リリシアとベルが魔王の試練に挑戦している間に、仮面の魔導士の館が何者かに襲撃を受けた。仮面の魔導士はその襲撃者のもとに向かった。
「お前が仮面の魔導士だな!!俺は魔曹長ダルキスだ。お前を倒して、名を上げる!!」
三人の襲撃者が仮面の魔導士の館に土足で入り込んできた。
「ほう・・。魔界の闇の眷属のお出ましか・・。ここはお前みたいな奴が来るところではない!今すぐ帰りたまえ。」
仮面の魔導士がそう言うと、襲撃者が怒りの表情を浮かべた。
「お前を倒さないと・・、俺たちゃ帰れないんだよっ!!!」
ダルキスはいきなり武器を手に取り、仮面の魔導士に襲い掛かってきた。
ダルキスは大きな斧を振り上げ、仮面の魔導士に力いっぱい振り下ろした!!
「喰らえ、我が斧の威力をっ!アクス・プレッシャー!!」
ダルキスの斧は仮面の魔導士にはあたらなかった。重く大きな斧を振り上げている分、命中率とスピードが下がっていたのだ。
「当たらないな・・。なら私の術を喰らうがいい!魔導術・エルフレス・アグニード!!」
仮面の魔導士が術を唱えると、手のひらから炎が放たれ、ダルキスを焼き尽くす。
「ぐわあああああっ!!」
炎に焼き尽くされたダルキスは、その場に倒れた
「ダルキス様っ!!ダルキス様があそこまでやられてしまうなんて・・。は・・、歯が立たん!!ここはいったん退却だ!!」
魔界の兵士が傷ついたダルキスを連れて、館から逃げ出した。
「やれやれだ・・。私の首を狙ってくる奴はこれだからな・・。」
仮面の魔導士が呆れ顔でそう言うと、再び眠りにつくのであった。
一方魔王の試練を受けることになったリリシアとベルは、魔王の力を得るため、別行動を開始した。
「私は色欲の塔に、ベルは暴食の塔に向かうのよね。さぁ、戦いの始まりよ!!」
リリシアがそう言うと、二人は試練を受けるため、急いで塔に向かった・・。
色欲の塔へとやってきたリリシアは、色欲の塔の外に来た。
「ここが色欲の塔・・。ここをクリアすれば、私は魔王になれるのよね・・。」
リリシアがそう言うと、早速塔の中へと入っていった。
塔の中でリリシアを待っていたのは、一人の女剣士であった。
「ようこそ、色欲の塔へ・・。私は闇剣士エルザ。この部屋を守っている番人よ・・。私を倒さない限り、ここから先には進めないわよ・・。」
闇剣士のエルザがリリシアにそう言うと、細身の剣をリリシアに向けた。
「私と戦おうって言うの・・。だったら、私の力、見せてあげるわ・・。」
リリシアは髪飾りをはずすと、髪飾りは鉄扇に変わった。リリシアが鉄扇を持つと、エルザに鉄扇の刃を向け、挑発する。
「身の程知らずね・・。じゃあここで死んでもらうわ・・。」
エルザが怒りの表情でそう言うと、二人は戦闘態勢に入った!!
緊迫した表情の二人だが、先手を取ったのはリリシアであった!
「喰らいなさい、我が舞をっ!!その舞が終わったとき、あなたの命も終わるわ・・。」
リリシアは戦闘中にもかかわらず、鉄扇を使い踊りだした。その挑発ともいえる踊りに、エルザは怒りを感じたのか、細身の剣でリリシアを攻撃した!!
「攻撃が当たらないっ!!なぜなの!?」
エルザの攻撃は、リリシアにひとつも当たらなかった。
「遊びは終わりよ・・エルザっ!!喰らいなさい、煉獄投扇興!!」
リリシアは炎を纏った鉄扇をエルザ目がけて投げつけた!その一撃を受けたエルザは、鉄扇が体に刺さったままその場に倒れた。
「エルザ・・悪く思わないでね・・。私は魔王になるために人間を捨てたんだもの・・。」
リリシアは倒れたエルザから鉄扇を取ると、鉄扇は髪飾りの形に戻った。リリシアは髪飾りをつけなおすと、急いで次の階へと向かった・・。
その一部始終を水晶玉で見ていた魔界王メディスは、魔軍師のガルアドスを呼び寄せた。
「ガルアドスや・・。あの娘、捨てたはずのお前の娘ではないか・・。」
ガルアドスが水晶玉を見ると、そこには成長したリリシアの姿がそこにあった。彼はリリシアが産まれて間もない頃に魔界に戻ったので、赤ん坊の頃の姿しか覚えていないのだが、魔王の試練に挑戦しているあの娘がリリシアだということは分かっていた。
「あの娘・・。まさかあのリリシアだというのか!?確かに7歳の頃我が妻であるグラシアが捨てた娘のことか!グラシアは私を探しに行くため、エルジェから離反し、フェルスティアと魔界をつなぐ魔界の門へと向かった。そして魔界へ向かい、私の元に向かったのだ・・。そして今、グラシアはここにいる・・。」
ガルアドスがそう言うと、リリシアの母親であるグラシアが現れた。
「失礼します・・。」
グラシアがそう言うと、ガルアドスが答えた
「グラシアや・・・、あれが私の娘だ。私とグラシアの計画が失敗したようだ・・・。今からエルジェに戻り、昔の普通の生活をすごそうではないか・・。」
ガルアドスはそう言うと、グラシアをつれてどこかへ飛び去っていった。
ガルアドスとグラシアが去ったあと、魔界王メディスが呟いた・・。
「あの二人・・、いつかあの娘に復讐されるに違いない・・。」
メディスは再び水晶玉を使い、リリシアの様子を見るのであった。
一方リリシアは、二人目の番人を倒し、色欲の塔の3階に向かおうとしていた。
「この階をクリアすれば、魔王リリアンの力を手にすることができる・・。そのためにも、私は負けられないわ!!」
リリシアはそう言うと、急いで階段を駆け上がり、3階へとやってきた。
3階にやってきた彼女は、ただならぬ気配を感じた・・。
「なんだか嫌な気配を感じるわ・・。」
リリシアが嫌な気配を感じると、突如異次元から凶暴な魔獣、ダークライオンが現れた。どうやらダークライオンが、3階の番人にして最強の敵であった。
「ガルルルルルル・・・・!!!」
ダークライオンはリリシアのほうを睨み、警戒していた。今にも襲ってきそうなほど頭に血が上っているようだったが、リリシアは冷たくあしらった。
「私の邪魔をするようなら、その体で教えて差し上げますわ!!」
リリシアは鉄扇を手に取り、戦闘態勢に入った。リリシアの殺気立った目を見たダークライオンは、唸り声を上げながらリリシアに飛び掛った!!
「グルオオオッ!!」
ダークライオンはリリシアの喉元をめがけて噛み付いたが、リリシアにかわされてしまった。
「頭に血が上りすぎよ・・。少しは冷静になったらどうかしら。その状態なら、一生かかっても私には勝てないわ・・。」
リリシアの冷たい言葉に怒りを感じたのか、ダークライオンは爪を立てリリシアに飛び掛ってきた。
「どうやら完全に怒り狂ったようね・・。今度は私の番よっ!!」
リリシアは飛び掛るダークライオンの一瞬の隙を突き、一気に鉄扇で斬りかかった!!
「はあっ!!」
リリシアの鉄扇が、ダークライオンの体を切り裂いた。リリシアの鉄扇によって切り裂かれたダークライオンは、痛みのあまりのた打ち回っていた。
「喰らいなさい、魔導術、テスタロン・ウィップ!」
リリシアは炎でできた炎の魔鞭を振り回し、ダークライオンを攻撃した。炎の鞭の一撃一撃が、ダークライオンの体に大きなダメージを与えていく。
「グルオオオオオオッ!!」
炎の魔鞭の攻撃を受け、ダークライオンはその場に倒れた・・。ダークライオンが倒れたのを確認すると、リリシアは最上階へと向かった。
最上階に向かった彼女は、魔王リリアンの像に手を触れた。リリアンの像に触れた彼女の手から、暖かさが伝わってくるのを感じた。
すると、像からリリアンの幻影が現れた。
「私は・・。魔王リリアン・エシュランス。あなたが試練を乗り越え、ここまでやってきたのですね・・。さぁ、私の力を、あなたに与えましょう・・。」
リリアンがそう言うと、リリシアに魔王の力を注ぎ込んだ・・。彼女の体に、すさまじい魔力が流れ込んでいく・・。
「これが魔王の力・・。私の力がいつもとはまるで違う!!」
リリシアがそう言うと、リリアンが答えた。
「あなたはもう私の次の魔王です。もうあなたはここには用はないはず。私がルーズ・ケープの王宮へと送り返しましょう・・。」
魔王リリアンは、リリシアをルーズ・ケープの王宮に送り返した後、再び眠りにつくのであった。
館で二人の帰りを待っている仮面の魔導士は、二人が魔王の力を手にしたことを確信した。
「近づいてくる・・。大きな力を手にした二人が!!これで私の計画に一歩近づいたぞっ!!」
仮面の魔導士はそう呟くと、再び椅子に腰をかけるのであった・・。
Lilithia ~復讐の黒き魔姫~ 2/3 終