誰も呼ばない/いそ。
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給食のあとのお昼休み。外からは元気に遊ぶみんなの声が聞こえていた。
だけど、わたしは1人で絵を描いていた。
かってうれしいはないちもんめ。
嬉しそうな声でみんなはそう言う。
手を繋いで、仲良さそうにスキップを始める。
それはわたしが入っても同じだった。
まけてくやしいはないちもんめ。
だけど。
みんな私の名前は呼ばないから。
だから、今日も1人で絵を描く。
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『~~ちゃんも来ない?』
友だちは優しそうな顔でそう言ってくれる。
それをわたしはいつも拒否する。
『ごめん。わたしは1人の方が好きだから……』
――でも。
「……ぇぐ……ぐす……ひっく」
わたしは泣きながら描いていた絵をグシャグシャにつぶした。
1人が好きだなんて、本当は嘘なんだ。
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私は今日も1人。
みんなは外で元気。
仕方ないから歌でも歌おう。
「かぁってうれしいはないちもんめぇ♪」
聴いてくれる人なんていないけど。
「だぁれもよばないはないちもんめぇ♪」
それでも私は、歌を歌おう。
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たぶん、みんな嘘つきなんだ。
本当は誰も楽しくなんてないんだ。
1人が好きだなんて嘘なんだから。
だからみんなも嘘つきなんだ。
楽しくないくせに笑うはないちもんめ。
嬉しくないくせに笑うはないちもんめ。
そう思うと、悔しくなって悲しくなって。
嬉しくなって楽しくなって――。
――ホウキを手に持って、私は外に出た。
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かってうれしいはないちもんめ。
みんなは相変わらず元気だった。
だから、私は振り下ろした。
うそつきなはないちもんめなんて、もうしたくないよね?
「ねぇみんな。もっと楽しい遊びをしない?」
わたしが欲しかったあの子が血しぶきを上げて倒れこむ。
みんなは怯えてわたしを睨んでいた。
「おにごっご。しようよ」
私は血まみれになったホウキを振り上げた。
-了-