豆知識その十三「古事記と日本書紀は、並行世界の出来事」
実は、オオクニヌシとオオモノヌシのエピソードは、古事記には記載されていません。日本書紀の方に記載されているエピソードです。厳密に言うと、古事記にもオオモノヌシという存在は登場しますが、その正体が明確になっているのは日本書紀の方だけです。
これと同じように、古事記と日本書紀の間では、同じものを書いているけどあらすじは違う、というケースは多々あります。例えば、古事記では始祖神がアメーバ状のスライム的な何かを地球に浮かせ、それが大陸になります。しかし日本書紀では、陰陽道の方式に則って、一から十まで勝手に誕生します。つまり、日本書紀の中では、いよいよ始祖神は何もしなかった事になります。
その他、ざっと並べると、これだけの違いがあります。
・アマテラス、ツクヨミ、スサノオ三姉弟は、イザナミが産んだ、れっきとしたイザナミの子供
・アマテラスは「昼の神」ではなく「太陽の神」 ツクヨミは「夜の神」ではなく「月の神」
・オオナムヂはスサノオの「六代孫」ではなく「息子」
・そもそもスセリビメが登場しない(厳密には、そのエピソードが書かれていない。存在の有無は不明)
上記が、日本書紀の設定です。本当はもっとあるのですが、ここでは触れたエピソードの部分の差異だけを。
実を言うと、日本国内に置いて、正史として認められているのは「日本書紀」の方です。「古事記」の方は、あくまでパラレルワールドと言うか、そういうものとして扱われているのですね。
ですので、今回のオオクニヌシとオオモノヌシのエピソードは、専門家から言わせれば『学者が助走をつけて殴るレベルの「古事記」』という題目で発表するには相応しくないと判断されるでしょう。
でもまぁ、面白いからいいかな、と思いましたので載せました。逆を言えば、こういう事をするからこそ「学者が助走をつけて殴るレベルの」の冠を被るに相応しいかな、とも思います。