豆知識その十六「良くも悪くも人間臭い神様達」
さて、今回でアメノワカヒコの野望は潰え、そしてアメノワカヒコは命を絶つ事になります。
中々にクセモノでしたね。やってる事も言ってる事も、とても神様とは思えない奴です。
しかし、思えば、アメノワカヒコの野望というのは、誰しもがいつ抱いてもおかしくないものだとも思えます。
どんなに頑張っても、自分の成果である事を認めてもらえず、認められるのは上司ばかり。自分の方が能力がある自信があるのに、評価されるのは違う奴。
そんな状況で、もしもアメノワカヒコと同じような機会に恵まれた場合、或いは、アメノワカヒコのような行動を取る方もいらっしゃるのでしょう。そしてそれを、おかしな事だとか悪い事だとは思えません。
それだけではありません。過去のイザナギもスサノオも、延いてはオオクニヌシだって、どこか神様らしくない、人間臭い一面がありました。……というか、どちらかというとそっちの方が濃い気すらします。
日本神話の中で「神」とは、絶対者ではないのです。どころか、あえて不完全な存在として書かれている感が強いような気さえします。
しかし、だからこそ、昨今の「至らない所があれば支え合えばいい」という謙虚な思想が美徳とされているのでしょう。それは、神話の神様も同様だったのです。