」
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◇ ◆ グラフィック(FA) ◆ ◇
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◇ 阿羅鬼格之進先生 ◇
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◇ 平 アヤマル先生 ◇
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◇ とりっきー先生 ◇
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◇ F田Y夫先生 ◇
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◇ ※いただいた順番です。 ◇
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彼女は塔の外に出た。少し伸びをして、振り返る。
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◇ ◆ キャスト ◆ ◇
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◇ 戦士の立川はるか(シリアルキラー) ◇
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◇ 魔法使いの立川はるか(肉食系女子) ◇
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◇ 学者の立川はるか(出演数最多) ◇
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◇ バニーガールの立川はるか(初心者御用達) ◇
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◇ 盗賊の立川はるか(まさかの百合要員) ◇
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◇ 敗戦国の姫の立川はるか(最後まで人の心を持っていた) ◇
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◇ 救世主の立川はるか(チート) ◇
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◇ 大賢者ナツメ(元凶) ◇
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◇ 使い魔アカネ(腐女子) ◇
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◇ アカギリ(日本酒が好き) ◇
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◇ 行商人(意外と人気) ◇
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◇ 最後の塔の当主(ダミーのラスボス) ◇
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◇ アサダ(悲劇の脇役) ◇
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◇ 首輪(ツンデレ) ◇
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塔の扉。いつの間にか閉じていた。
立川はるかは目を細め、塔を見上げる。
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◇ ◆ スペシャルサンクス ◆ ◇
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◇ 毎回コメントしてくれた読者様 ◇
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◇ たまにコメントしてくれた読者様 ◇
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◇ 読専の読者様 ◇
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◇ 編集部でレビューをしてくれた方々 ◇
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◇ ねとらじで紹介してくれた方々 ◇
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◇ ツイッターで読みましたと言ってくれたみんな ◇
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◇ というかすべての読者様! ◇
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「塔から脱出するゲーム」
「おしまい」