今回は、「女を殴りたい!」 マヨネーズちーた先生の漫画を論評したい。
自分の精神衛生上、新都社の超人気作は、あまり読まないことにしているのだが、昨日、たまたま、読んでしまい、非常に面白かったので論評させていただきたい。
マヨネーズちーた先生から見ると、お前のような不人気に、上から目線で評論されたくないと思うかもしれないが、ここは、付き合ってほしい。
評論なんてのは、心臓に毛が生えてないとできないものなのだ。
1 この漫画は、ラノベだ。
まず、この漫画のリアリティレベルについて考えてみよう。テーマがめちゃくちゃえぐい割には、読後ににえぐさは、感じない。これは、この漫画が持っている虚構性の強さのせいだ。このキャラクターの心理のリアリティも、この虚構性を前提としたうえでのリアリティであって、現実の人間の心理とはだいぶ違う。
この感じなにかに似てると思ったのだが、あれだ。
ラノベの読後感に似てる。
そのように考えると、主人公の心理描写を中心に展開するこの物語構成自体がラノベっぽいと言えるだろう。
2 プロ並みの技術を持っているにもかかわらず、縦スクロール
これは、何が言いたいのかと言うと、マヨネーズチータ先生は、プロの漫画家か、それともアシスタントをしていたかなど、漫画業界にかなり深くかかわっていた来歴を持っていらっしゃるのではないかと、ぼくは勝手に推察しているのだ。
アマチュアが独学で、到達する技術のレベルを超えているように思う。
そのように仮定した場合、当然、出版社に持ち込みをして、担当編集がついて、何回も没ネームを食らってとかいう経験をされているわけで、その場合、印刷媒体向けのネーム技術が、身についているはずなのだ。
印刷媒体で活躍しているプロの漫画家が、縦スクロールのコマワリができなくて悩んでいるという話をネット上でよく書いているので、印刷媒体向けのネーム技術と縦スクロールでは、かなりコマワリが異なる。
にも、関わらず、最初から、縦スクロール向けの漫画を描いていることに、ある種の決意を感じてしまう。
それと、蛇足ながら、以前、某有名漫画家のアシスタントをされている方とオフ会で、飲んで、その方のネームを見せてもらったことがあったのだが、そのネームは見事につまらなかった。その方のお話だと、賞取りのために、担当編集者と1年近く同じネームを推敲していたとのことである。
絵は、訓練で向上する余地があるが、話力は、たぶん、資質が大きい。
3 主人公の葛藤がテーマになっていることの問題点
さて、よいしょだけしててもしょうがないので、この漫画で気づいた点を書いて
いこう。この漫画のテーマは主人公の葛藤で、その葛藤を表す方法は、心理描写である。この方法は、読者に自分が気づいていない欲望に気付かせるということには有効なのだが、ストーリーを先に進みにくくしているはずだ。
人間の行動を抑制するものが、葛藤だからだ。
4 こうすれば、物語がよりスムーズに動くようになる。
もし、マヨネーズちーた先生が、この先の物語の展開が思いつかなくて、悩んでいるようだったら、主人公の行動を抑制するものを取り除いてやるとよい。
ぼくがない知恵を絞って考えたのは、
① 主人公に絡む女子高生を謎めいた存在にする。
この女子高生が実は、マゾだったとかでもいいのだが、彼女が善人だが悪人だかよくわからない、なぜ、絡んでくるのかもよくわからないという存在であると、かなり物語が動かしやすくなるのではないか?
この女子高生が、ファウストにおけるメフィストフェレスみたいな存在であると非常に面白いと思う。
② 悪役の女たちを登場させる。
読者から見て、めちゃくちゃむかつく女たちを登場させて、主人公に殴らせればよい。
この場合のむかつく女は、単に嫌な奴では駄目である。明確に、悪人でなくてはならない。
そう、これだけで、主人公は、バットマンみたいな勧善懲悪もののダークヒーローになれる。
ただし、この漫画の場合、時事ネタは避けた方がいいだろう。時事ネタを入れるとラノベというリアリティレベルが崩壊する。
5 こうすれば、ポリコレ問題を回避できる。
この漫画の最大の問題点は、ポリコレ問題であろう。見方によってはDVを奨励しているような漫画なので、この問題は避けて通れない。この場合の解決策としては、悪役の女たちがポリコレに違反していればそれでよい。
6 結論
これは、ぼくのあくまでも私論なので、参考程度で、読んでいただきたい。
ぼくは、この漫画が継続して欲しいし、ポリコレ問題を解決して、将来、問題作としてアニメ化してくれるともっと嬉しい。
マヨネーズちーた先生の今後に期待している。