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これからは別として(最終話)

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 アプローチの様は違っても、イトコさんと僕はともに右近を女子にしようとがんばっていたのだ。
 イトコさんは決して右近へ嫌がらせをしていたわけではない。
 ただ、結婚させられるという事実があったため右近が一方的に嫌っていたのだ。
 けれどイトコさんは彼なりに必死で右近のなすび妖精を取り上げようとしていたんだ。
 いうなれば僕なんかよりよっぽど積極的に右近へ働きかけていたのだと思う。
 事情をよく知らなかった僕は右近のなすび妖精を手にするイトコさんを見るなり敵対心をむき出して恐れを忘れてとびかかったのだった。そして乱闘。
 売られた喧嘩は買うぞとばかりにイトコさんは僕を打ちのめした。
 後で知ったのだけど、学内で右近が女子だと知っているのは僕のほか、長瀬先輩さんとイトコさんだけ。(保健室の先生は数に入らない)
 イトコさんは僕のことで右近へなすび妖精をよこせと揺すっていたのではなく、長瀬先輩と右近の関係を知っていて揺すっていたのだ。
 そうとは知らない僕は揺すりの原因が自分にあるだなんて思い込んでいた。
 バカだった。

 さてと、結局のところ手遅れになった女子、桐王右近。
 彼女は今後もやはりその体質は改善する見込みはないと保健室の先生は語っていた。
 なぜなら、鴨川のどこかにまだあの変ななすび色をした妖精が生息しているらしいからなのだ。
 故にまた右近が川遊びをすれば妖精は生贄となった者の臭いをかぎつける。そしてまた彼女の雌性を食らおうとするだろう。
 そして右近が川遊びをした川の水は植物にとって栄養豊かな水となり町を流れていく。
 あるいは彼女なら、自分に寄って来た妖精をまたペットにするだろう。
 それほどまでにあのなすび妖精との遊戯が心地いいらしいのだから。
 ため息だ。
 もう、本当に君はおちんちんのない男子なんだね。
 そんなままで女子の人生を歩むんだね。
 でも、かっこいいから、いいよね君は。
 きっとそれは救われているってことだよ。


 それに引き替え僕は……。


「ブーちゃんその恰好、俺、割と好きかも」



 なすび妖精を飲み込んでしまった僕はその後女子に性転換してしまった。
 イトコさんとの乱闘中、飛んできた妖精を誤って飲み込んでしまった。
 その末路である。
 僕はやはり気絶してしまって覚えていない。
 保健室の先生は新しい事例だといって喜んでくれた。
 イトコさんには哀れまれ、頭をなでられた。
 長瀬先輩さんにはさらに嫌われた。
 立川女史には握手された。
 そして右近には、もう男女の恋ができなくなった。


 教訓。
 恋する女子は鴨川で水遊びをするべからず。(恋してなくてもダメ!)
 恋する男子は鴨川の妖精を食べるべからず。



 僕が女子になっても変わらないことが一つある。
 それはデブなこと。



 おわり
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