のんびり王国
夢を追いかけ 情熱を求め
俺はのんびり王国へとやってきた。
ここはすべてが叶う国
何も苦しむことはなく
何も悲しいことはない
それだけの王国
俺はのんびりすることにした。
それがこの国の法律だからだ
落ち着いて 冷静になって
剣を振り回せばいい
そうだろ
俺は宿屋の門をくぐった
「いらっしゃいませー」
「ジュースください」
「よろこんでー!」
指がなかなか動かない。
タッピングがわりいのかも
俺は意識をのんびり王国の中にぶちこみながら
ひたすらに待った 幸福を
そこで俺は何も考えず
苦しむこともなく
暮らすのだ
俺は宿屋で休息した
ここなら誰の手も伸びてこない
平平凡凡帝国だ
だから俺はここが好きなのだ
稚拙でもいい 何もなくてもいい
ただ幸福であるこの国が
ああ何もいらない
欲しくもない このままここで
何もかも 終わればいい
そうだろう
あくせくしたって 結局なんだ
自分自身には戻ってこない
悲しい時間が過ぎていくだけ
俺はもういやなのだ そんなことは
いっそ死を
強い死を
俺は求める それが永遠
答えというもの
俺は宿屋で休息した
剣を預ける 宿娘に
そうして何か 幸せになる要素とか そういうものを
探して歩く
指か 指が悪いのか
それともなんだ 何が悪いんだ
畜生
俺にはもっと やるべきことが
あったはずなのに
どいつもこいつも死んでしまえ
俺は嫌なんだ いちいちどいつも
なんなんだ 俺のことを悪者にして
俺は勝ったぞ 勝ったんだ
だから何をしたって許されるし
そうあるべきなんだ
俺は 間違ってねえ
正しいのは この俺だ
そうやって今までやってきた
これからだってそうするんだ
俺は間違ってねえ お前ら俺を悪者にする
わるいやつらだ!
俺は悪くねえ 間違ってもねえ
どいつもこいつも死んでしまえ
そうだ! 俺は英雄なんだ この世界で
俺は剣と魔法を振り回し
誰にも負けない俺になる
それでいいんだ 生きるよりずっといい
生きてなんになる? なんにもありはしない
そうだろ
俺はこっちのほうがいい ラクで楽しい いいことづくめ
それのどこが悪い?
結局、勝つやつは神様に選ばれたやつ
なら最初から選ばれているこの世界なら
何もかもお茶の子サイサイだ
そうだろ?
俺は眠いんだ いつも眠い
鋭い光が目を焼いて
俺はもう嫌なんだ そうだろう?
誰もかれもが俺の悪口ばかり
そんなに俺が悪いのか
呪われた一族だ
俺は俺は悪くねえ
死ぬのは俺以外の誰かでいい
てめえだ! おまえだ!
死んじまえ!
俺は悪くねえ 悪いのはお前だ
畜生 どいつもこいつもゴミばかり
俺は悪くねえ 死ぬのはお前だ
ああ どこか 天国に一番近いところ
そんなところで ラクになりたい