完璧なる人間
【 完璧なる人間 】
ある国の国王がその命に終わりを迎えようとしていた。
子をもっていなかった国王は、後継者を誰にしようかと頭を悩ませていた。
その国王はとても人間味溢れる人物であり、国王自体も後継者は人間味溢れるものに捧げることを強く望んだ。
そこで国王は国一頭の良い学者に、人間味の度数を計るバンド型の機械を作らせた。
そして規定ポイントを100万ポイントとし、いち早く100万ポイントを稼いだ者を後継者にすることを宣言した。
国民は我先に国王になろうと、あらゆる人に親切な行いをしてポイントを稼いだ。
しかし、どんなに多く親切な行いをしても、機械は99万ポイントから増えることはなかった。
国民たちは学者の作った機械がインチキではないのかと不満の声を上げ始めた。
しかし学者は人間を完璧に研究して作った機械に間違いはないと反論した。
一向に埒が明かない状態に痺れを切らせた国民たちは、学者に一斉に殴りかり、大怪我を負わせた。
その途端、盛大なメロディと共に全国民の機械が100万ポイントを達成した。
END