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女流武者 御剣桜華 第八幕 雲が消える夜明け

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 雲之介の武士の中で最も優れた武士、東雅の要求により、桜華は決闘の場所である備前城の兵士の練習場へとやってきた。その場所で、二人は刀を交えていた。
 「お前、女としてはよくできるほうだな・・・。だがまだ甘いな!!」
東雅はそう言いながら桜華に斬りかかる。しかし桜華は一瞬の判断で刀を構え、東雅の攻撃を防いだ。
 「何ぃっ!!」
東雅は桜華の行動に驚いていた。その隙をついて桜華は刀を持つ手に力を込め、東雅の刀を跳ね返そうとする。しかし東雅も負けじと刀に力を込める。
 「くそっ!!油断しすぎたな・・。だが、受け流すのみだ!!」
東雅は刀を持つ手にさらに力を込め、桜華を後ろへと突き飛ばそうとする。
 「まだだ・・・。こんなところで負けるわけには行かないっ!私は両親の仇を取るまでは・・死んでも死に切れぬ!!」
桜華はそう言うと、つばぜり合いをやめて後ろへと引き下がる。その判断に怒りを感じたのか、東雅は桜華にそう言う。
 「両親の仇か・・だが、そんなもののために戦って何の意味があるというのだっ!」
東雅は刀を構え、桜華へと向かっていく。
 「私は・・悪の大名である虎雅により、両親を殺された。その憎しみと怒りを胸に、ここまで戦ってきたのだ!」
桜華は再び刀を構え、叫びと共に東雅へと向かっていく。桜華は渾身の力を込め、東雅の刀を天へと跳ね飛ばした。
 「ぐぐぐ・・もはやここまでか・・・。雲之介様・・無念なリ・・。」
東雅がそう言った後、東雅の刀が宙を待った後、地面に落ちる。桜華は東雅の喉元に刀を突きつけると、東雅を宥めるかのような言葉でそう言う。
 「貴様は殺しはしない・・。私が倒したいのは・・私の両親の命を奪った虎雅のみだ。貴様、東雅と言ったな。ならば雲之介の武士を離れ、我が家臣として働いてもらおう。雲之介なら共に戦っている鋼獅朗殿が倒してくれるであろう・・。」
桜華は東雅に家臣になるように言った。すると東雅は首を縦に振り、そう言う。
 「貴様の力、認めざるを得なくなったな。お前が望むなら、雲之介の元を離れ、あなたの家臣として参ろう・・。それより、貴様の名はなんと言うのだ?」
東雅は桜華に名前を尋ねると、桜華が東雅の喉元から刀を離し、こう答える。
 「私の名は御剣桜華と申す。桜華とでも呼んでいただければ光栄だ。さぁ、鋼獅朗の元へと急ごうか、東雅殿よ・・。」
雲之介の武士を抜け、桜華の家臣となった東雅を引き連れ、二人は鋼獅朗の家臣たちが待つ備前城の天守閣へと向かうのであった・・。

 一方天守閣では、鋼獅朗と雲之介が戦っていた。緊迫した表情の中、先手を取ったのは雲之介であった。雲之介は自分の身長ほどある大きな棍棒を振り回し、鋼獅朗を攻撃する。
 「ぐはははっ!!鋼獅朗よ・・動きが昔とは違うな・・。やはり多くの家臣と共に強くなったか知らないが・・この俺に勝つことは不可能だ!!」
雲之介は大きな棍棒を振り回し、鋼獅朗に攻撃を仕掛けてくる。しかし鋼獅朗は刀を構え、雲之介の棍棒を受け流すべく、ただ必死に耐えていた。
 「貴様・・我が祖国を奪い、我が家臣を皆殺しにしよって!!この恨みを晴らすまでは・・負けられぬのだっ!!」
祖国を思う気持ちが、鋼獅朗を動かしたのだ。鋼獅朗が刀に力を込めると、一気に雲之介の棍棒を振り払い、一気に懐に入る。
 「喰らえっ!!我が恨みの一撃をっ!龍牙流・二刀龍咬撃!」
鋼獅朗は両手に持った刀に力を込めると、素早い動きで雲之介の体を切り裂いた。その一撃を受けた雲之介は、後ろへとのけぞったが再び態勢を立て直す。
 「ふはははっ!!いいぞっ!いいぞ鋼獅朗よ・・。強くなったなぁ!!だが、この私には痛くもかゆくもないわっ!!」
雲之介はそう言って再び棍棒を握り締めると、雲之介はその棍棒を振り上げ、一気に鋼獅朗に振り下ろす態勢に入る。
 「喰らえっ!!こいつで今度こそお前を葬ってやるぞ!」
雲之介がそう言った瞬間、振り上げた棍棒が鋼獅朗に振り下ろされた。その一撃に耐えるため、鋼獅朗は両手に刀を構えて防ごうとするが、振り下ろされた棍棒の力により大きく吹き飛ばされた。
 「ぐわああっ!」
その棍棒の一撃は鋼獅朗の刀を折るほどの威力であった。しかし、棍棒の一撃を受けてなお、鋼獅朗の愛刀である「龍刀獅子丸」は無事であった。
 「よかった・・。「龍刀獅子丸」だけは無事であった・・。こいつだけは折らせてはならぬ・・。さてと・・雲之介よ・・そろそろ反撃といこうか・・。」
鋼獅朗は再び立ち上がり、雲之介に反撃を仕掛けるべく、刀を構える。
 「無駄だ・・。何度やっても俺の棍棒の前には無力だ・・。お前の刀など何の役にも立たぬわ!」
雲之介は鋼獅朗を嘲笑うかのような言葉で鋼獅朗にそう言う。その言葉に、鋼獅朗は怒りを露にする。
 「よくも私の愛刀である「龍刀獅子丸」を馬鹿にしてくれたな・・。私の刀を侮辱した罪・・万死に値する!!」
鋼獅朗はそう言って怒りの表情で雲之介を睨み付けると、再び雲之介に斬りかかった。
 「フフフ・・今度は外さん・・今度こそこの棍棒でお前の首を刎ね飛ばしてやる!!」
雲之介はそう言うと再び棍棒を握り締め、鋼獅朗めがけて振り下ろす。しかし、棍棒が振り下ろされた瞬間、鋼獅朗の姿は無かった。
 「何故だっ!!確かに私の棍棒は貴様に当たったはずだが・・・がはあっ!!」
雲之介がそう言った瞬間、鋼獅朗が後ろから雲之介を貫いたのだ。鋼獅朗が雲之輔の体から刀を引き抜くと、彼は地面に倒れる。
 「馬鹿な奴だな・・それは私の気迫で見せた幻だ・・。お前が力で私に勝っていても、気迫で負けていたのが唯一の敗因だったな・・。私の仇敵、雲之介よ・・。備前城は再び私の国となるのだ・・。」
備前を支配していた雲之介が敗れた事で、備前は雲之介領から龍牙領となった。天守閣の外からは、長く続いた闇を照らすような夜明けが目に映った。
 「おお・・いい夜明けだな・・。これから備前の町は再び私が統治する平和な城を築きたいものだな・・。」
鋼獅朗が天守閣の外から見える夜明けを眺めているとき、桜華が走ってやってきた。
 「鋼獅朗様・・助太刀に・・あれ?」
桜華がそう言って辺りを見回すと、そこには鋼獅朗との戦いに敗れ、横たわる雲之介の死体がそこにあった。
 「桜華よ・・雲之介は私が倒した・・。これからこの備前は、私の領地だ・・。家臣たちも戦いで疲れているであろうし、今日は宿でゆっくり休むがよい・・。私はこの城を掃除しなくてはならないからな・・。戦いで死体がごろごろ転がっているのだからな・・。死体だらけの城で統治を行うのはすこしまずいであろう。」
鋼獅朗がそう言うと、桜華は少し微笑む。
 「少し聞きたいことがあるが、桜華よ、天守閣の前にいた東雅という武士は倒したのか・・。」
鋼獅朗の言葉に、桜華が何か言いたげな表情で答える。
 「東雅は・・私の説得により私の家臣となった。これからは私の力になってくれると言っておった・・。東雅よ、このお方がこの備前の統治者である鋼獅朗様だ・・。」
桜華の言葉で、後ろから東雅が現れ、鋼獅朗にそう言った。
 「あなたが鋼獅朗様ですか・・。私はかつて雲之介の元につかえていた柳生東雅と申します。このたびは雲之介を倒していただき、ありがとうございます!これでこの備前の国も平和になるでしょう。私は桜華殿の家臣としてこれから虎雅を倒しに行くつもりです。」
東雅が自己紹介を終えると、鋼獅朗が答える。
 「東雅殿よ、これからは桜華と共に虎雅を倒すためにがんばってくれ・・。今日は疲れたであろう。宿でゆっくりと休むがよい。明日はこの備前城を取り戻した記念として、この城で盛大な宴だ・・。楽しみに待っててくれ・・。」
鋼獅朗はそう言うと、村の全員を集め、城の掃除に取り掛かるべく、村の全員に呼びかけに行った。
 「さてと・・疲れたことだし、今日は宿で一晩泊まるとしよう。宿代なら心配要らぬ。新しい領主である鋼獅朗からは金は取れぬからな・・。」
備前城を取り戻すために戦った桜華と東雅は、宿で疲れを癒すため、鋼獅朗の家臣たちが集まる宿に向かうのであった・・。

鋼獅朗の武功により、備前城を取り戻した。
東雅という家臣を得た桜華とともに、宿で疲れを癒すのであった・・。
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