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豆知識‐その3

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豆知識その三「縁起担ぎや昔話の、神話との密接な関係」

 はっきり言ってしょうもなかったイザナギとイザナミの喧嘩の一部始終ですが、ここから、日本国内に存在する様々な縁起や昔話が生まれました。
 例えば、日本国民なら誰でも知っている昔話「桃太郎」も、日本神話や陰陽道と密接な関係があります。
 桃太郎の敵は、鬼と呼ばれる者達です。この鬼の一般的なイメージとして、虎柄のパンツに角を生やした怖ーい者達ですね。この鬼のモデルは、温羅(うら)と呼ばれる存在です。彼の存在は様々な諸説があり、「神様の使いだ」「いや、百済の皇太子だ」「いやいや、当時日本人以外の人種を見た事がなかった日本人が初めて外国人を見た時の印象だ」等の説があります。しかしそのどの説も、どこかに矛盾点や時系列の不備が伴い、現在でも明確には判明していません。
 ただし、この鬼についている角や、身にまとっている虎柄のパンツなどに関しては、しっくり来る説が存在します。それこそが、陰陽道で伝えられる「陰陽五行説」の一部です。干支の事ですね。ねずみ年とか、さる年とか、あれです。

                   壬子癸
                 亥     丑 
               乾    子    艮
             戌    亥   丑    寅
           辛    戌       寅    甲
           酉  酉           卯  卯
           庚    申       辰    乙
             申    未   巳    辰
               坤    午    巽
                 未     巳
                   丁午丙

 図にすると、こんな感じになります。覚えるのは内側の円だけでおkです。というか、既にもう覚えているかと。くどいようですが、皆様よく御存じの干支です。
 陰陽道には、「表鬼門」と呼ばれる方角が存在します。俗に「鬼門」とだけ言われるものです。簡単に言えば「縁起が悪い方角」という事で、北東がそれにあたります。この干支図で言う所の、丑(うし)と寅(とら)の方角ですね。
 表鬼門にあるのが「丑(うし)」と「寅(とら)」。つまりこれが、鬼と呼ばれる存在が、牛の角と虎のパンツをはいている理由だと語られています。
 それに対し、丑と寅の反対側、「裏鬼門」。この裏鬼門に位置するのが、戌(いぬ)と酉(とり)と申(さる)です。……もうお分かりですね? 桃太郎と共に鬼と戦った勇敢な仲間達の原型がここです。ただ、本当に裏鬼門からの抜粋となると未(ひつじ)と申(さる)なんじゃないかなぁとか思ったりもするのですが、まぁそこは色々あったんじゃねぇかな、と。
 そして何よりも、桃太郎。彼のモデルこそが、古事記の中に含まれているというわけです。
 思い出してみて下さい。イザナギが八雷神と千五百の軍勢を追い払う時に投げたのは、桃です。そして桃にはその後、邪なものや邪念を清める神聖なる力があると語られてきました。これが、鬼をやっつける桃太郎のモチーフとなったわけです。

 また、イザナギは、八雷神と千五百の軍勢から逃げる際、十拳剣を後ろ手に構えて威嚇しながら逃げていましたが、これに関しては既に縁起云々ではなく、科学的に検証結果が出てしまっています。
 後ろ手に何かをするという事は、それを受ける側にとって、非常に嫌なイメージを想像させるものなのです。時の軍師等は、撤退を実行する時、兵士達に後ろ手に武器を構えながら逃げろと命令を下した実例もあるわけです。
 リレーを思い出してみて下さい。リレーでバトンを渡す時、ちゃんと後ろを見て手も開いている。またちゃんと相手の手も見てバトンを渡す位置もはっきりしているのに、「ちゃんと渡せるかな?」「ちゃんと受け取れるかな?」と不安になったりしませんでしたか?
 無論、例外は多々あれども、基本的に人間とは、後ろ手に何かをする事、される事に不安を覚えるようです。
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