1. 2012年2月
◆『Y女生徒の日記帳』より抜粋
2012年2月24日
私はいつの日も希望を求めていた。
雨の日だって、風の強い日だって、夢の中でだって。
それなのに現実は私の前に無慈悲にも立ち塞がる。
仕舞いには、執拗に希望の選択を強要する。
こんな世界は、嫌い。
◆『×県××新聞夕刊』より抜粋
「×県××市郊外の山林にて女死体見つかる。
背中に刺傷。怨恨の類か?」
2月29日の午後12時頃、×県××市の山林にて女性の死体が発見された。山の所有者でもある近隣住民が発見し、警察への通報で事件は発覚した。
女性は持ち物及び親族の判断により、××市の××高等学校三年の女生徒だと判明した。
女性死体の背中には刺傷が1か所のみ存在し、他は目立った外傷は発見されなかった。抵抗の跡や、背中の刺傷から警察は女性の知人が何かを知っているとしており、何かしらの事件に巻き込まれたのではないかと捜査を進めている。