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Prorogue1-Too easy day...-

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1『夢』

どんな夢だったか、詳細は覚えてない。

だが、俺の昨日の夢を少しだけ語ってみる。

先ず、小さな家があった。

父、母、そして一人の男の子。

見るからに、普通・平和だ。


次はいきなり場面変更、森の中。


炎があちらこちらを焼いている。

どうしてこんな場面になったのか、自分の頭に聞いてみたりするが、返答は無い。

焼け焦げた木々のなか、あの親子がいる。

どうやら逃げているようだ。(何から?)

『―――君たちだけでも逃げるんだ!!』父親がそう言って後ろと対峙する。(何と?)

母親は迷いつつも、意を決したのか、頷きそのまま逃げた。

父親の顔を見ずに。

子はどうやら母親についていったらしい。父親は一人で――(どうした?)


その後は場面がまた変わる。


母親は逃げた。(だから何から?)逃げ続けた。(何で?)

だが、着いた先は大きな穴・・・いや、裂け目か?

母親はもう逃げられないと悟り、後ろのほうを向く。(その先に何がある?)

子はもうヘトヘト。行き場ももう無い。

母親は子を自分の後方――、つまり裂け目の近くまで隠した。

そして子に何かを渡し、子をそのまま、「突き落とした」。

突き落とす瞬間、母親は子に何かを言った。ただ、何を言ったかは判らない。(本当に?)

そして、落ちていく瞬間に―――――(なぜ落ちる?なぜ落とす?光が・・・)





『やっぱり目が覚めた。』



2 『朝』

――起きてからの感想。

「ま た こ の 夢 か」

いい加減うんざりだ。

どうしてベッドから落下しつつこんな夢を見なきゃならんのだ。

――まぁ起きれたからいいか・・・・・・。

目覚ましが俺を呼んでいる。仕方ない、やさしく「ぶっ叩く」。

「リィン」と音を立てて反乱分子は黙り込む。

「・・・・・・・さてと。」

ボケた頭を何とか動かす。うん、朝の用意だな。

歯を磨く。顔を洗う。着替える。台所にそのままGO!!

冷蔵庫を覗く。・・・何とか卵はありました。買い物に行ったほうがいいですね。

パンをトースターにぶち込み、卵を焼く。インスタントのスープがあったな。

全部作ってテーブル配置、さて、「頂きます」だ。

どうみてもパン食。テキトーです本当に(ry。

何故俺が作ってんのかと。答えは簡単、作ってくれるやつがいないから。

俺に両親はいない。小さいころ、気がついたら居ない。その「小さい頃」のもっと小さいころの記憶もない。

じゃあこれは誰の家か。アンサー。父方の伯父の家。



――伯父さんは本当の父親みたいな存在だ。

授業参観とかもちゃんと来る。

そんな伯父さんに、俺は両親の事を聞かなかった。だって、失礼だろ?

両親を知らない俺も、両親が居た証である、「形見」みたいなのがある。

ガンメタル色の、軽い銀飾。クロス(またはロザリオ)だ。

伯父さんにこれは何だ、と何時しか聞いたような気がする。

伯父さんは、「これはお前がここに来たとき持っていたもので、お前の親の物だ。」といった。

嘘を吐いたりしない人だからか、俺はすぐに信用した。

てなわけで、習慣的に着けてるんだな、これ。


話が逸れたが、つまり、伯父さんの家に居る。

肝心の伯父さんは・・・今は出かけている。良くある事だ。仕事だしね。


さて、飯を食ってる間、気になるニュースがあった。うん。これも何時も通り。


『――昨夜未明、渡世市表上山町で、男性の変死体が発見されました。

遺体は同市にお住まいの、・・・・・さんで、・・・・・さんには鋭い刃物で切りつけられた痕がありました。

警察ではこの事件の―――』


一瞬、吃驚してパンが皿に落下。あぶねぇ。

「・・・近いな、おい。」思わずつぶやく。

表上山つったら、すぐそこだろ。しかも中心かよ・・・。

パンを喰いつつ、そんなことを考えていた。しかし、物騒になったものだ。

そう思った時。

『―気付け、お前に危険が迫っている。』

と聞こえたような気がした。

後ろには誰も居ない。

幻聴・・・?どう考えてもそれは無いだろ。

まぁいいと思い、鞄の中身チェック。―抜けてるものは無し、か。

そろそろ時間なので靴を履く。そしてドアを開け、外へ出る。施錠を忘れずに。

外は快晴。なーんもない空。事件があったのに、こんなにも晴れやか。

さて、学校に向かう。

歩き出したとたん、トットットット、と走る音が。

これは間違い無く奴だ。振り向かず直進。

「よっ!」うん、今日も捕縛されました。

「あんまりポケーっとしてると、刃物で切り裂かれるぞ、真輝?」

「不謹慎だなおい。―まぁおはようとだけは言っておこう。」

「まぁまぁ、それよりさ―――」

今朝も変わりなく、いつも通り。

俺こと、御影 正輝(ミカゲ マサキ)の一日が始まるわけだ。



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3『日常』

「でさ、真輝。今日は何か用事あるか?無けりゃ一緒に遊びに行きたいんだが。」

で、さっきから話しかけてくる元気な野郎は渡氷 恭司(トゴオリ キョウジ)。

スタイル、顔共に良好。スポーツ、勉学はやってなくても出来る天才な俺の幼馴染。

当然モテない訳が無いが、本人曰く、

「本当に好きな女の子としか付き合わない」らしく、ことごとく女の子を振っている。

俺からしたらまさに敵だろう。

そんな恭司が俺と仲良くなり始めたのは、14年近く前。

記憶の中では一番古い友達だ。家も遠いわけではないので、すぐに仲良くなれた。

それから色々あり、親友と呼べる仲までになった。色々、の中身は今回割愛する。いつか話すだろう。

「で、どうなの?行けるか?」

「ああ。今日はバイトも無い、さらに伯父さんも家にいない。」俺は快諾した。

「決定。んじゃ、昼休み相談な。」俺は頷く。

そう恭司と話しているうち、結構進んだ。そろそろアイツが来てもいい頃だが・・・・。

(タッタッタッタッタ・・・・・・・・。)うん、予想通り。

「――すっきありいぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」ソイツは突進しながら恭司に膝蹴りを試みる。

「甘い!シャドウ・ガード!!」と恭司は、俺を盾にしやがった!!ソイツは膝蹴りを俺に直撃させる。

「うぼぁ!」ボディに一発、強烈なのが入り、俺は変な声を上げた。

「――――!?ゴメン真輝!!大丈夫?」突撃者が問う。ダイジョウブ、な訳ねーだろ。

「大体、恭司が真輝なんて使うからいけないのよ!」まぁ一理あるが、間違ってるぞ。

こう恭司に突っかかってる女の子は水無月 舞(ミナツキ マイ)。

恭司と同じく幼馴染。互いに幼稚園が同じであったためか、昔はよく3人で遊んだ。

事あるごとに、恭司と舞は喧嘩してたが。(もちろん俺は止め役)

こいつと出会った理由も、多分後々話すことになるだろう。

因みにこいつも容姿端麗、文武両道。ただ難点は猫かぶりのツンデレだが。

考え方も恭司と似てはいるが、同族嫌悪らしい。

「大体お前―――――」

「アンタこそ――――」

めんどくせ、学校いこう。

夫婦漫才をほっておき、学校へと歩を進める。

まぁ部活してないから遅く行ってもOKなのだが。

そう考えているうちに、学校に着いた。

市立渡ヶ世(トガセ)高等学校。

俺たちの住む、間世(アイダセ)市の中にある高校で、人が多いためか無駄に校舎がでかかったり、部活が多かったりする。

市立であるにもかかわらず、何故でかいのか。答えは部活が強豪だからだそうだ。

文化人、スポーツマンが入り乱れていたりする不思議な学校だ。この学校が家の近くにあったのは一寸幸運だ。

さて、門をくぐる。入るとグラウンドで練習しているサッカー部が見える。

逆方向には弓を射る音。弓道場である。

それらを通り過ぎ、校舎に行く。昨年リフォームされたためか、まだ真新しい。

二年の教室は二階。因みに何故か三年は一階。歳か・・・?

そして教室へ。着くともう部活組がチラホラ居た。その中で・・・・

「お早う御影、今日も平和そうな顔をしているな。」

「お早う剛志、今日も早いが一言多いな。」

このちょっと一言多めなのは、緋野 剛志(ヒノ ツヨシ)。

柔剣部、つまり無差別格闘流のエース、次期主将で、俺が高校に入ってからのダチ。

腕っ節は強いがやさしく、多少頑固な奴だ。こいつとは何故か気が合ったからか、気がついたら友達だった。

「ところで御影、いつも言っているが、部活に入ってみないか?お前ならいい所までいきそ――」

「俺を誘うよか恭司誘え。」即答。

「だがあいつはサボりそうだからな…。」

「まぁそうなんだけど―――――」っと、そう言ってる内に、夫婦が来た。

奴らは来た瞬間に「あっ!真輝!てめぇ(アンタ)何先逝ってるんだよ(のよ!)」という副音声を聞いた。

貴様らはジャイアンか!俺にだって自由はある!と言わないのは俺のジャスティス。

『おーい、先生が来たぞー。』

その号令でササっと人が着席。意外としっかりしてるなここ。

「さて、そろそろ授業だからお前らも座れ。」ご両人にそう言う剛志。まとめるの上手いね、やっぱ。

「へーい」 「はーい」と素直についていった。こいつら、俺の話は聞かないのにな。

っと、先生が来る。俺も準備だな。
3.5 「ディストーション」

逃げる女が一人。

追われているようだ。

「ハァ、ッハァ、ハァ・・・・・!」

ただ逃げる。ひたすら逃げている。

追手はすばやくそれを追う。

「っは・・・、ここだ・・・。」

と、崖に追い詰められながらもそう言う。

逃げ道が無いまま、女は追っ手に向かい、

「それじゃ、さようなら!」とのたまい崖から飛び降りた。

追手はそのまま下を見た。続くのは大きな穴。人影は無い。

用が済んだのか、そのまま立ち去った。

「―――――――――――。」

気が付けば、女は路地の拓けた所に居た。

「ここは・・・・・・。」つぶやき、路地から出てみる。

「――ここなんだ、そう・・・。」確認するように言い、路地に戻って文字通り、

翔んだ。女の背後には翼が生えているようだ。他人に見つからぬように、静かにゆっくり影に解けるように。

誰も彼女を知らない。日常に非日常が混じっていることも。

今日も世界は、時計のように、正確に、異物など在らぬ様にに動いていた。

そう、やはり一部を除いて。
4, 3

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