これは
とても、とても昔のお話。
『猿人』
ある猿はその日、子を産んだ。
その猿はとても驚いた。
生まれた子は他の子とくらべ、頭が異様に大きかったのだ。
数年後、その子は他の猿達とは比べものにならない知能を手に入れていた。
その猿は妻をつくり、子を産んだ。
その子もまた、すばらしい知能の持ち主であり、
なんと二足歩行であった。
長い年月を経て、
大半の猿は二本足で地に立ち、大きな頭をもった。
『原人』
猿人はその日その日で、
あたりを見回し続け、そして食べ、
生を繋いだ。
猿人の中でとても身長のたかいものが現れた。
その猿人の視野は他の猿人とくらべるととても広く、足もはやかった。
その猿人は他の猿人ほど苦労することなく、
安定して生を繋げた。
その猿人も妻をつくり、子をつくり、
その子もとても身長が高かった。
その後も身長の高い者は安定して生き延びた。
時は経ち、
猿人の数と原人の数はおよそ1:9となった。
原人は火をおこすようになった。
調理することによって病なども少なくなった。
さらに安定した生活を繰り返し、
ついに「言語」を発明した。
一方猿人は減少するばかりで、
猿人と原人との間に深い溝ができ、
原人の間では猿人を差別する考えもでてきた。