さて、今回は画力についての考察である。
絵の巧拙の基準は、以下を参考にしていただきたい。
1 平均的な人は、絵が下手である。
まず、これである。
この点は認めてもらおう。絵の訓練をしないで、もしくは、自己流で描いている人は、基本的にものすごく絵が下手だ。
「俺は、絵がうまい!」とか言ってる奴も、絵の訓練をしてない人は凄まじく絵が下手だ。
一般的に絵がうまいと言える技術は、石膏デッサンを、毎日数時間を数年間練習してやっと、手に入る。
それと、絵がうまい人の、「絵は努力だよ。」発言もある程度、生存バイアスがかかっている可能性がある点を考慮に入れた方がよい。
その人は、たぶん、小中学校で、クラスで一番絵がうまかった子で、そのうまかった子が毎日、数年、数時間練習してやっと、絵がうまいというレベルに到達するのである。
なので、全員が努力すれば、絵がうまくなるのかはわからない。
2 絵が下手な人は、実は、画力を判定する能力を持っていない。
鉛筆で、写真を、写実的に模写できると、絵がうまいと思う人がいるが、実は絵の訓練を始めるとかなり早い段階で、写実的な模写はできるようになる。
超絶技巧の写実画があるが、これと、写真を写実的模写する行為とは全く別ものである。油絵で、本物そっくりに写実画を描くのはメチャクチャ難しいと思う。
おそらく、絵が下手な人は、写実的な模写以降の絵の判定能力を持っていないと思う。
何故そんなことが言えるかと言うと、かつての自分がそうだったからである。
2 そもそも新都社で、漫画を描いている人は、絵がうまい。
止まった絵を描くのは、そうでもないのだが、動きのある絵と言うのは非常に難しい。漫画家は、イラストレーターに比べると絵が下手だなんだと言われるが、それでも、漫画家は、一般的な人よりも圧倒的に絵がうまい。当たり前である。
漫画は、絵が描け、かつ、物語をコマワリで読ませなくてはならないので、実はめちゃくちゃ難易度が高いのだ。もし、画力だけで漫画家になれるのなら、漫画家は芸大、美大卒業生に独占されるだろう。
さて、新都社で漫画を描いている人たちだが、こちらも平均的な人々よりは、はるかに絵がうまいと思う。
これは、当然で、ある程度の画力がなかったら、漫画を描いて公開しようなどとは思わないものなのだ。
3 絵が圧倒的に上手い人にも、圧倒的な差がある。
プロの漫画家の例をだそう。
もやしもんの石川雅之とダンジョン飯の九井諒子を比較しよう。
この二人は、圧倒的に絵がうまい漫画家である。それでも、ぼくには九井諒子の方が絵が上手に見える。
この差と言うのは、石川雅之は特定のポーズの絵しか描けないのに対して、九井諒子は、動きのある絵を、ほとんど、どの角度からも、デッサンを、狂わずに描ける。九井諒子は、天性の画力があると思う。
4 絵がうまい人は、ピカソの絵が立体的に見える。
アビニョンの女たちというピカソの絵があると思う。絵が上手い人は、あの絵が立体に見えている。
5 最後に
このように、画力と言うのは、割と明確な判断基準がある。
新都社の漫画に関しては、パッと見た感じよりは、みんな上手だと思う。