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鳥神様の話

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神々の中でもっとも賢く、もっとも勇猛な竜神が
人間を滅ぼす事に反対し、ほかの神々に幽閉されてから数週間
ついに約束の日、人間の滅ぶ日がやってきました

鳥神は自分の尊敬した竜神が幽閉された事に対して心を痛めています。

「いよいよ、私たちはヒトの歴史に終止符を打たないといけない」

鳥神は神々の中でも若い神でした。
ヒトを作った、古き神々たちの言う事に逆らうことはできず
竜神の愛した人間を滅ぼす行為に加担する事になりました

鳥神は竜神を深く尊敬していました
また、彼とともに戯れで、人里へ降りる事もありました。
思い出を振り返り、そしてそれを振り払いました。

人々はは、抵抗を試みるのでしょうか、急ごしらえで作られた兵器が
空に漂う神々たちへと向けられています。

「あんなもので我々を抑えようなど、片腹痛いわ」

古き神たちは笑いました。
自らを信奉してきた、人間を殺す、滅ぼすに至っても
彼らはなんら、罪の意識を感じていないようでした。

鳥神の心は痛みました。

自らは、人間を生み出す事に参加していない
しかも、尊敬していた竜神は、人を滅ぼす事に反対していたのです
ただ、自分は流されるままでした。


約束の時がやって来ました。

遠くで火の手があがります
人々の街が、命が、森が、燃やし尽くされていきます

鳥神は、いまだに彼らへと攻撃をすることはできませんでした。

「どうした?鳥神、こんなチャンスは滅多にないぞ?」

若い神が鳥神へと声をかけます

鳥神は何もせず、ただそこにいました。

ほかの若い神々は、日ごろの鬱憤を晴らすかのように
人々を虐殺していきます、中には人間に慕われていた神々もたくさんいました。


鳥神は、戦場に背を向け飛び去りました。
そして、離れた崖の上へ座ると、己の無力さを泣きました
泣きながら、歌を歌います

人間が作った歌です。

戯れで人里へ下った時、彼らは歌を歌っていました
辛い時、悲しい時
彼らは歌を歌うのでう

うれしい時、楽しい時
彼らは歌を歌うのです

きっと彼らは歌を歌っているでしょう

まもなく来る、滅びの時を待ちながら
悲しい歌を歌うのでしょう。
鳥神は精一杯の大声で、歌を歌いました。



「あぁっ・・・!」

鳥神は叫びます

信じがたい光景が目に入りました。
竜神が、大空を翔けていたのです。
幽閉されていた場所から、何故ここにこれたのかはわかりません
そして竜神は、体中が傷ついていました

鳥神は高く飛び、やっと状況を理解しました
竜神は、たった一人ですべての神を敵にまわしていたのです

竜神は、もっとも古い神々の一柱でした。
彼の牙は既に折れ
爪は血に染まっていましたが
まだ爛々と輝く瞳はすべてを諦めてはいませんでした。

「助太刀しよう・・・。竜神を助けよう」

鳥神は飛びたちました。
そして、憧れだった竜神と伴に勇敢に戦い

そして最後は死にました。
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