あなたを語りたい/硬質アルマイト
じわじわり滲み広がる君の袖我が癒を塗りて彩で囲まん
引いた線あちらとこちら顔合わせ笑うと負けと君は泣く
泡沫の高々のぞく水面にわびしことのみ割れずたゆたう
薄く切り沁みる傷口少し舐め流れる痛みあおはるのあじ
湯気の白立ち上り消え曖昧に苦み走った黒とはいかず
かじかむ手暖めますかふれる雪冷たい手と手おしろいまみれ
嫁入りの生ぬるい雨身に受けて滲んだ想いつまんでおくれ
「届かない」そう思いこむ君と君鏡合わせといつ気づくかな
りんごあめ並ぶ屋台に浴衣揺れ笑うお面に染まる橙
こんな夜につきなし雲居寂しげに杯越しの空には濁酒