わたくしの恋ってあまねくフィクションよ 厘の本意を挿し色にした
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きみの手と紫煙の線がにじりより 共に毒されよろこんで死ぬ
愛染の帯に巻かれて着崩れど 爪先に乗る塵が気になり
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夜具に染む香りの尾びれ追いかけて目を閉じ降りる 夢のしじまへ
いつからかあなたは服を着ているの まだ私いる?まだそこにいる?
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スズメバチ あさの路面を分け隔て さきで待つ人 舞う涙雨
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伝えたいこと伝えないことだらけ ごめんうそつく。うそつけばいい。
夕星も街の血潮も雨音もひとりでも好き。 油断しないで
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鱗粉でめくらを作る虫となり駆除される夢 やれよ、嗤えよ
身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれとかね 生きていくのに死ぬ覚悟あり