竜人戦史(これを作品に取り入れるかは自由です)
竜人族の生息する「火竜渓谷」は本来甲皇国から遠く離れたアルフヘイム南部にあり、火竜渓谷周辺はセレニア山脈やサラマンドル大火山を始めとした山岳地帯や活火山が行く手を阻む過酷な環境で地理的に攻めづらく、竜人族とエルフ族との関係が険悪で戦争にもあまり積極的ではなかった為、甲皇国のアルフヘイム大陸上陸後もしばらくは戦争とは無関係だと誰もが思っていた。
しかしその予想とは裏腹に甲皇国軍がアルフヘイムに上陸すると真っ先に南部戦線攻略部隊「第一打撃軍」が編成され、山岳地帯を尋常じゃないスピードで突破、アルフヘイム南部にも戦火は拡がっていった。
アルフヘイム南部戦線の激戦の中で捕らえた甲皇国の人間を拷問していくと、やがて甲皇国がアルフヘイム南部までスムーズに攻め込めたのは竜人族を疎ましく思っていたエンジェルエルフ族族長「ミハエル4世」、並びに甲皇国と内通して様々な利益や恩恵を得ていたアルフヘイムの大貴族「ラギルゥ一族」の手引きによるものと判明する。
山岳地帯と言えどやはりアルフヘイム内での移動に使うために整備された道も僅かだが存在する。ミハエルやラギルゥ一族はその移動経路の情報を甲皇国軍に流したのだ。
このことに激怒した竜人族は火竜渓谷の中でもアルフヘイム南部には珍しいエルフ族の村「シェーレ村」近辺に住んでいてエルフ族に比較的友好なサラマンドル族には内緒で火竜渓谷を一時的に放棄、エルフ族の統治する地域に拠点を移す。
そしてかねてよりエルフ族とは仲が悪い種族だったため甲皇軍そっちのけでエンジェルエルフ族、ついでに他のエルフ族にも宣戦布告する。
その後竜人族はエルフ族の住む街を強襲、エンジェルエルフ軍とラギルゥ一族の私設兵団(私設兵団と言ってもアルフヘイム正規軍程度の力はある)が迎え撃つもこれをあっさり突破、ラギルゥ一族は抹殺される。
騒動に乗じて黒兎人と白兎人の抗争の黒幕としても暗躍していたミハエル4世も白兎人王子セキーネ・ピーターシルヴァニアンと黒兎人ディオゴ・J・コルレオーネに復讐される形で暗殺される。
竜人族と黒兎人族とは潜伏中に色々あって共闘(あくまで敵対しているのはエルフだから)したこともあった縁もあり一時的に同盟関係だった。
この事件は後に「竜の炎」事件として語り継がれることとなるが、アルフヘイムで偉い種族のエルフがフルボッコされるというアレな事件なのでアルフヘイム内でもタブー扱いされることもある(もしかしたらミハエルやラギルゥの死因は不慮の事故として処理されていることもあるかも知れない)。
この壮大な内輪揉めのせいで本来ならばアルフヘイムでの戦争において有利な要素が多かったはずのアルフヘイム軍が禁断魔法を使うまでに追い詰められたという説もある。
だが英雄クラウス・サンティ暗殺にラギルゥ一族やミハエル4世が関与していたとも言われ、戦後のアルフヘイムの政治においても彼らがいなくなったことで生じたメリットも多かった(特にエルフ以外の種族は)ためなんだかんだで許されていることもある。
主だったエルフ至上主義者の貴族が消えたことで気が済んだのか、その後はノースエルフ族族長ダート・スタンの手腕もあってなんとか和解。
戦争終盤においては、奪われた故郷を取り戻すべく再び南部地方に赴き故郷を奪還する。
なお言うことを聞かない一部の竜人はアルフヘイム最南部「ベラベラ高地」や禁断魔法爆心地から少し離れた場所等に勝手に戦いに行った者もいるらしい。
ちなみに竜人族の戦士レドフィンは戦時中はたま~に戦場に顔を出すこともあったものの基本は「竜の牙」事件で受けた傷を癒すために休眠していたことが多かった。「竜の牙」で強い人間もいることを知り更なる高みを目指すために修行もしていたが身体が完全に治らない内に身体を動かしていたのですぐに傷が開いて中々傷が治らなかったらしい。