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Deck No.1「ジェスカイ・ウィンズ」

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 テーロス・ブロック&タルキール覇王譚ブロック&基本セット2015という現在のスタンダード環境を語るに際してどこを切り口にすればいいか僕は記憶をたどってみた。そしてすぐに連載一回目という切りこみ隊長にぴったりのデッキをみつけることができた。現環境になって最初の大きな大会であるSCGオープンを制した「ジェスカイ・ウィンズ」だ。まずはレシピをみてくれ。



土地(24)
2《島/Island》
3《山/Mountain》
2《平地/Plains》
3《戦場の鍛冶場/Battlefield Forge》
2《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
1《神秘の僧院/Mystic Monastery》
3《シヴの浅瀬/Shivan Reef》
4《天啓の神殿/Temple of Epiphany》
4《凱旋の神殿/Temple of Triumph》


クリーチャー(11)
4《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin Rabblemaster》
4《カマキリの乗り手/Mantis Rider》
3《道の探求者/Seeker of the Way》


その他の呪文(25)
1《紅蓮の達人チャンドラ/Chandra, Pyromaster》
2《龍語りのサルカン/Sarkhan, the Dragonspeaker》
2《払拭の光/Banishing Light》
2《時を越えた探索/Dig Through Time》
4《ジェスカイの魔除け/Jeskai Charm》
4《稲妻の一撃/Lightning Strike》
4《マグマの噴流/Magma Jet》
2《蒸気占い/Steam Augury》
4《かき立てる炎/Stoke the Flames》


サイドボード(15)
2《灰雲のフェニックス/Ashcloud Phoenix》
3《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
2《マグマのしぶき/Magma Spray》
2《否認/Negate》
1《悟った達人、ナーセット/Narset, Enlightened Master》
1《嵐の神、ケラノス/Keranos, God of Storms》
1《龍語りのサルカン/Sarkhan, the Dragonspeaker》
2《神々の憤怒/Anger of the Gods》
1《啓蒙の神殿/Temple of Enlightenment》



 どうだい、新時代の幕開けにふさわしいデッキだろ? え? よくわからないって? そうだった、きみたちはデロリアンとかいう奇妙奇天烈なあの車に乗って過去からやってきたんだったね。ならいますぐ「ジェスカイ・ウィンズ」でググってみてくれ。いろんなプロプレイヤーたちが丁寧に解説してくれている。なんなら記事をコピーして持って帰ってくれてもかまわない。だいじょうぶ、パラドックス的なものは僕のほうでなんとかしておくよ。きっとドクもこのデッキを気にいってくれるはずだ。
 ……じょうだんだよ。そんな顔しないでくれ。せっかくこんなところまできてもらったんだからね。よし、がんばって僕なりに「ジェスカイ・ウィンズ」の魅力をつたえてみよう。
 このデッキは青赤白からなる多色デッキだ。青赤白なのでジェスカイ。わかってる、それはトリコロールだっていいたいんだろう? でもいまはジェスカイなんだ。いいね? ところで多色デッキはむかしからあったはずだ。だから土地にかんしてはべつに説明は必要ないね? 《戦場の鍛冶場/Battlefield Forge》《シヴの浅瀬/Shivan Reef》なんて懐かしいだろ?
 つぎに呪文だ(最近だと「その他の呪文」なんて書いてあるけど要はspellsだね。たしかにクリーチャーだって呪文だしより厳密な表記になったわけだ)。みてのとおり基本的に火力が多めだ。きみたちの時代とくらべて火力の質があがったのかさがったのか一概にはいえないけれど(《ジェスカイの魔除け/Jeskai Charm》は《ボール・ライトニング/Ball Lightning》と共存することは不可能だし、逆に《火炎破/Fireblast》はジェスカイ・ウィンズには不要だ。適材適所ってやつさ)、そのプレッシャーは現代でも健在だ。
「のこりライフはいくつですか?」
 こんなことをきかれたらたまったものじゃない。なにせこのデッキには《火炎破/Fireblast》が8枚もはいっているんだからね。ちょうどこちらのライフも4だ。しかもこのデッキには青がはいっていることをわすれないでくれ。《時を越えた探索/Dig Through Time》は現スタンダードでもっとも強力なドローカードでプレイできればさがしものは大抵みつかるだろう。あとは煮るなり焼くなりしてくれ!
 さあ、おまちかねのクリーチャーだ。といってもこのデッキには11枚しかはいっていない。あれだけクリーチャーの重要性をあおっておいて! ……なんて怒らないでくれ。この11体のクリーチャーは火力で埋めつくされたこのデッキにおいて少ないスロットを勝ちとった、いわばMTG界のレアル・マドリードなのさ。《カマキリの乗り手/Mantis Rider》をみてくれ。そう、カリム・ベンゼマだ。こいつのフットワークの軽さといったら舌をまくね。なにせ場にでてすぐ3点だ。そしてつぎのターンにも3点。そのつぎのターンにも3点。もうライフは半分だ。しかも攻めるだけでなく守ってもくれる。闘莉王もいい選手だったね。
 ん、レアル・マドリードなんてしらないって? するときみたちは野球派かい? 僕はニューヨーク・ヤンキースが好きだ。ジーターが引退してしまってさびしいよ。え? スポーツ自体みないって? ま、それも自由さ。《強制/Compulsion》はもうないからね。でもクリスティアーノ・ロナウドくらいはきいたことあるだろう? 《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin Rabblemaster》がそうだ。うん、あまりつよそうにはみえないね。僕もはじめにみたときはそう思ったよ。だからドラフトの順位取りのときも見向きもせずにペインランドをとった。いま思えば惜しいことしたよ、ほんと。なあ、僕にもデロリアンを貸してくれないか?
 ちょっと前に《群れネズミ/Pack Rat》っていうカードがあったんだけど(もう思いだしたくもないね)このゴブリンもそいつに負けず劣らずイカれてやがる。ちょっと目をはなした隙にあっというまに増えてライフをごっそり持っていっちまうんだ! その打点の高さときたら《ボール・ライトニング/Ball Lightning》なんて目じゃないね。いや本当さ。きみたちにはわるいけどね。もしエクソダスにこいつが収録されていたらデイヴィッド・プライスだってまちがいなくゴブリンをえらんだはずさ。そんなはずないって? わかった、こんど彼にきいておくよ。
《道の探求者/Seeker of the Way》は前の2人にくらべると地味かもしれない。一見してただの熊だからね。きみたちが《白騎士/White Knight》をにぎりしめながら「そらみたことか!」とさけびたくなるのもわかるよ。よし、じゃあためしに《稲妻の一撃/Lightning Strike》を撃ってみることにしよう。対象はきみの《カマキリの乗り手/Mantis Rider》だ。これでブロッカーはいなくなったから僕は2体の2マナ3/3絆魂でなぐるよ……これでどうだい?
 ふう。けっこう話したと思うけど「ジェスカイ・ウィンズ」についてだいたいわかってくれたかな? なんだって? まだふれてないカードがのこってる? ああ、《紅蓮の達人チャンドラ/Chandra, Pyromaster》と《龍語りのサルカン/Sarkhan, the Dragonspeaker》のことだね。そうだね、きみたちにはなじみのないカード・タイプだ。旧時代のプレイヤーが復帰していちばん驚くのもおそらくこれだろう。まさに現代MTGの象徴ともいうべきものだ。でもきょうはやめておこう。僕もちょっとつかれた。サイドボードについても割愛するよ。ほかのデッキをしらないとどうしようもないからね。
 じゃあまたつぎの更新で。See You.
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