石器時代のおかまたち
「ラット一つを商売道具にしてるさ」
丸の内サディスティックでも歌われているベンジーこと浅井健一。
確かにベンジーの機材にPROCO社ラットは使われているが、実際は「ラット一つを商売道具」ではない。
ギターはグレッチのテネシアンをメインに使う。
エフェクターは基本的には以下の通り。
(ブランキージェットシティ時代)
1.BOSS CS-3 コンプレッションサステナー
2.BOSS GE-3 イコライザー
3.PROCO RAT2 ディストーション
4.Human Gear VIVACE(ヴィヴァーチェ) オーバードライブ
5.BOSS CE-3 コーラス
6.BOSS FV300L ボリュームペダル
├ BOSS TU-12 チューナー
7.BOSS DM-2 アナログディレイ
BOSS社の商品が多く意外と安く済むと思いきや大半がkeeley製で一個数万以上。
VIVACEはオーバードライブのようだがエンハンサー的にギターの音色に影響させているよう。中古でも4万は中々下らない高級品である。
弦は0.11を使用。それでも度々ライブで弦を切る様子。
PVや音楽番組でフェンダーのストラトキャスターやテレキャスターの使用も確認されているが、ライブ中に弦を切った際はギブソンのレスポールを持つことが多い。
余談だが椎名林檎との談話にて「大事な帽子とサングラス、群衆に投げちゃって」と、返してくれたら「代わりにギターやるで。いらんギターだけど」と言っている。持っている人は名乗り出ては如何だろうか。…というか帽子とサングラスも羨ましい。
†
「あ、こんにちわ、ドラム志望の者です」
彼は礼儀正しく挨拶をする。
「堅苦しい挨拶は抜きにしよう。紹介するよ、僕の後輩だ」
「よ、よろしく」
何か納得いかない顔だね。
「・・・・・」
†
「普段どんな音楽聴いてるの?」
「あ、もっぱらクラシックですね…最近はブラームスとか…」
「あぁ…」
「ブラームスとかを、ベルリンフィルで公演してます。ティンパニで」
「は?ティンパニって…打楽器の…」
「彼はベルリンフィルの最年少ティンパニ奏者に選ばれた子だよ」
「は!?」
†
「アインツ…ツヴァイ…ドライ…フィーア」
ドイツ語の1,2,3,4で始まるセッション。
3ピースということで編成も丁度いいので凛として時雨の【想像のsecurity】をジャムる。
駆け抜ける高音ギター、電子的な低音ベース、正確で痛いほど抜けるスネア・・・ドラム。
歌えない僕。
僕の歌を奪うベースボーカル。
演奏が終わる。
「おお、歌上手いじゃん」
「ロックも面白いですねぇ…」
「・・・あんたら…いや、ど、どこからツッこんでいいのか…」
『はい?』
「ギター!てめぇ弾けるなら初めから言え!ドラム!てめぇ上手ぇよ!死ねよ!!!」
「あの…大丈夫ですかこの人…?」
「ああ気にしないで、いつもこうだから」
「FUCK!」
†
「時に後輩」
「何でしょう先輩」
「君は全くロックは聴かないのか。好きなドラマーとかいないの?」
「僕だってロックくらい聴きますよ」
「例えば?」
「ニルバーナとかQueens Of The Stone Ageとか…」
「ん…嫌に似合わないバンドを聞くんだな」
「ドラムのデイブ・グロールが凄いんですよ」
「ほう…」
「彼はニルバーナの時代からあの厚いドラミングで3ピースを支えてましたし、カートが自殺してからもフーファイターズで活躍する程の才能の持ち主です」
「うんうん…」
「ちなみにQueens Of The Stone Age(以下QOTSA)はリーダーのジョシュ・オムを中心に生まれたアメリカのバンドなんですけどこれがまた凄いんですよね。実験的で変態的で、変拍子も取り入れてて、ドラミングも難解で…これで作曲もほぼセッションで作ってるっていうから驚きです」
「うんうん、聴いたことはないけど噂はかねがね…」
「実はドラムは既に決まってたんですが、当時のドラムがオーディションでドラミングを披露するなりジョシュは別室に行き、戻ってくると彼に「今前のドラムを首にしてきた」と言ってドラムを任せたんだそうです」
「ほほう」
「日本ではまだあまり知られていないですが、アメリカでは結構成功しているバンドですね。あのデイブ・グロールもQOTSAを聴くやいなや「こんなバンドがあるなんて!俺にも叩かせてくれよ!」と一時期レコーディングやツアーに参加したほどです」
「(こいつも薀蓄屋か…)」
ベースが何故か肩を落としてる。
「中々勉強してるようだね。感心だ」
「いえ先輩ほどではないです。先輩の薀蓄はほんと尊敬してますよ」
・・・・・・
「採用」
「…やっぱし」
†
今日は少し文字が多い。
それでも僕らはアナルファック。
刻むビートは変拍子。
「まぁでも…ようやくバンドが組めるのね」
「あ…あぁ…うん」
「何でがっかりしてんのよ」
・・・凛と咲いて。