まとめて読む
私、大森優子は思った。
「このままでは…死んでしまうのではないか?」と、そんな馬鹿な事を思うには、実に馬鹿らしい理由がある。
それは、いつも通りの朝のはずだった。見慣れた窓からは漫画のような小鳥のさえずりと、うざったらしい朝日が部屋を明るく染めている。
私は、体の一部分に今まで経験した事のない違和感を感じて目を覚ました。私は、枕の中で、深く頭を傾け、うずくまりお腹に手をあてた。
「…ん?うぐぐ」
それは痛みだった。ツブツブとした不揃いな痛みがお腹の中央ではじけてるというのか、まるで炭酸水の泡を思わせる痛みだ。しかし、それは激痛である。容赦がない痛み。
私は、叫んだ。
「神様!仏様!アッラー様!とてもお腹が痛いです!」
そうだ!上手い例え話が思いついた!それは私の大好きな映画「エイリアン」の中のワンシーン
【エイリアンの子供達がお腹の皮を食い破って出てくるお約束のくだり】まさにあんな感じ。
いまなら、あの人達の気持ちが良く分かる!まじでやばい!これ絶対何か生まれるって!私は、痛みをまぎらわす為、何を思ったのかベットの上で、動いてみた。
そんな事で、痛みが消えるはずがないのは、重々承知している。なのになぜそんな意味の無い行動をするのかって?そんなの理由は一つしかない。
「腹がイテェからだよぉおおおお!!」
私の無意味な反抗心は、否定的な結果とは裏腹に、体を激しく揺さぶった。
頭を意識が吹っ飛ぶくらいバンキングして、両手両足を縦横無尽に踊らせ、意識のいっていない口からはヨダレが四方八方に飛び散っていた。
もう、女を捨てた女の姿とは、まさにこれである。
前略、お母さん、私、もう、お嫁にいけません。
あぁ、お母さん、親不孝な私をお許しください。きっと私はこのまま、ちびくろさんぼの虎の様に、体を動かしすぎてバターになって消えてしまうのでしょう。
って!バターになって消える前に、お腹の痛みは消えてくれないよ!いや、むしろ、もっと痛くなったかも。
「うぅううう~ん」
私の口からは嘆きという名の敗北の声が漏れた。
神様!仏様!アッラー様!聞いていますか!!もしも聞いていたなら答えて下さい!あなた方は何ゆえ私にこの様な試練をお与えになるのでしょうか!私が何をしたと言うのでしょうか!とりわけ目立つことも無く、学校の折れたチョークをこっそり集めているような、地味が服を着てあるいているような私に、どうしてこの様な…試練を…
鬼か!!!!!
おまえらは神という名の服を着た鬼か!
あ、ごめん。
うそうそうそ!!!
いまのは軽いゴットジョーク!怒んないでください、今度なんかソレっぽい所に、お供え物をたらふく置いておきますから!だからお願いします!一刻も早くこの痛みを和らげてください!