豆知識その十八「戦闘能力未知数のタケミナカタ」
今作ではイイトコなしでフルボッコにされたタケミナカタですが、彼の実際の戦闘能力には諸説あります。
例えば、今作のように「一方的にタケミカヅチにやられ、命乞いをして決着がついた」という説もあれば、「結構イイトコまでいったんだけど、惜しくも敗れ殺された」という説もあるのです。
また、興味深い説の一つとして、「実はタケミナカタはタケミカヅチに勝っていたが、戦闘場所である諏訪湖にいたカエルの神様を人質(神質?)に取られ『動くな。動くとコイツを殺すぞ』と脅されて手も足も出せずに殺された」というものもあるんですね。
そう聞くと、「じゃあ何でこんな惨敗した説が有力説になってるの?」と疑問に思う読者の方もいらっしゃるでしょう。
実はこれ、タケミカヅチを篤く信仰する藤原一族の脚色が加わっている、という説があります。つまり、タケミカヅチの大ファンだった藤原君が、「もっとタケミカヅチを強く偉く主張したい!」という考えで、勝手にその説を有力説とした、というものですね。
そして更に続き、何故この藤原陰謀説が有力であるかと言うと、この古事記を執筆したとされている「稗田阿礼(ひだのあれ ひだあれい)」は、まさに藤原一族の事実上の始祖である藤原不比等(ふじわらのふひと)のペンネーム的なものなのではないか、という説があるからなのです。
……ここまで読んだ方ならば、おそらく一つの不満があるでしょう。「説、説、説って、さっきから説が説の鎖を作ってるじゃないか!」とね。
全くもってその通りです。だからこそ、最後も「説」に過ぎないのです。色々と難しそうな感じの言葉を並べましたが、結局のところ結論を言えば「わからん」って事なんですね。わからんのか、このたわけが。
どうしても気になる方は、グーグルなどで「藤原一族」と検索すれば、ある程度は出て来るかもしれません。ただ、歴史に詳しい友人に藤原一族の事を聞いたら「ああ、あのDQN一族の事ね」と言われました。……何ででしょう? 何かやったんですかね?