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第二話「ふんどし少女ペタン」

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 貧乳少女ペタンの兄、竹ノ内ペタジーニはゲイである。
 ゲイの兄を持つ妹に利点は多い。まず近親相姦の心配がない、気軽に恋愛相談出来る、会話もどちらかというとガールズトーク風となり、学校で友達がいなくてもやっていける。そしてペタジーニはペタンの変態趣味についても理解を示してくれた。ペタン一人ではどうにもならない時には、快く協力してくれたりもした。
 つまりは今回のような、こども相撲大会への参加への、保護者としての帯同である。
 男装趣味を持つ露出狂の女子高生共通の憧れイベントといえば、こども相撲大会である。観衆の前で堂々とふんどし姿をさらし、肌と肌でぶつかりあい、時には乳首も擦れるだろう。しかしそれだけにリスクもある。ペタン一人で行ったところで出場許可は下りないだろうし、もしも男子でないことがばれた際のリスクも大きい。ショタ趣味の変質者として通報されかねない。
「それでも私は出てみたいの、銭湯ではない、大勢の人の前で胸を見せたいの。ふんどし姿になりたいの」強い決意を秘めてペタンは兄に協力を要請した。心底ではほんのりと「やめときなよ、妹を危ない目には合わせたくない」なんて言葉を期待していたかもしれない。まだ自分は引き返せるところにいると、信じたい気持ちもあった。
「いいねえシスター、
 行こうよ。
 出ようよ、こども相撲大会。
 みんなにさらけ出そうよ。
 ペタンの胸。
 ペタンの肩。
 ペタンの尻たぶ。
 ペタンの太股。
 熱闘の末に我を忘れて喘いじゃって。
 慣れないふんどしゆるんで取れちゃって。
 見せてはいけない股間を露出させちゃって。
 でも観客はそこに見るんだ。
 あるはずのない、ペタンのちんちんを。
 いくら男子小学生としては女性っぽい体つきだったとしても、
 あそこまで強くてたくましい人が女であるわけがない、
 そう思う観客達が見る共同幻想さ。
 それはきっと太くてたくましくて、
 全ての男女を平伏させるものに違いない。
 でも僕の目には一人の少女としてのペタンが見えるのみ。
 だってたった一人の妹だもの。
 可愛くてしょうがないおまえだもの」
 ペタンは時折兄の感性についていけなくなることがあるが、とにかく要請を受諾してくれたことはわかった。

 こども相撲大会当日、更衣室の片隅でバスタオルを広げながらペタンは兄にふんどしを絞められていた。後ろだけ隠して前だけはおっぴろげる、このスタイルってなんだか露出狂の女神様っぽいな、と思いながらペタンは、やけに手慣れたふんどしの巻き方をする兄を見下ろしていた。
「関取にも友達はいるんだ」聞いてもないのに兄は答えた。
 ペタンはかつてない高揚を感じていた。ただ見せるだけではなく、今回は肌を触れ合わせるのだ。かつてない性的興奮が自分に訪れるに違いない。時には相手に自分が女子高生だと悟られることがあるかもしれない。中には小学生児童らしからぬ巨漢がいたり、対戦相手を怪我させるような卑怯なのがいたり、もしかしたら自分と同じように露出趣味の女性も紛れているかもしれない。観客の中には保護者だけでなく、ショタ趣味の変態達が大勢いるかもしれない。そいつらの撮影した写真の中で、自分はズリネタとして永久に保存されるかもしれない。
 それらの想像は全てペタンの股間を湿らせる材料となった。

 で、そんなナチュラルオイルの効果もあってか、ペタンは見事こども相撲大会で優勝を果たした。ちなみに彼女が想像したような出来事は全て現実のものとなったがここでは割愛する。
 優勝賞品のコシヒカリ三十キログラムはペタジーニに持ち帰ってもらった。いくら変態パワーで巨漢児童を二十メートル投げ飛ばそうと、平常時に三十キログラムを持ち運ぶ体力は彼女にはなかった。覚醒時以外は平凡な体力の持ち主であることが、ペタンには少しもの悲しかった。
「楽しかった?」ペタジーニは優しく微笑む。
「今までの人生の中で一番」
 幾人かの対戦相手は、ふんどしの中のちんちんを確かに硬くさせていた、とペタンは思い出す。将来有望株だ。
 その夜、火照った身体を静めるためにペタンは十七回オナニーをした。

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