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地上世界

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「なん・・・だって? つまりここは魔術師の世界で俺は転生してしまったというのか」
「そういうことになる」
「レベルは高くしてくれるんだろうな!!」
「前世での不幸指数による。君の場合は」
 女神はパラパラと本をめくって
「780。平均的な日本人の指数は20程度。きみはチート人生を送れる」
「やったあああああああああああつまり俺は勝ち組ってこと?」
「そうなる。なんでもできる。おおよそすべての能力がマックス。倒し方がないレベル」
「ッしゃらああああああああああああああ」
「喜んでもられて嬉しい。それで? 獲物は何にする」
「当然片手剣だぜ」
「よろしい。では伝説の魔剣エベルオンをあげよう。これがあれば幸運値も跳ね上がって自動的にお金が入ってくる。月ぎめ駐車場レベル」
「マジかああああああああああやったあああああ
 辛いことばかりだったけど頑張ってきてよかったよ! ありがとう女神様!」
「君には幸せになる権利がある」
「俺もそうだと思ってました! っしゃあらああああああああ」
「ではシーユーアゲイン」
「もう会いたくねーよバーカ! ひゃっほおおおおおおおおい」
 俺は落下していった、白い空間を、そして落ちた、下界へと。
 どずんっ
「ううむ?」
 そこは平原だった。俺は剣を支えにして立ち上がった。
「ここは・・・」
「ここはパルキア大陸」
「うわあ女神さまどうしたんです」
「君が心配なので見守りにきた」
「それはどうも」
「ここらいったいには魔物が多い。早く街へいこう」
「わかりました」
「時に君、服を着たまえ」
「へっ? うわああああああああ」
「サイズは前と同じにしておいた。まあ、問題ないだろう」
「あるよ! くっそお大事なところだよ! なんとかしてください!」
「むう。仕方ない。あんまり見たくもないんだが」
 女神様が杖を俺の股間に向けて一振りすると、
 むくむくっ
「おおおおお!」
「これくらいでどう?」
「いやっ、わかんないけど・・・オッケーっす! だいじょうぶっす! あ、でもなんかまずかったらその時は・・・?」
「君の魔法でも自由自在。お好きにどうぞ。馬なみでも豆なみでも」
「よっし」
「きゃああああ」
「今の悲鳴は!?」
「君の股間を見て逃げ出した農民の子だろう! 早く服を着ろ」
「じゃあ出してよ」
「仕方ないなあ」
 俺は服をもらった。
「ありがとう女神様!」
「うむうむ。ところで眠気がひどいようだな」
「そうなんです疲れてて」
「いいだろう休むがいい」
 目を開けると洞窟だった。
「ここは」
「起きたかビガル」
「え? ・・・・うう、眠い」
「無理もない、連日連夜この地下洞窟で俺たちキャラバンを守りながら闘っているんだ。休んでいてくれ」
「そうだったっけか・・・」
 そうこうしているうちに魔物が出た。
「おおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」
 俺の気合を食らって巨大なゲル状の化け物は蒸発した。
「次!」
 俺の左袈裟が唸りを上げて吹っ飛んだ。
「でえええい近距離魔法、リング・ブラスト!」
 俺の円が魔物を切り裂く!
「あれは!?」
「魔物の中将、ロ・バルテアだ!」
「倒さなければ・・・・」
「手を貸そう! 俺たちもライフルぐらいなら持っている」
「ありがとう助かるよ!」
「俺たちのためさ、きにするな!」
 どんどんどん!
 煙幕があがる。爆発が起こる。みんな頑張って闘っていた。いつの間にか他のキャラバンも合流していた。王立騎士軍の姿もある。
「みんな・・・!」
「お前を一人にはさせないぜ!」
「バルテアは強い! ここで倒しておかないと!」
 バルテアは苦しんでいた。
「お、俺の技が通用しないなんて・・・貴様何者だ!」
「勇者、かな」
「勇者だと・・・・・・」
「そしてお前は悪者だ! 喰らえ奥義・ピーキーカッター!」
 じばばばばばばっ
 バルテアの触手の一本が吹っ飛んだ。
「ぎあああああああああああ」
「はっはっは、みたか俺の強さ、俺の正しさを!」
「くそおおおおおおおおおお」
「まだまだいくぜ、炎熱魔法ホーリーストライク!!!!!」
「ぐあああああああああああ」
「氷結魔法ライトニング・ストリーム!!!!!!!!!!」
「ぴえええええええええええ」
「電熱魔法ブリザード・ブリザード!!!!!!!!!!!」
「えええええええええええええええ」
「暗黒魔法ジャッジメント・ブラッディア!!!!!!!!!!!!」
「たすけてええええええええええええええ」
「ははははは助けてはやらない。助けてやりは絶対にしない! くたばれ中将、そして死ね!!!! 貴様が苦しめてきたものたちに詫びを入れながらみじめに一人、あの世へいけ!!!!!!!!!!!」
「うわあああああああああああああああ」
「とどめだ! 最終奥義ミルク・オブ・サターン!!!!!!!!!!」
「ぼええええええええええええええええええ」
 どかああああああああああああああああん
 バルキアは死んだ。だがまたワラワラと敵が出てきた。中将の仲間や同僚たちだ
「くそどもが! 負けたこともわからんのか!」
「どうするビガル」
「どうするもこうするもあるか、俺たちの総攻撃で」
 落盤が起こった。
 あれだけ暴れていれば当然だ
 俺たちは闇に飲み込まれた。
 うっわああああああああああああああ
「畜生、こんなはずじゃ・・・・防御魔法ストライク・フィールド!」
 俺は自分を鋼鉄にする呪文をかけた。
 だが仲間たちは瓦礫に飲み込まれていった。
「みんな」
「選択を間違えたようだな!」
「なんだと!」
 俺のそばを通りかかった中将のひとりモ・ミッキスを俺は袈裟切りにした。
「ふ、ふふ俺を倒しても第二第三のぐはあ」
 ミッキスはとけた
 俺はふふんと笑った。
「俺は負けない、なぜならチートだから・・・・爆発魔法を地下そのものへぶっ放す! 喰らえテロメーターディバインスラスター!!!!!!!!!!!」
 俺の魔法で地球が粉々になった。
「なんてこった」
「だいじょうぶさ」
 女神がいた。
「この世界に代わりはいくらでもある。すぐ別の転生先を用意しよう。そこでまたチートな生活をするがいい」
「ああ、そのつもりだ。チートじゃないと生きてるって気がしないからな」
「そうだろうな」
「チートこそわがよろこび・・・」
「いいぞそれでいい」
「ふふふふ、さあ送ってくれ新しい星へ!」
 俺はまた平原に転がっていた。起き上がってエベルオンを確かめる。
 その鞘に映った、なまっちろい顔は、昔のまま。俺は変化魔法で美青年になった。立ち上がり歩き出す。
 気に喰わないものを求めて。




「完」
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