枠
「枠(わく)」
私は普段はフリーターとして、アルバイトに勤しんでいる。
5年前には、地方のビル管理会社に勤めていたがリストラされてしまった。
原因というものも、会社の資金繰りがうまくいかない、といったありがちなものである。
悲しいとも思ったが、自分には似合っている気がした。
私はいわゆる「普通の人間」であった。
成績も運動も容姿も家柄も、特筆するべき点はなかった。周りに流され、何も考えずに生きてきた。
何も考えずに。いや、違うのかもしれない。私なりに考えて行動していたつもりだったのだが、それが一定水準には至らなかったのだろう。
「私なり」
この言葉で自分を守ってきたのである。知らない自分がいる筈ないと。「自分の枠」を超えることができないと。
その枠は誰が作ったのかもわからない。気づいたらそこにあった「枠」。
年々その枠が小さく狭くなっていった。アニメやドラマであれば、そんな人間にも一大チャンスと共に明るい未来が見えるのかもしれない。
しかしこの現実の「私の枠」は簡単には崩れない。はずだった。
そんな私に秘密など持てるはずではなかった。
秘密など持てる思考もなかった。
3年前の冬に私はその秘密を持った。
その秘密の始まりも、なんとも私らしく普通だ。「見てしまった」のである。
落ちる音。トマトが潰れるような。硬いも柔らかいもいっしょくたにしたあの音。
その音と共に見た笑顔。その笑顔にたまらなく惹かれてしまったこと。
自分の「枠」が一瞬にして、無くなってしまったこと。
久しぶりの派遣で紹介された仕事であった。私は指定された会社に向かうために電車を待っていた。
雪が降り始めた1月下旬に多くの人々が疲れた顔とどこを見ているのかわからない顔で、電車を待っていた。
当たり前の日常。なんとも私らしい日常。
通過する快速電車が入ってきた次の瞬間、「ヒッ」という声とあの音が聞こえてきた。
ふと声の元に目をやると、何故か微笑む少女がいた。
12~14歳ぐらいであろうか。服装はジーパンに、だぼだぼのダウン。そして黒いおかっぱ頭。
なにより、黒く奥が見えない一重の大きな目を弓状に曲げて少女は微笑んでいた。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
叫び声と断末魔が木霊する。ああ、私の表現能力がないのが腹立たしい。
あのような人の声を聞いたのは初めてだった。本当にその人が「人間」であったころがあったのか疑わしい声であった。そして、私は始めて人の死を見た。
赤く染まる周辺から、騒然とした人ごみを掻き分け颯爽とその少女は去っていった。
通勤での人身事故など、現代では当たり前なのかもしれない。しかし、あの少女はどうして笑っていたのか。
そして私はどうして、その少女にたまらなく惹かれたのか。
私の知らない私である。この日、私の「枠」はどこかに消えてしまった。
これが、私の1つ目の秘密である。
ああ今夜も眠れない。
落ちて死んだのは女性であったらしい。
おやすみなさい。
コメント(1)
意味わかんねwwww殺人願望があるとか????しかもロリコンwwww
通報しました。
私は普段はフリーターとして、アルバイトに勤しんでいる。
5年前には、地方のビル管理会社に勤めていたがリストラされてしまった。
原因というものも、会社の資金繰りがうまくいかない、といったありがちなものである。
悲しいとも思ったが、自分には似合っている気がした。
私はいわゆる「普通の人間」であった。
成績も運動も容姿も家柄も、特筆するべき点はなかった。周りに流され、何も考えずに生きてきた。
何も考えずに。いや、違うのかもしれない。私なりに考えて行動していたつもりだったのだが、それが一定水準には至らなかったのだろう。
「私なり」
この言葉で自分を守ってきたのである。知らない自分がいる筈ないと。「自分の枠」を超えることができないと。
その枠は誰が作ったのかもわからない。気づいたらそこにあった「枠」。
年々その枠が小さく狭くなっていった。アニメやドラマであれば、そんな人間にも一大チャンスと共に明るい未来が見えるのかもしれない。
しかしこの現実の「私の枠」は簡単には崩れない。はずだった。
そんな私に秘密など持てるはずではなかった。
秘密など持てる思考もなかった。
3年前の冬に私はその秘密を持った。
その秘密の始まりも、なんとも私らしく普通だ。「見てしまった」のである。
落ちる音。トマトが潰れるような。硬いも柔らかいもいっしょくたにしたあの音。
その音と共に見た笑顔。その笑顔にたまらなく惹かれてしまったこと。
自分の「枠」が一瞬にして、無くなってしまったこと。
久しぶりの派遣で紹介された仕事であった。私は指定された会社に向かうために電車を待っていた。
雪が降り始めた1月下旬に多くの人々が疲れた顔とどこを見ているのかわからない顔で、電車を待っていた。
当たり前の日常。なんとも私らしい日常。
通過する快速電車が入ってきた次の瞬間、「ヒッ」という声とあの音が聞こえてきた。
ふと声の元に目をやると、何故か微笑む少女がいた。
12~14歳ぐらいであろうか。服装はジーパンに、だぼだぼのダウン。そして黒いおかっぱ頭。
なにより、黒く奥が見えない一重の大きな目を弓状に曲げて少女は微笑んでいた。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
叫び声と断末魔が木霊する。ああ、私の表現能力がないのが腹立たしい。
あのような人の声を聞いたのは初めてだった。本当にその人が「人間」であったころがあったのか疑わしい声であった。そして、私は始めて人の死を見た。
赤く染まる周辺から、騒然とした人ごみを掻き分け颯爽とその少女は去っていった。
通勤での人身事故など、現代では当たり前なのかもしれない。しかし、あの少女はどうして笑っていたのか。
そして私はどうして、その少女にたまらなく惹かれたのか。
私の知らない私である。この日、私の「枠」はどこかに消えてしまった。
これが、私の1つ目の秘密である。
ああ今夜も眠れない。
落ちて死んだのは女性であったらしい。
おやすみなさい。
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意味わかんねwwww殺人願望があるとか????しかもロリコンwwww
通報しました。
今日も来てしまった。子供の頃はこんなことは無かったのに。
そう「普通」の子供だったから、何も考えられずに寝ていた。
せっかくなので、先日の話の続きを話したい。ちなみに私は殺人願望も、ロリコンでもありません。
「枠」の中にいた私だったが、今は秘密を一つ吐きだしただけじゃ足りないみたいだ。
私のもう一つの秘密は、彼女に声をかけてしまったことだ。
もちろん「あの場」ではない。何カ月か後にその子を駅で見かけたのだ。
彼女は制服を着ていた。この時はまだ中学生だったらしい。
私はその日は仕事もなく、近くの友人の家に遊びに行こうと思っていた。
あの衝撃的な出来事も、日常の中に埋もれていって忘れかけていた。
しかし、彼女を見た瞬間にあの笑顔が頭の中に飛び込んでいた。
その時の彼女は、能面のような顔をして電車のホームで他の人と同じように虚ろな目をしていた。
あの大きな一重の目、そしてあの長髪は・・・・・・・・・・・あの子だ。
あの異様な空間で、なによりも異様に一人笑っていたあの子だ。
私の鼓動が胸を突き破りそうになっているのがわかる。こんな状況は「枠」の中ではありえなかった。
衝動的であった。駅のホームには他にも数人いたが、気にならなかった。
「あの・・・・・・」
私は彼女に声をかけた。
ただ、知りたかったのである。
あの微笑みの理由を。
おやすみなさい。
コメント(1)
今貴方いくつなの?それによって、なんか大きく意味が変わる気がするんだけど、、、、
私の年齢は当時20代後半です。
結構眠れずに起きている人もいるのですね。枠の中に居たままでは分からないことも多いのだと最近気づきます。
先日の続きを書かせていただきます。
今日の秘密は・・・・そうですね。彼女との関係はそこで終わらなかったのです。
「あの・・・・」
周りも気にせずに突然話しかけてしまった。しかしはっと気付きました。
ここで叫ばれてしまったらどうしよう。少なくとも怪訝な顔をすると思っていました。
「はい!なんでしょうか!?」
とても元気な声が返ってきた。周りの人が遠巻きにこちらを見た。
振り向いた彼女は満点の笑顔である。しかし、あの時のような笑顔ではない。無邪気で何も知らないような笑顔だ。
あの時の笑顔は、なんていうのだろう。能面かピエロのような笑顔であった。
感情も何も残っていないような。作り物のような笑顔であった。
あまりのギャップと予想外の反応に、口を開けたまま呆然とする。
少女は首をかしげる。笑顔のままで。
「あ、、、いや」
別人なのかもと疑う。しかし、聞きたくてたまらなかった。
「あの、、、君何カ月前かに○○駅にいたよね?」
「・・・・・○○駅?」
彼女の体がビクッっとする。笑顔のままで。
「そう、そこで人身事故があったときに。私は君をみたんだ。」
「・・・・・・」
彼女は黙る。笑顔のままで。
「~♪」
電車がホームに来る。
くるっと、彼女は前を向き
「いました。」
とだけ答える。
電車の中に入ると終始無言であった。
私はなんとか会話の糸口を見つけようと思ったが、何を話せばいいかわからなかった。
彼女は携帯電話を見ながら。何かをつぶやいていた。
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・これ」
「ん?」
「私の電話番号です。」
「え?」
「なので、○○駅に居たこと。誰にも言わないでください。お願いします。」
小さなメモが渡された。笑顔だった。
彼女は早足で電車を降りて行った。
今日はこんなものです。少しでも寝る努力をしてみます。
おやすみなさい。
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電話したの?
結構眠れずに起きている人もいるのですね。枠の中に居たままでは分からないことも多いのだと最近気づきます。
先日の続きを書かせていただきます。
今日の秘密は・・・・そうですね。彼女との関係はそこで終わらなかったのです。
「あの・・・・」
周りも気にせずに突然話しかけてしまった。しかしはっと気付きました。
ここで叫ばれてしまったらどうしよう。少なくとも怪訝な顔をすると思っていました。
「はい!なんでしょうか!?」
とても元気な声が返ってきた。周りの人が遠巻きにこちらを見た。
振り向いた彼女は満点の笑顔である。しかし、あの時のような笑顔ではない。無邪気で何も知らないような笑顔だ。
あの時の笑顔は、なんていうのだろう。能面かピエロのような笑顔であった。
感情も何も残っていないような。作り物のような笑顔であった。
あまりのギャップと予想外の反応に、口を開けたまま呆然とする。
少女は首をかしげる。笑顔のままで。
「あ、、、いや」
別人なのかもと疑う。しかし、聞きたくてたまらなかった。
「あの、、、君何カ月前かに○○駅にいたよね?」
「・・・・・○○駅?」
彼女の体がビクッっとする。笑顔のままで。
「そう、そこで人身事故があったときに。私は君をみたんだ。」
「・・・・・・」
彼女は黙る。笑顔のままで。
「~♪」
電車がホームに来る。
くるっと、彼女は前を向き
「いました。」
とだけ答える。
電車の中に入ると終始無言であった。
私はなんとか会話の糸口を見つけようと思ったが、何を話せばいいかわからなかった。
彼女は携帯電話を見ながら。何かをつぶやいていた。
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・これ」
「ん?」
「私の電話番号です。」
「え?」
「なので、○○駅に居たこと。誰にも言わないでください。お願いします。」
小さなメモが渡された。笑顔だった。
彼女は早足で電車を降りて行った。
今日はこんなものです。少しでも寝る努力をしてみます。
おやすみなさい。
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電話したの?
電話はしませんでした。
私にもそこまでの勇気はなかったようです。
私はもう一度彼女に会いました。
もちろん駅で
今回の私の秘密は「脅されました」いや、正確ではないかもしれない。「恐れた」
あの笑顔を。
あの再開から幾分か経ち、電話しようかしまいか悩んだりしてました。
そこでまた彼女と出会ったのです。
というよりもむしろ、声をかけられました。
思ったより重労働だったその日の派遣で、くたくたでした。ふと、正社員であった頃を思い出していました。
「こんばんは!」
前に転んでしまいそうな声が後から聞こえる。
私は疲れたなんのを忘れ、ぎゅっと急旋回した。
「わ!・・・・・・・・・びっくりした」
大きな一重の目がより大きく、見開いていた。
手も大袈裟に上にあげて、アニメのようであった。
「・・・君は」
「はい!こんばんは!こないだぶりですね!」
私は急な出来事に対応できず。「あ」とか「え」を繰り返していた。
やっと出てきた言葉が、「はい」であった。
「はい、ってなんか変じゃないですか?!しかも年下に!」
「あ、ああごめん」
やっと落ち着いてきた私は、改めて彼女を見た。
無邪気な笑顔である。さきほどの私の「はい」を、繰り返し真似している。
大きな一重に大きな動作。元気あふれ、くるくると動いていた。
「こんばんは!はい!」
「お、おい、もういいだ「ところで」
ふっと、周囲の気温が下がる。彼女の周辺から明るさがオフになった。
「どうして、電話かけてこないんですか?」
「え・・・」
彼女の無邪気な笑顔は無くなった。
あの微笑みだ。「あの場」で見た。
「誰かに喋りましたか?」
周囲の明るさも暖かさも全て、彼女の微笑みに吸い込まれていく。
音も忘れそうになった。ただ、彼女の微笑みに。全てが。
声がでなかった。
私があの時みた微笑みが、私に向けられていた。
思い出しながら書いているので、細かい所は忘れてしまいました。
確か夏であった気がしますが。
でも、あの微笑みだけは大変印象的で今でも忘れられません。
おやすみなさい。
コメント(1)
その子はかわいいの?
どうなんでしょうか。
可愛いか、可愛くないかで言われれば可愛いのでしょう。
もうこの年になると、幼い子を見れば「可愛い」と感じてしまうので。
彼女に関して言えば、それ以上の「何か」を感じたのは確かです。
今日の秘密はどうしましょうか、、、、
そうですね、私は彼女とお茶をしました。
そう、何度も。
私に微笑みが向けられていました。
あの微笑みが。
声が出ませんでした。
良い大人が恥ずかしい限りでしたが、圧倒されてしまったのです。
もう一度彼女は私に向かって問いかけます。
「私が○○駅に居たことを、誰かに喋りましたか?」
唾を飲み込む。声を出そうとする。
出ない。
駅のホームで、草臥れた男が少女に話しかけられて口を大きく開けて、何かを喋ろうとしている。
後から考えてみれば、なんと異様な光景何だろう。
もう一度唾を飲み込む。
「しゃ、喋っていないよ。」
何とか出た一言は、絞り出すような声だった。
彼女は笑いだす。無邪気な笑顔に戻っていた。
「あは♪なんか変な感じですね♪大丈夫ですか?」
「あ、ああ」
「体調悪いんですか?」
「あ、ああ少し疲れていてね」
「あ、そんなときに声をかけてごめんなさい。でも、なかなか電話が来なかったので待ち伏せしてみました。」
電話をかける。
いや、言い訳になるかもしれないが私はその時には「枠」の中に居た。
『中学生に電話をかけるなんて普通じゃない』
『ましてや、見知らぬ女の子に電話をかけるなんて、普通じゃない』
そんなことが頭をうずまいていた。
「いや、電話をかけるぐらい普通ですよ♪」
そんなことを、言い訳がましく彼女に説明していた。
「というか、見知らぬ女の子に声をかけていた時点で、普通じゃないですよ♪」
声が跳ねるように、言葉が彼女から向けられていた。
「そ、そうだね。」
「じゃあ、どうしてあの時声を」
「~♪」
電車が来た。ふと会話が途切れる。
無言で二人は中に入っていく。
電車の中で彼女は手を差し伸べる、
私は首をかしげてみた。
彼女の唇が音を立てずに動いていた。
・・・・携帯?
携帯を渡せというのだろうか。私は、おもむろに携帯電話を取り出した。
彼女はスッとそれを奪うと、何かを打ち込んでいる。
何処からか、バイブレーションの音がする。
彼女は携帯を私に返すと、自分の携帯電話を確認していた。
そして彼女は電車を降りて行った。
おやすみなさい。
コメント(1)
お茶を何度も?どういうこと?
ああ、今日も眠れないです。
皆さんはどのようにこの夜を過ごしているのですか。
途切れ途切れになって申し訳ないですね。私も思い出しながら書いているので、中々いっぺんに書くことができないんですよ。
今日の秘密は、私は彼女と仲良くなったのです。
だから、お茶も何度もしたわけです。
どうやら、前回出会ったときに彼女は私の電話番号を手に入れたようで、電話がかかってきました。
最初はなんともたわいのない話をしていました。
「今日は何があった」だの
「誰がむかついた」だの
聞けば聞くほど彼女はどこにでもいるような。
「枠」の中で生きている人間でした。
普通の女子中学生でした。
だからこそ気になったのです。あの微笑みが。
そして、どうしてあの場所で笑っていたのか。
それは、すこしずつすこしずつ分かっていきました。
私は、枠を失っていきました。
コメント(1)
3年前に女子中学生ってことは、今はいくつ?
彼女は今年高校3年生ですよ。
今日の秘密は、私はその時楽しかったのです。
変なのでしょう、いや「普通」じゃないのでしょう。
彼女とのやり取りが楽しかったのです。
彼女は中学生らしい明るさと、らしからぬ気遣いを持っていました。
私も、段々と友人と疎遠になって寂しかったのでしょう。
定期的に来る彼女からの連絡を楽しみに待っていました。
中学生との連絡を待っている自分を不思議に思いましたが、楽しかったです。
楽しかったからこそ聞けなかったのです。
今考えてみると、彼女は私を監視していたのかもしれません。
どうしてあの場にいたのか。
どうしてそれを他人に話してはいけないのか。
どうして、笑っていたのか。
何度か彼女と直接会って話もしました。
彼女は看護婦になりたいこと。
彼女は、私の好きな古いロックバンドが好きなこと。
私のこれまで
私の中学時代の話など
様々な話をしました。
彼女は、私と会う時には必ず私服に着替えて少し化粧をしていました。
不審者として私を連れて行かれると困るからだそうです。
いざとなれば兄妹であるとごまかせば良いと、二人の間で決めました。
合言葉のように彼女は毎回聞いてきました。
「あのこと、話してないですよね?」
合言葉のように私は返しました。
「話してないですよ。」
「・・・そうですか♪」
私はその時の関係を楽しみ、心地よく感じていたので、わざわざ壊すようなことを聞く必要はないであろうと思っていました。
奇妙な関係だったのかもしれませんが、私は一種の背徳感と罪悪感はありましたが、それ以上に彼女との関係を大切に思うようになりました。
そんな奇妙の関係のまま、彼女は高校生になりました。
新しい制服を着て、楽しい生活に彼女は心踊らしていたようです。
しかし、ある時から彼女から明るい笑顔が失われていきます。
もうそろそろ、明日の仕事の準備をしなければなりません。
今回はここで。
おやすみなさい。
コメント(1)
中学生と話を合わすのって大変じゃない?
私も「普通」ならそうだと思いましたが、彼女との会話はさほど苦労をしませんでした。
おそらく、彼女がかなり私に気を使って話題を振り続けてくれたからです。
あとは、お互いにブルーハーツという古いロックバンドが好きでその曲の話を良くしていました。
何処までここで吐き出せば良いのか分かりません。
もし、私の感情が収まったら止めればいいのでしょうか?
それとも区切りのよいところまで話すべきでしょうか?
今日の秘密は、彼女は高校に入りいじめられ始めたのです。
これは秘密かわかりませんが、世間一般的にいじめとは秘密裏に行われるものなのだと実感しました。
理由は、今でも分かりません。
彼女は周りに比べて、明るくそしてはっきり物事を言うタイプだからだとか。
彼女がいじめられそうになった友人の身代わりになったからだとか。
彼女がたまたま丁度よかっただとか。
彼女なりの考察を述べてくれましたが、私にはふに落ちませんでした。
なんでも、クラスというか学校のリーダー的女の子に目をつけられてしまったようです。
私が初めてそれを知ったのは、雨の日でした。
彼女から突然電話がかかってきたのです。
「あの・・・こんにちは♪」
「ああ、どうしたの?」
「はい!・・・・・申し訳ないのですが」
彼女は一旦間をおく、そして
「お金を貸してもらえないですか?」
私はかなり驚いた。彼女からこのような申し出が来るとは思っていなかったからです。
それまでは、彼女は例えどこかで私とお茶(私があえてこういうのは、本当に紅茶しか彼女が飲まなかったからだ)を飲んでも、自分の分は自分で払う事を主張していたからです。
何度かやりこめて、私が先に払ったりすると、
「あなたも、お金がないんですから、、、」
となんとも大人な悔しい返答が返ってくるのです。
それほど、自分の行動への責任というのでしょうか、私への戒めなのでしょうか。
とにかく、彼女らしからぬ言葉でした。
いや、「貸してもらえないですか?」は彼女らしいとは思ったのですが。
私はその日は仕事があったので、いつもの待ち合わせ場所で待ってるように指定すると
「できるだけ、早く来てくれると嬉しいです♪」
と、いつもの口調、いやなんだか震えた声で電話を終えました。
私達がいつも待ち合わせに使っていたのは、駅前にある小さな公園でした。
そこのベンチでいつも彼女は、待ち合わせよりも早くに待っていましたが、その時は、、、、、いませんでした。
私は到着したことをメールで彼女に伝えました。
すると、公園のトイレから彼女は出てきました。
雨にもかかわらず、傘も雨具を持たず、鞄も持たない彼女が出てきました。
彼女のスカートはなぜか切れ目が入っていて、彼女はそれを抑えながら出てきました。
「・・・こんばん「ど、どうしたの?」
「えーと、、、、転びました♪」
彼女はいつもの無邪気な笑顔で、返答しました。
「転んで、川に鞄と傘を落として、家に帰れなくなりました♪」
「・・・そのスカートは?」
「え!えーっと、、、」
「誰かにされたの?」
「え、、、」
「もしかしていじ「とにかく、もう帰らなきゃお父さんが心配します!」
「電車賃を500円貸してもらえないですか?ここまで歩いてくたくたなのです。」
彼女の高校から公園までは、2駅以上あったのです。家は当時知りませんでしたが、今考えると歩いて帰れる距離ではありません。
時間は7時を回ろうとしていました。
「くしゃん!」
「そんな格好じゃ、風邪引くよ?」
「いいんです!子供は風邪の子です!」
「字が違うよ、、、。」
「いいです!500円貸してくれるんですか?だめなら歩いて帰ります!!」
「・・・もう一回トイレに戻ってちょっと待ってて」
「え?」
「お金が足りないんだ、仕事から直接来たからね。」
「はぁ、、、わかりました。」
もちろん、足りないということはなかったです。彼女はこうでも言わないと引き下がらないと思ったからです。
私は急いで駅前の百貨店に入り、ジャージと傘を買い公園に戻りました。
「・・・え?」
「とりあえず、これ着て帰りなよ。風邪引くよ。」
「・・・ありがとうございます。でも、、、」
「いいよ。また返してくれれば。」
「はい!あの、、、、」
「なに?」
「できれば、下着も、、、」
私はその時は、「ああ雨に濡れて気持ち悪いのか」とおもったのですが、あとあと聞くと彼女は下着も無理やり奪われて逃げてきたようです。
しかし、私は女性用下着など選び方が分からなかったので、彼女にお金を渡してそのおつりで帰るようにいいました。
「本当に、、、ありがとうございます!」
「はいはい、返してくれれば関係ないよ。」
「・・・そうですね、では、また今度!」
「・・・ちょっと」
「・・・はい?」
「今度ちゃんと話してね。」
「・・・転びました。」
彼女は走っていなくなりました。
途中ですがそろそろ5時ですね、サイトが閉まる前に投降しようとおもいます。
続きはまた次回ということで。
おやすみなさい。
コメント(1)
貴方はずっとここで敬語だけど、彼女に対しては敬語じゃなかったの?
ブルーハーツ好きとは、渋い子だね。
今日の秘密は、私はこの時頼られることに酔っていたのです。
彼女はだんだんと笑わなくなっていきました。
呼び出されて、お金を渡す回数も1・2度じゃありませんでした。
彼女はその度に
「すいません」
「ごめんなさい」
というようになります。
あ、私は彼女としゃべる時は敬語じゃなかったです。
なんとなく敬語のほうが良い気がしてここでは敬語です。
彼女の無邪気な笑い方は無くなっていきます。
一方で、頼られることに私は嬉しくなっていきました。
こんなに他人に必要とされることが無かったからです。
こんなに他人の役に立てることが無かったからです。
酔っていました。完全に。
彼女はいいます。
「あんなやつ、いなくなればいいのに」
「そうだね」
「どうしてあんなやつがいるんだろう」
「そうだね」
「また、消しちゃおうかな」
おやすみなさい
コメント(1)
必要とされるって嬉しいよな