やぁ、また会えたね。世ではプロ野球が開幕してネットではフレンズたちがどこかへと去っていきスーパーには初鰹がならびはじめた。ぼくも桜のきれいな並木道を散歩しながら「クラーケンの幼子 そこのけそこのけ お馬が通る」などと詠んでいるとぼくより賢そうなジャーマン・シェパードが散歩していてぼくがあいさつすると「わん!」と応じてくれた。それから「begin combat ok?」とたずねてきたのでぼくは「もちろん」と承諾すると彼は《模範的な作り手(KLD)》の誘発を宣言したのち《領事の旗艦、スカイソブリン(KLD)》に乗りこんで「combat!」と高らかにほえた。ぼくはそれを手で制しながらたまたまポケットにはいっていた《殺害(EMN)》でスカイソブリンをおとしながら「もうそんな時期か」とおもいだしてひとつ息をついた。「gg!」とぼくは彼と握手をかわすとさっき1000円クジでひいた《密輸人の回転翼機(KLD)》に搭乗してけっきょくPCの前にもどることにした。ちゃんと誘発させたルーター能力で手にいれたカードはもちろん――《豪華の王、ゴンティ(KLD)》だ。
『《豪華の王、ゴンティ(KLD)》のここがすごい! その1』
まずこのカードがすぐれている理由のひとつは「黒い」ということだ。これはいうまでもなかったね。黒いカード=つよい。1+1=2とおなじさ。
『《豪華の王、ゴンティ(KLD)》のここがすごい! その2』
つぎにこいつのもっとも特筆すべき要素……それは「持っていないカードであそべちまう」という点だ。なにをいっているのかわからねーかもしれねぇが言葉のとおり《豪華の王、ゴンティ(KLD)》の能力は相手のデッキから1枚カードを拝借して自由に使えるってものだ。つまり沼以外の土地にふれてしまうと強制的にタップして1点ダメージをうけてしまう“カーノファージ・アレルギー”のぼくでも《大天使アヴァシン(SOI)》を石にしたり罠にはめたり分解したり打ち消したりできるし、《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス(BFZ)》と《ゼンディカーの代弁者、ニッサ(OGW)》の夢の饗宴を果たすことだって可能なんだ。どんな夢でもかなえてくれる王、それがゴンティさ!
『《豪華の王、ゴンティ(KLD)》のここがすごい! その3』
でも夢をかなえる代償ってのはいつだって大きいしだいたい致命的だ。追加ターンを願えばそのあとには容赦ない敗北がまっているし、5枚のカードを望めば寿命の半分を支払わなければならないし、《巨大ゴキブリ(UL)》とおなじノリで6/6のフライヤーを呼ぼうと試みればライブラリーのほとんどをうしなうだろう。しかしそこは豪華の王、彼が要求するのはたった「85円(トリム平均)」だけだ。トレードをおこなう、ストレージを漁るなどの努力をおこたらなければ代償はもっと軽くなるだろう。そんなささやかな代価で《キランの真意号(AER)》《歩行バリスタ(AER)》《奔流の機械巨人(KLD)》《先駆ける者、ナヒリ(SOI)》《最後の望み、リリアナ(EMN)》といった手のとどかないカードたちがいくらでも使い放題……どうだい、まごうことなき豪華な夢だろう?
『《豪華の王、ゴンティ(KLD)》のここがすごい! その4』
上記のようにゴンティの能力はこれまでのMTGをみてみても史上最強クラスといって過言ではないが彼自身は2/3接死といたって真面目で謙虚そのものだ。いまや絆魂や二段攻撃といった欲望あふれる時代にあっていまどきめずらしいくらいのバカ真面目さ……そう、ひとつわすれないでほしいのはわれわれ庶民になんでもあたえてくれる王である以前に彼もまた戦場にならぶひとりのクリーチャーであるということだ。相手の《反逆の先導者、チャンドラ(KLD)》をうばった時点で彼の仕事はおしまい……ではない。反体制をかかげる夜の王はきょうも《逆毛ハイドラ(KLD)》や青巨人からぼくたちをまもってくれるだろう。
ふぅ。わが主君ゴンティ殿下についてぼくが語れるのはこんなもんだ。日夜《サヒーリ・ライ(KLD)》と《守護フェリダー(AER)》をそろえることに心血をそそいでいるきみたちにも閣下の魅力は十二分に伝わったと確信している。あとは彼自身の活躍をその目でみることでさらなる審美眼をみがいてほしい。
というわけで次回は『嗚呼、ゴンティ』を上映予定だ。出演はわが盟友たるシルベスター・スタローンやマイケル・ダグラスを筆頭にフォレスト・ウィテカーやクリフ・カーティスやエヴァ・メンデスと脇役まで豪華の王に恥じないキャストとなっている。監督にはもちろんわれらがクリント・イーストウッド御大をすえているので最後の最後まで安心して観賞してほしい。僭越ながらぼくもつぶれたタコスを提供するタコベルの店員としてカメオ出演しているからぜひマシンガン持参であそびにきてくれ。同時上映の『巨大ゴキブリvs古代ガニ』も見逃さないように。
じゃあまたね。