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第十四章 仮初の平穏

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 国との休戦が決まり、俺はピドナに戻っていた。両国は、それぞれの戦線から軍を引き上げたのである。ただ、ミュルス方面には新たな砦を構築するため、三千ほどの兵が派遣されていた。休戦協定の条約の中に、そういう内容が含まれていたのだ。獅子軍が奪ったとも言える砦は、いわば有利な交渉を推し進めるための武器となったのである。
 今回の協定で、とりあえず戦は終わったが、バロンは天下を諦めた訳ではない。ミュルス方面に新しく砦を構築している事からも、これは明らかだ。軍事体制も、休戦前と何ら変化は無い。そればかりか、軍の再編なども検討しているらしい。
 それでも、戦は終わったのだ。協定上では、三年という期限が設けられているが、実際の所は分からないだろう。ただ、この国は、いや、この大地は戦をやりすぎた。メッサーナが反乱を興して、もうどれだけの時が経ったのか。二十年か、三十年。その間、ずっと戦続きだった。民は疲弊し、戦場となった所は荒廃してしまった。この大地は、平穏という時を獲得する為に、様々なものを失ったのだ。
 今回の休戦協定は、そういった失ったものを取り戻す起点となり得るのだろうか。
 俺はピドナの歓楽街を一人で歩いていた。シオンとダウドでも誘うかと思ったのだが、どうやらすでに二人だけで酒盛りに出ているらしい。長兄を差し置いて、という思いはあるが、口出しする気にはならなかった。特にシオンについてはそうだ。
 何となく、シオンが不満を抱いている節がある。アビス原野の戦中からだ。何が不満なのか、俺なりに考えてみたが、思い当たる節はない。あえて言えば、命令違反を叱責した事だが、シオンの真面目な性格を考えると、少し違うという気がする。命令違反は命令違反で、自分の中に落とし込んでいるはずなのだ。
 本来なら、すぐにでも話し合いの場を設けるべきなのだが、肝心のシオンが喋りたがらない。だから、何だかんだでずるずると長引いてしまっている。
 ふと、妓館の前を通りかかった。女を抱くというのも、久しくやっていない。しかし、俺は妓館がどうにも馴染めないのだ。玄人臭があると言えば良いのか、うぶさが無いのである。童貞は遊女で捨てたが、それ以来、妓館に足を運ぶ事は無かった。
 妓館で女を抱く気になれず、俺は適当な酒屋に入った。
「おう、隻眼のレンではないか」
 中央の丸卓から、声が掛かった。視線をやると、そこにはクライヴとクリス、アクトの三人が居た。
 珍しい面子である。この三人は、メッサーナの古くからの将軍だが、酒を飲むイメージはない。
 俺が軽く頭を下げると、クライヴが手で空いている席を叩いた。来い、という事である。様子から察するに、すでに酔っているようだ。
「こんばんは。珍しいですね、酒盛りですか?」
「シーザーが死んだのだ。酒で弔わねばなるまい」
 言って、クライヴが杯を呷る。貧乏ゆすりで、膝が揺れていた。これは昔からの癖らしい。
「レン、お前は一人か? シオンやダウドはどうした?」
「どうやら、俺を置いて酒を飲みに行ったみたいですよ、兄上」
「それで一人酒か? ロアーヌさんじゃないんだから、誰か適当に声をかけろよ」
 クリスが酒を差し出してきたので、俺はそれを一息に呷った。適当に、と言われた所で、周りは年上だらけなのだ。気を使う酒は、あまり美味くない。
「しかし、弟達も冷たいな。長兄抜きで酒か。レン、まさか嫌われてるんじゃないだろうな」
 クリスが白い歯を見せて笑った。クリスは酒に強いのか、そこまで酔った様子は見受けられない。その隣のアクトは、顔が真っ赤っかで、まるで熟柿のようである。俺の隣のクライヴは、相変わらず貧乏ゆすりが激しい。
「シオンはスズメバチ隊で使い続けるのか?」
 真っ赤な顔で、アクトが言った。口調は毅然としたものである。
「そのつもりです。シンロウが獅子軍の将軍となってスズメバチ隊を抜けるので、その後任をさせようと思っています」
「小隊長の器ではないな」
「どういう意味でしょう? アクト殿」
「アビス原野の戦を見て思ったが、あれはお前と肩を並べるぞ。動きが兵卒のそれではなかった。シンロウの後任では、力を持て余すだけだな」
「アクト殿は酔っておられる。レン、気にするな」
「俺は酔ってない、クリス殿」
 言いつつ、アクトが酒を呷る。俺も酒を呷った。
「かと言って、獅子軍の将軍をさせる訳にもいかないでしょう。ニールも居る訳だし」
「スズメバチ隊の将軍をさせれば良い」
「何を馬鹿な。俺より、シオンの方が優れているとアクト殿は言われるのですか」
「違う。お前はいわば万能だ。対するシオンは、攻撃特化型だな。動きに強気なものが垣間見えた」
「攻撃特化なら、獅子軍ですよ。しかし、獅子軍にはシンロウが居て、ニールが居る」
「ロアーヌ将軍は、万能でありながら、攻撃特化だった」
 またアクトが酒を呷った。
「隻眼のレンか。面白いな」
 貧乏ゆすりをしながら、クライヴが低い声で笑う。
「ロアーヌが両目であった事を考えると、実に面白い」
 クライヴが酒を注いできた。飲め、という仕草をされたので、俺はそれを一息に呷った。空の杯に、また酒が注がれた。
「レン、お前は右眼しか無い。だから、シオンに左眼をさせたらどうだ? 二人で一人。アクトが言いたいのは、これだろう」
「まさしく。大将軍、さすがです」
「伊達に歳は重ねておらん」
 二人が低い声で笑った。大声で笑わず、低い声で笑い合う様は、どことなく不気味だ。
 しかし、アクトやクライヴが言った事は、どことなく的を得ているのかもしれない。酔っ払いの戯言ではない、という気がする。シオンの不満も、この辺りが関係しているのかもしれない。一度、小隊長にあげる、という話をしたが、反応は思ったより良くなかったのだ。
 このシオンの件については、もう少し練った方が良いだろう。
「レン、分かっているだろうが、スズメバチ隊はお前の軍だ。シオンをどう使うかは、お前の自由だぞ」
「分かっています、兄上」
「そういえば、ニールには会ったのか?」
「いえ。父を失った悲しみは、俺も分かるつもりですから。今は一人にさせた方が良いと思います」
 それでも、時間を見て会った方が良いだろう。ニールは強がっているだけで内面は意外に脆い、という所がある。掛ける言葉は見つからないが、父を失った者同士で共有できる何かはあるはずだ。
「アクト、この後で妓館にでも行くか。お前も溜まっているだろう」
「俺は構いませんが、大将軍はお歳でしょう」
「何を言う。私を誰だと思っている」
「さすがです、大将軍」
「伊達に歳は重ねておらん」
 また、二人が低い声で笑った。完全に酔っぱらっているのだろう。単に、やり取りを楽しんでいるだけ、という風にも見受けられる。
 クリスの方を見ると、目が合った。
「二人とも、あまり酒が強くないのだ」
 それを聞いて、俺は苦笑するしかなかった。
 俺は自分でも驚くほどに動揺していた。久々にダウドと会い、酒を飲む事になったのだが、そこでとんでもない話を聞かされたのだ。
「女は良いよ、シオン兄」
 ダウドは、底抜けの軟派男に成り下がっていたのである。俺がアビスで戦をやっている最中、ダウドは妓館で女を買い漁っていたのだ。そして、童貞を捨てた。そればかりか、今ではピドナの女を引っ掛けるのに夢中だと言う。
「ダウド、お前に何があったのだ?」
 この台詞を言うのは、何度目なのだろう。もう答えを聞くためではなく、自分を落ち着かせるために言っているようなものだ。ダウドも酒に酔っているせいなのか、また同じことを喋り始めた。
 ダウドは商家の娘に恋していた。これは俺が戦に出る前の話だ。だから、俺もこの事は知っている。しかし、その娘には男が居た。それでヤケクソになって、ダウドは妓館で女を買ったのだ。
 その時の女は年増で、乳も垂れ下がっていたそうだが、ダウドはそこで性の快楽を知った。それからしばらくは、妓館通いが続いたと言う。
「シオン兄、もう酒は良いよ。女を引っ掛けに行こう」
「何があったんだ、ダウド」
 また、この台詞を言っていた。俺の知っているダウドは、臆病な男だった。ニールと付き合い始めてから、どことなく調子の良い奴、という印象は付いたが、それでも軟派な印象などは無かったはずだ。
 いや、俺が動揺しているのは、そこじゃない。俺は女を抱いた経験が無い。だから、動揺しているのだ。しかし、何故。先を越されたからか。いや、それよりもダウドは女を引っ掛けると言っている。そんな事、俺に出来る訳がない。話を変えた方が良い。
「ダウド、お前は剣の修練を積んでるのか? ニールと離れて、疎かにしてるんじゃないだろうな」
「やってるよ、シオン兄。男は強くなきゃ、女にモテない。ごろつきに絡まれた時に対処できないからね」
「口だけじゃないだろうな? お前、身体は小さいままじゃないか」
「レン兄やシオン兄みたいな戦い方はできないと悟ったんだ」
「どういう意味だ?」
「俺は飛刀を使う」
 そう言ったダウドの眼が、僅かに光った。自信も垣間見える。
 しかし、飛刀とは。平たく言えば短剣投げだが、実戦であまり使えるものではなかった。というより、戦では、である。飛刀と言えば、まず思い浮かぶのは暗殺だ。弓と違ってかさばらないし、不意打ちも出来る。腕さえ確かなら、かなり優秀な武器と言えるだろう。
「普通の剣は諦めたのか?」
「別にそうじゃないよ。でも、続けても限界がある。見ての通り、俺は身体が小さいから。だから、飛刀だよ」
「スズメバチ隊はどうする?」
「俺には無理だと思う。正直、戦で活躍はできないだろうし」
 ダウドはそう言ったが、表情に暗さはなかった。すでに別の道を見つけているのか。口ぶりから察するに、普通の軍に入る気はなさそうである。ならば、どうするのか。その先を聞きたいと思ったが、ダウドの雰囲気がそれを良しとはしてくれそうもない。
「真面目な話はよそう、シオン兄。女だよ」
「お前な」
「なんだよ、シオン兄。童貞臭いこと言っちゃってさ。もう良いよ、俺は一人でも女を引っ掛ける」
 そう言って、ダウドは腰をあげて店を出ていった。それを見送ってから気付いたが、あいつは金を置いていない。
 舌打ちしたい気分を抑えて、俺は二人分のお代を払って店を出た。
 女か。ふと、俺はそう思った。ダウドは妓館で童貞を捨てた。確か、レンもそうだと言っていた。女にフラれて、ヤケクソだとも言っていた。つまりは、ダウドと一緒である。だからじゃないが、俺は妓館で童貞を捨てるまい、と心に誓った。兄弟三人で妓館も無いだろう。
 女と言えば、俺の財布をすった奴が頭に浮かぶが、恋心とは何となく違うという気がする。あえて言うなら、女を感じた、という具合だろう。あれを境に、女が気になり始めた所はある。
 一人で歓楽街を歩いていると、酒屋から見知った顔ぶれが出てきた。
 クライヴ、アクト、クリス、レンの四人である。クライヴとアクトは、もうかなり酔っ払っているのか、二人で訳の分からないやり取りをしているようだ。
「おう、シオン」
 レンが最初に声を掛けてきた。僅かに顔が赤くなっているのを見る限り、レンにも酒が入っているのだろう。
「レン、私は二人を軍営まで送り届けるよ」
 顔を真っ赤にしたアクトと、呆けた表情のクライヴを両脇に抱えて、クリスが言った。
「兄上、一人で大丈夫ですか」
 レンが言った。しかし、そんな心配をよそに、アクトとクライヴが、ろれつの回らない舌で会話している。
「伊達に歳は重ねておらん」
「さすがです、大将軍」
 かろうじて聞き取れた、アクトとクライヴのやり取りの間で、クリスは苦笑していた。
「兄弟で話す事もあるだろう。気にするな」
 そう言って、クリスは二人を抱えながら去って行った。
「クライヴ大将軍とアクト将軍、かなり酔っていたようですが」
「兄上の話では、あの二人、あまり酒に強くないらしい」
「そうだったのですか」
 あの様子を見れば、確かにそうだろう、と思うしかなかった。戦場で見せる姿とは、似ても似つかない。
「もう酒は良いのか? シオン」
「はい。兄上は?」
「俺も十分だな。とりあえず、歩くか」
 そう言って、レンが歩き出す。俺は、その横についていく形になった。
 レンの指揮が物足りない。俺はこれを言うべきなのだろうか。小隊長になる件を受けるなら、言わない方が良いだろう。しかし、言わなければ、レンも困るのではないか。歩きながら、俺はそんな事を考えていた。
「おい、シオン」
 呼ばれた。急だったので、俺もハッとした。
「なんでしょう、兄上」
「あれを見てみろ」
 レンが指差した。
 そこに目をやると、娘二人が複数のチンピラに絡まれているのが目に入った。通行人などは、見て見ぬ振りである。
「ちょっと軍が戦に出れば、これだ。なんだかんだで、治安維持も難しいな」
「助けないと」
「そうだな。だが、俺達が出ていって、喧嘩を吹っ掛けるんじゃ、面白味がない」
 言って、レンは無邪気な笑顔を見せた。
「シオン、あの女の子二人をさらおう」
「何を言っているのです、兄上」
 そうこう言っている内に、チンピラがじりじりと娘に近寄り始めている。
「右と左、どっちが良い? 髪が長い方と短い方だ」
「兄上、ふざけているのですか?」
「シオン、俺は大真面目だぞ。どっちだ?」
 言われて、俺は舌打ちした。今にもチンピラは娘に手を出しそうな気配である。
「意気地がないな。俺は長い方だ。うぶで上品な感じがする」
 次の瞬間、レンは駆け出していた。それで俺も、どうにでもなれ、という気分になった。レンの背を追う。
 チンピラ。見えた瞬間には、撥ね退けていた。続けざまに、レンが回し蹴りで残りを蹴り飛ばす。
「シオン、走れっ」
 無邪気な笑顔を見せて、レンが髪の長い方の娘を抱きかかえ、走り去る。
「御免っ」
 俺はそれだけ言って、髪の短い方の娘を抱きあげ、レンを追った。
 腕の中で、娘の身体が震えているのが分かった。ちょっとだけ顔の方に目をやると、表情には強気なものが宿っているのが見えた。
 それを見て、俺は自分の心が熱くなるのを感じていた。今、俺の腕の中に居る娘は、とびきりの美人だ。少なくとも、俺にはそう見える。
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 郊外の月明かりの中、娘二人を前にして、俺とレンは正座していた。もう、どうやって弁明すれば良いのか、俺には見当も付かない。チンピラに絡まれている娘二人を、さらってきたのだ。完全にレンの思い付きで、俺はそれに巻き込まれたようなものである。
 普通にチンピラを蹴散らして、自然に助けてやれば良かった。それなのに、レンは娘二人をさらうと言い出して、今はその娘二人を前に正座している。正直な所、後悔は募るばかりだった。
「本当に申し訳ありませんでした」
 レンが言い、頭を下げた。それで俺も頭を下げるしかなかった。
 娘二人は困惑しているのか、まだ一言も喋っていない。目には怯えが走っているし、侮蔑の色も見える。とにかく謝るしかないのか。しかし、理解を得る事は難しいだろう。やった自分でさえ、納得できていないのだ。
「なんというか、助ける方法は他にあったと思う。けど、咄嗟にやってしまった」
 レンの唐突な発言に頭が痛くなったが、俺は頷いて同調の素振りを見せた。
「ならず者から助けて頂いた事は、感謝します」
 髪の短い方の娘が、震えた声で言った。端麗な顔つきで、俺は思わずそれに惹き込まれていた。
「けど、こんな所までさらってきて、私達をどうするおつもりですか? 言っておきますけど、身体を許す気はありません」
 娘がきゅっと腕を着物に押し付ける。その仕草が、俺の心を揺さぶった。同時に、この感覚は何なのだ、と思った。
「信じてもらえないだろうが、俺にそんなつもりはない。弟だってそうだ」
「どの道、強姦なんてすれば、すぐに捕縛されます。私達の父は、この辺りで有名な牧場主なのです。当然、兵隊さん達とも繋がりがあります。私達に手を出せば、兵隊さん達が動きますよ」
 精一杯の虚勢を張っている。俺はそう感じた。言っている事は本当なのだろうが、全て言わなくても良い事なのだ。むしろ、言ってしまう事で、不利になる事だって有り得る。
「それは困るな。俺達も軍に目を付けられたくない」
 レンが言った。軍人である事を隠すつもりらしい。意図は読めないが、俺も口出しはしなかった。
「そうした方が賢明ですわ。特にスズメバチ隊や獅子軍とは密接な関係にあって」
「エレナ、およしなさい」
 初めて髪の長い方の娘が口を開いた。声に凛としたものが宿っている。
「姉さま? どうして」
「このお二方の素性が知れません」
 髪の長い方の娘は、僅かに冷静らしい。俺達が賊か何かだったら、この二人を拉致して身代金を要求したりする可能性がある。つまり、ただの強姦で済まないかもしれないのだ。だから、不必要に情報は与えるべきではない、と判断したのだろう。
「参ったな。本当に俺達は危害を加えるつもりはないんだ」
 未だに俺とレンは正座している。端から見れば、ひどく滑稽な姿に違いない。
「弟、土下座しかないぞ」
 レンは俺の事を弟と言った。シオンという名を出せば、軍人だとバレてしまうと思ったのか。しかし、バレて不都合があるとは思えない。
「やめてください。殿方が無闇に女などに土下座するべきではありません」
 髪の長い方の娘が言った。短い方の娘は、表情に強気なものを宿したまま、口を噤んでいる。その姿が、また俺の心を揺さぶった。
「しかし、信用して貰える手段がない」
「そこまで言うのなら、分かりました。危害を加えない、という点は信じます」
「ありがとう。今はそれだけで十分だ」
 そう言って、レンは無邪気な笑顔を見せた。それを見た髪の長い方の娘が、何故か顔を赤らめる。
「二人は姉妹か?」
「そうです。そちらは兄弟ですか?」
「まぁ、そんな所だ。ただ、人からは似てないってよく言われる」
「確かに似てないですね。それに、貴方は片目が」
 髪の長い方の娘が言って、レンは失った左眼にちょっとだけ手をやった。
「事故でやったんだ。それより、妹の方は大丈夫か?」
 髪の短い方の娘である。俺も、その娘の事ばかりが気になって仕方がなかった。
「エレナ?」
 姉が声を掛けると、エレナと呼ばれた娘は涙を流し始めた。その姿に、俺はまた心を揺さぶられた。
「姉さま、本当はとても怖かったのです。でも、何事も無くて良かった」
「あの」
 初めて、俺は口を開いた。
「良かったら、これを」
 言いながら、俺は腰元の手拭いをエレナに差し出した。そうせざるを得ない、という気さえもした。
 エレナは黙って手拭いを受け取り、それで涙を拭き始める。
「なぁ、歓楽街は初めてだったのか?」
「恥ずかしいですけど。父が過保護なせいで、まだ私達は遊びを知らなかったのです」
「いくらメッサーナ領と言えども、歓楽街を女二人で出歩くのは感心しないな。ならず者に絡まれるのは必然だ。それに」
「それに?」
「あんたみたいな美人だと、尚更だ」
 レンが無邪気な笑顔で、姉の方に向けて言った。言われた方は、ただ顔を赤らめている。
「月が出ている内に、家まで送ろう。また、変な奴らに絡まれないとも限らないからな」
「ありがとうございます。私達もそうしてくださると、助かりますわ」
「よし、なら行こう」
 ここで初めて、俺とレンは正座を解いた。立ち上がろうとすると、痺れが容赦なく襲ってくる。
「いてて。慣れない事はするもんじゃないな」
「お、俺もそう思います、兄上」
 そう言って笑い合いながら、俺達は帰路についた。帰り道、特に内容のある会話はしなかったが、過ぎ去っていく時間は、とても尊いものであるように思えた。エレナも落ち着いたのか、後半はよく喋り、さらっている最中、俺の腕の中で震えていた事についても触れてきた。震えながらも、安心感のようなものを感じ取ったという。
 そうこうしている内に、娘二人の家の前に着いた。言っていた通り、かなり大きな牧を抱えているようだ。闇でよく見えないが、馬の息遣いも聞こえる。
「なぁ、そういえば、あんたの名前は?」
 レンが姉の方に向けて言った。確かに、まだお互いに自己紹介も済ませていなかった。
「モニカです。妹の方はエレナ。貴方は?」
「レンだ。弟の方はシオン」
「レン様とシオン様。どこかで聞いた事のある名です」
「勘違いだよ、きっと。ありふれた名前だからな。それより、また会いに来ても良いか? モニカ」
「え? はい。私は構いませんわ」
「よし、それじゃまた来るよ」
 それだけ言って、レンは踵を返した。
「あ、俺も。それとエレナ、今日は済まなかった」
「シオン、さん? 手拭いは」
「今度、返してくれれば良い」
 そう言って、俺はレンの背を追った。手拭いは、次に会う為の口実だ。そこまで考えて、俺はエレナにそうまでして会いたいのだ、と思った。
「おい、シオン。お前、エレナだろう?」
 追い付くなり、レンはいきなりそう言った。
「何の事ですか?」
「もう良い。俺は決めたぞ」
「何をです?」
「モニカを嫁に貰う。決めた」
「えっ?」
「お前もエレナを嫁にしろ」
「えっ?」
 言った直後、俺はもう一度、心の中で疑問の声をあげていた。
 父の霊廟の前で、私は祈りを捧げていた。生前、父が住んでいた館とは正反対の質素な霊廟である。これが父の遺志なのかは分からないが、この霊廟は父の性格を表しているのだ、と思えた。戦が好きで、武を重んじる。父は、そんな人間だった。
 思い返せば、私は親孝行を何一つとしていない。与えられる愛情には憎しみで返すばかりか、自らに溺れて不必要な程、奔放に振る舞った。そんな私は、父の目にどう映ったのか。父だけじゃない。フランツやエルマン、フォーレにどう映ったのだろうか。
 父に対して、どうしてもっと上手く振る舞えなかったのか。親子という間柄でありながら、その心中は敵として見なしていた。父を負かしてやる。超えてやる。私の中にあった父への感情は、そういったもので溢れていたのだ。
 間違いなく、私は父を意識していた。そして、おそらく尊敬もしていた。だが、これらが分かったのは、父が死んでからだった。失って初めて、私はその事に気付いたのである。
「父上、私は貴方を超える事が出来そうにありません。少なくとも、生涯無敗は無理でしょう。すでに私は、ロアーヌに負けています。そして、貴方にも」
 父は逝く間際に、儂を超えてみせよ、と言ったらしい。しかし、これは比較という意味ではなく、レオンハルトという名の壁を超えろ、という意味なのかもしれない。すなわち、私は長い道のりの上で、レオンハルトの壁を前に立ち止まっている。それも、長い間。だから、私は壁を乗り越え、ハルトレインという一人の男として、進まなければならない。
 私は常に誰かと競っていた。競う事で自分を確認し、勝つ事で自分を保った。しかし、そうやって作り上げた自分は、ひどく薄っぺらい存在に過ぎなかったのではないか。確かに国を守る、という意志はある。だが、それは父ほどに、フランツほどに強烈なものなのか。自分が戦い続けるための、口実程度のものになっているのではないか。
 もう誰かと競う事はやめるべきだ。そんな事に大した意味はない。真に大事なのは、自らに志を宿す事だ。それも偽りが混じったものや薄弱なものではなく、自らを保つ程の強烈さを持ったものでなければならない。
 打倒メッサーナ。それが父を失って、私が得た答えだった。レオンハルトの息子としてではない。ハルトレインという一人の男として、私は打倒メッサーナという志を掲げるのだ。
 この答えに行き着くのに、ひどく時間が掛かった。おそらく、生前の父は私をここまで成長させたかったのだろう。そのために、様々な苦言も呈した。そして、出世もさせなかった。それが父の死を経て。これはもはや、皮肉ですらない。
「私は愚かな息子です、父上。六人兄弟で一番、才の華を持っていると言われた私が、最も愚かでした。父上が御存命であられていた間、この答えに行き着けなかったのは、まさに愚かであったとしか言えません」
 後悔が無い訳ではない。しかし、過去には戻れないのだ。ならば、もう進むしかない。父も、それを望んでいるという気がする。
 私は立ち上がり、父の霊廟をあとにした。ここに来るのは、これで最後になるかもしれない。
 父が死んで、国とメッサーナは休戦状態になっていた。期限は三年とされているが、これが全うされるかどうかは分からない。背信行為というのは、いつどんな時でも起こり得るものだ。だから、国境では緊張感が保たれ続ける事になるだろう。
 そして、問題なのは軍権の所在だった。今は新宰相であるウィンセに渡っており、これについては言及しなければならない。打倒メッサーナは、軍権なくして達成できないからだ。だが、今の軍のトップはエルマンである。次点がレキサスであり、今の私は大勢いる将軍の内の一人に過ぎない。そんな人間が声をあげた所で、すぐに揉み消されるのは目に見えているだろう。
 だから、まずは軍内でトップに上り詰める事だった。そして、軍人としての質も磨き上げる必要がある。名ばかりの軍のトップなど、無価値なのだ。
 私は、自分の中である決断を下していた。それは、地方軍への異動を申し入れる事である。今、私は都の軍、つまりは旧レオンハルト軍に所属しており、これは地位という意味で安泰を意味している。だが、その最上位に座するのはエルマンであり、エルマンもこの地位を譲るという気はないだろう。エルマン自身に野心はないが、譲り得る者が居ないのだ。そして、私も今の状態で譲れ、という気は毛頭ない。
 今、国とメッサーナは休戦している。すなわち、戦がない。これは軍人にしてみれば、あまり歓迎できる事ではない。将兵は実戦から遠ざかり、戦の勘が鈍る。つまり、軍の弱体は免れないのだ。
 だが、国は少し事情が違う。南に異民族という名の敵を抱えているからだ。私が狙いを付けたのは、この南だった。南方の雄と呼ばれた、あのサウスが居た地である。
「エルマン殿、よろしいですか」
 軍務室の扉の前で、私は言った。
「ハルトレインか。良いぞ、入ってくれ」
 扉の向こうからの声を聞いて、私は部屋に入った。
 エルマンは具足姿で椅子に座っていた。さっきまで、調練をやっていたのだろう。
「レオンハルト大将軍の死、やはり悔やまれるな」
「仕方ありません。父も高齢でしたから」
 私がそう言うと、エルマンは目を伏せた。長らく、父の副官をやっていた。それで、何か想う所があるのかもしれない。
「エルマン殿、今日はご相談があって参りました」
「聞こう」
「私を地方軍に回して頂きたい」
 エルマンが、はっきりと表情を変えた。何を言っている、という顔をしている。
「本気か?」
「はい」
「何故だ?」
「打倒メッサーナのため」
「ハルトレイン、分かっていると思うが、地方軍はまだまだ非力だ。レキサスが赴任して、かなりまともにはなったがな。それに地方軍に入るという事は、レキサスの下に付くという事にもなる」
「全て承知の上です」
 エルマンの言った事は、すでに考え抜いた事だった。非力な地方軍に行って、本当に意味があるのか。レキサスの下に付く事によって、レオンハルトの血が汚れないか。そういった事を考えた上で、今回の決断に至ったのだ。
「地方軍に行って、どうする? お前はレオンハルト大将軍の息子だぞ」
「南で戦います。エルマン殿は、南方の雄であるサウスをご存知でしょう」
「知っている。しかし、サウスは叩き上げの将軍だった」
「温室育ちの私に、南は無理だと言われているのですね」
「そうではない。今の南は、サウスが居た頃とは情勢が大きく変わっている。地方軍が弱体化したせいで、昔のように戦の恐怖で支配しているのではなく、異民族とは金で懐柔しているような状況なのだ」
 それも知っていた。生前のサウスがこの事を聞けば、まさに怒り狂うだろう。
「それに、異民族の戦は厳しいぞ。メッサーナ軍のそれとは、全く異質なものだ。サウスだからこそ、あそこまで戦えたとも言える」
「全て承知の上です、エルマン殿」
 私がそう言うと、エルマンはただ唸るだけだった。こうも賛成されないものかと思ったが、それほど南は厄介な地という事なのだろう。もしくは、私がエルマンに信頼されていないのか。しかし、だからこそ南で戦う意味がある。
「レキサスに会ってこい。レキサスが頷けば、私も許可を出すしかあるまい」
 しばらくして、エルマンはそう言った。レキサスの判断に委ねる。つまりは、そういう事だ。
「分かりました。ありがとうございます」
 そう言って、私は一礼だけして部屋を出た。
 打倒メッサーナのために、私は南に行く。そのためなら、レキサスに頭を下げる事も厭わない。私はそう思っていた。
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 砦を構築するメッサーナを、私は黙って見ているしかなかった。本来なら、すぐにでも軍を出して妨害してやりたい所だが、停戦協定が結ばれてしまっているのだ。これを破るという事は、すなわち民を再び戦に巻き込むという事に他ならない。
 停戦協定そのものは、決して悪い事ではなかった。期限付きとは言え、戦が無くなるのは民にとって喜ばしい事だろう。だが、その期限が終わればどうなるのか。このミュルスは、すぐさま戦火に覆われてしまうのではないか。メッサーナが、前線に砦を構築するという事は、ミュルスに対する野心があるという事だ。そうなれば、やはり戦うしか道はないのか。戦わずして、手を取り合う方法はないのか。
 少なくとも、国とメッサーナという単位で考えれば、相容れる事はないだろう。互いに掲げているものが違うし、目指す所も違うからだ。だが、ミュルスとして考えればどうなのか。いや、私自身はどうなのか。相容れるという部分では、まだはっきりとした答えは出ないが、目指す所はすでに定まっていた。それは太平の世である。すなわち、乱世の終焉、天下統一だった。
 もっと深く掘り下げれば、天下統一するのは国であろうがメッサーナであろうが、どちらでも良い。正確には仁政を敷く方が勝つべきだが、そんな事は今の段階では分からないだろう。未来の事など、誰にも分かりはしないのだ。今はメッサーナの仁政が目立つが、バロンの死後はどうなるか分からない。そして、ヨハンが死んだ後、今の仁政を維持できるのか。
 これまで、多くの人間がメッサーナに希望を抱いて、国を捨てた。ロアーヌやシグナスといった武人がそうだし、ランスやヨハンといった為政者もそうだ。そして、建国の英雄の血筋であるバロンでさえも、メッサーナに希望を見出した。
 何故、そんな行動を取るのか。私には、それがどうしても理解できなかった。確かに大義や志というものはあるだろう。だが、それらは全て民を苦しめるだけではないのか。反乱を興せば、戦が起きる。戦が起きれば、田畑は焼かれる。若い男は兵役で取られ、最悪の場合は命まで取られる。つまり、天下が次々に疲弊していく。
 特に今後は、それが顕著になっていくだろう。メッサーナは国を興し、天下統一に躍起であるし、対する国も、レオンハルトとフランツという英傑二人を失って尚、メッサーナを迎え撃つ気骨を見せているのだ。
 乱世の終焉は、未だ見えない。天下の趨勢も、どちらに傾いているか分からない。まだまだ、戦の世は続く。今回の停戦協定は、いわば嵐の前の静けさといった所なのかもしれない。
「レキサス将軍、例の件ですが」
 ノエルだった。例の件というのは、ハルトレインの事である。何があったかは知らないが、地方軍への異動を希望してきているのだ。エルマンからも書簡が来ていて、かなり本気だという事も分かっている。
「どうするべきかな。そろそろ到着する頃だが、私としては身中に虎を飼うようなもので、あまり歓迎できるものではないと考えている」
「僕も同感ですね。ハルトレインの軍才は、扱いきれるものではありません。もしや、レキサス将軍の地位を強奪するつもりなのではないでしょうか」
 ノエルは冗談で言ったつもりだろうが、私は笑えなかった。十二分に有り得る事なのだ。と言うより、それ以外にハルトレインが地方軍にやってくる理由がない。都の軍から地方軍に異動というのは、左遷と同じようなものなのだ。ハルトレインは、自らそれを望んで来ている。だから、何らかの目的があると考えて然るべきだった。
 そうこうしている内に、ハルトレイン到着の報が入った。同時に、軍営全体に僅かな緊張が走る。あのレオンハルトの息子である。いわば、軍人のエリートなのだ。
「レキサス将軍、お久しぶりです」
 私の眼前まで来て拝礼し、ハルトレインはそう言った。そんなハルトレインに、私は面食らっていた。拝礼されるなど、思ってもみなかったのだ。
「顔をあげてください、ハルトレイン殿。貴方はレオンハルト大将軍の御子息であられる」
 私がそう言うと、ハルトレインはゆっくりと顔をあげた。眼が合う。その瞬間、私は気圧されるような感覚に陥った。どことなく、雰囲気が違う。風格があると言えば良いのか。レオンハルトも似たようなものを感じさせていたが、ハルトレインの方が勢いのようなものがある。
 私の隣に居るノエルが、唾を飲み込んでいた。ノエルは私よりもずっと鋭い。だから、私以上に何かを感じ取ったのだろう。
「レキサス将軍、エルマン殿から大体の話は聞いていると思います」
「地方軍への異動を希望されているとか」
「その通りです。そして、私を南に回して頂きたい」
 南。ハルトレインは南と言った。しかし、その理由がわからない。眼を見て何かを探ろうと思ったが、ただ澄んでいるだけで、不純な色はなかった。やはり、以前のハルトレインとはどこか違う。
「ハルトレイン将軍」
 急にノエルが口を開いた。顔を見たいと思ったが、私の目はハルトレインに向けられたまま、動かなかった。
「南は異民族が闊歩する土地。かつてはサウス将軍が治めていましたが、今は」
「知っていますよ、ノエル殿」
「では、何故」
「打倒メッサーナのため。もっと言えば、軍権を得るためです」
 はっきりと言った。しかし、不思議と野心は感じさせない。眼が澄んでいる。私の知るハルトレインの眼は、もっと憎悪のようなものが入り混じっていた。
 自らの処遇に不満を抱き、周囲の者達を敵とみなす。以前のハルトレインは、そういう男だった。だからこそ、危険だったのだ。敵、味方という区別がなく、自分の存在だけが絶対だった。肉親であるレオンハルトでさえ、敵視していた節もある。
 しかし、今のハルトレインは違うという気がする。その身に纏っている風格は、清廉なものさえ感じさせるのだ。
「軍権ならば、今のエルマン将軍から受け継げば良いのではありませんか?」
「その軍権に意味はありませんよ、ノエル殿」
 意味がない。つまりは、価値がないという事なのか。確かに、今のハルトレインの立ち位置で軍権を得ても、周囲からは親の七光りだと馬鹿にされるのがオチだろう。いや、そもそもで軍権を得ようとした時点で、決して良いようにはならない。現状では、単純に権力を欲している、という風にしか見えないからだ。そうなれば、エルマンも意固地になってくる。
 しかし、南で実績を上げたらどうなのか。ハルトレインの狙いは、この辺りにあるという気がする。わざわざ、地方軍に異動という道を選んだのは、ある種の覚悟のようなものだろう。つまり、自らを奮い立たせた。
 やはり、以前のハルトレインとは違う。甘さがない。そして何より、眼に不純な色がないのだ。今のハルトレインは、周囲に牙を剥く虎ではなく、誇り高き武神の子なのかもしれない。
「良いでしょう、ハルトレイン殿。地方軍に歓迎します」
 決断すると同時に、私は言っていた。
「レキサス将軍」
 ノエルだった。口調にたしなめる色が混じっていたが、無視した。
「ちょうど、南には戦える将軍が居なかった。そこに赴任して頂けるのなら、私も助かります」
「ありがとうございます」
 そう言って、ハルトレインは頭を下げた。
 今の南は、異民族と金で懐柔、と言えば聞こえは良いが、実質はその横暴を見過ごしているのが現状である。おかげで南は飛び抜けて治安が悪い。民の間では、人が住む地域ではない、とまで言われているのだ。これを打破するには、やはりサウスの頃と同じように戦で思い知らせてやるしかない。ただし、それが出来ればの話である。
 ハルトレインに、その可能性があるのか。いや、可能性を見出したからこそ、私も地方軍に招き入れた。
「では、私はこれで。急ぎ、この事をエルマン殿に伝えなければなりませんので」
「分かりました。帰りの道中、お気を付けて」
 私がそう言うと、ハルトレインは僅かに頷き、去って行った。
「何故です、レキサス将軍。虎を飼い慣らせると思っているのですか」
 しばらくしてから、ノエルはそう言った。
「あれは虎じゃないぞ。武神の子だ。まだ、赤子のようなものかもしれんが、武神の子だ」
 ハルトレインは、乱世を終焉へと導く存在になるかもしれない。武神の子が大きくなり、真の武神となり得た時、それは実現するような気がする。しかし、まだ小さい。小さいが、その存在を示した。私は、そう思っていた。
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