鎌を入れればたやすく断ち切れる。
命とはそんなものなのだ。
時間は鎌から守るほどの耐久力は与えない
ほどよく成長すれば、私たちに刈り取られていく
刈られるものはずっと変わらずに
また鎌によって刈り取られる
ドンドン効率的になってゆく道具と
変わらずに刈り取られていく命
私は、言われるがままに鎌をいれ断ち切っていく。
ただそれの繰り返し。
明日も、あさっても、その後もずっと
ただひたすら、切り裂く、切り裂く、切り裂く。
切っても切っても。
命はそれ以上に生まれてくるのだ。
切られるために生まれるのか?
私から見ればそうとしか思えない
だけど、きっと彼らには何か意味があるのだ。
そういえば、生えてきてから少しだけ、切るまでに間が空いた気がする
けど、刈り取る分は結局は変わらなかった。
「どうして毎日命を奪わないといけないのかな。辛いよこの仕事」
「仕方ないさ、鎌を入れないと、俺たちの意味がない。
それに調整しなかったら、すぐにこの畑は消えてしまうさ」
私はある晩、酒も手伝って泣きながら仲間へと話をした
すると、みんなはそんな私を笑っていた。
悩めば悩むほど、仕事が進まない。
その横で、友人は気にせずにドンドン鎌を入れていく
あっ。
私の口から、素っ頓狂な声が零れた。
友人が、小さな命を巻き込んで刈り取ってしまった
まだ刈らなくていい。まだ生きていられたのに
それを奪ってしまったのだ。
なんて罪深いのだろうか。
「何を見てるんだ?」
友人は、不思議なものをみるような目で見ていた。
「いや、なんでもない、なんでもないんだ。」
私は顔を背けたが、涙がずっと、溢れつづけていた。