17.
モニターキャンペーン最終発表会から1月後。
杉村は当初死を意識していたが何の音沙汰もないので、何もしないでいるのも体に毒だと思い、新たにポスティングの仕事を始めていた。
この日、マンションのポストにチラシを入れていると、聞きなれた声で「よお。」と言われ振り向くと、刑事の石川が立っていた。
「あ~刑事さん。」
「おしかったな。」
「何がです?」
「とぼけてんじゃねえよ。ファイブマートの小林。」
杉村はチラシを入れる手が止まった。
それを見逃さずに、「体は正直じゃねえか。って別に俺は変態じゃねえぞ。」と小林。
「で何の用ですか?逮捕?」
「だからよ、被害者いねーのにどうやって逮捕すんだよ。」
「じゃーなんですか?点数稼ぎの銃でもこの辺に?」
「これ。」石川は懐から名刺を取り出した。
「ああ…。」と名刺を受け取る杉村。
「お前…。俺の下でバイトしろよ。」
「ええ?」
「そんなに稼げねえだろ?今のそれじゃ。…まあ考えといてくれよ。」
「はい…。」
「そうそう。新聞読んだか?」
「いや…。」
「ファイブマート、営業時間短縮して、フランチャイズ制度の全面見直しに着手するらしいぞ。」
「何だ…不便になっちゃうな。」
「なんだお前、全然残念そうじゃないじゃないか。」
終