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3月11日更新文芸作品感想

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「鹿児島都構想のすべて」 作者:若樹ひろし先生

【まえがき】
 凄い真面目そうな話。政治的な話絡んできそう。基本的に小説に政治的思想とかを絡めてくるのは苦手なのですが、大丈夫かな。今回は春編まで。

【ストーリー】
 舞台は鹿児島の国立大学。マイク使って演説している人がいるらしい。橋下徹だとかいろんな嫌な言葉が出てきたけど、結局は宗教団体に騙されていることに怒っているらしい。なんだそりゃ。メインっぽいキャラクターも出始めた。
 読んでいくうちに、政治的な堅い話とは少し違うかな? と思ってきた。わりとエンターテイメント系。タイトルが堅すぎて読まれにくいのかも。「こちら鹿児島大学都構想部」みたいなタイトルだと読まれやすそうな? 指宿は超能力者。ただし条件付き。どういう原理なんだ……。
 良いやつだと思った奴が実はただのタラシだったり悪いコト重ねてる奴だったり、展開が面白い。伏線は直前にエピソードがあったから割と簡単に気づいた。春編の締め方はいい感じだったと思うけど、アコギのエピソード読みたい。めっちゃ気になる。この後語られたりするのかな。
 最初は堅い話だと思って身構えてしまったけど、決してそういう部分ばかりではなく、一種のエンタメ小説として読めた。春編に都構想計画みたいなものはあまり出てこない。これから来る?

【キャラクター】
 メインは霧島、川内、指宿、隼人の四人。みんな鹿児島関連の名前らしい。霧島と指宿はすぐに分かった、川内は川内原発でなんとなく、隼人は分からなかった。隼人町って予測変換に出てくるのでこれだと思う。
 主人公は霧島。語り手。あまり目立っていない。あくまで語り手って感じ。特徴的な部分はない、しいて言うなら騙されやすい? 川内はチャラい。そのチャラさが原因で春編ではある事件を引き起こしている。最初の好感度は高めだったけど一気にクズイメージが付いた。指宿は超能力を使える美女。鹿児島都構想に興味あり? 霧島らと仲が良いイメージなかったけど、いつの間にか普通に話している。隼人は鹿児島都構想計画の立案者。ぽっちゃり。ぽっちゃりで政治的思想の人間って根は良い奴なイメージあるけどまさにそんな感じだった。イケメン。顔とかは分からないけど痩せたら多分モテるぞお前。根拠はないけど。

【文章】
 自サイトのレイアウトが読みづらい(読む際は結局エディタに移して読んだ)。余程のことがない場合、Neetel使ったほうが読みやすいのでそっち使ったほうがいい。いまからは厳しいと思うので、CSS/HTML辺りいじってなんとかすると読みやすい。自サイトって結構コメントつきにくいイメージあるんだよね……経験上。
 地の文とかに違和感はない。抜き出して指摘するほどの場面も、特にない。が、会話前後のバランスが少し悪い。この台詞は誰が言っているのか、と考えてしまうことがある。個人的に会話文として成立しているカギカッコの後には地の文を入れないほうがいいかな、とは思う。文豪とかは結構その手法を使っているけど、結構読みづらい(主観)。

(例)
「明日、合コンするんだ?」指宿が言う。
 予期せぬ言葉に対し平静を取り繕うため一先ず頷く。
 何故それを知っているのだ。と彼女に尋ねる前に「田守に聞いたんだけど。川内が主催だとか」と指宿は言った。
「それを聞くために呼んだのか」俺は彼女の意図が汲み取れなかった。指宿が合コン相手へ嫉妬の炎を燃やしているとは思えない。
 すると彼女は首を横に振り「川内の悪い噂が広まってるみたい。なにがしの女に手を出したとか、女をあちこちで泣かせてるとか。だから川内が主催のイベントには注意した方がいいよ」
(以上、春編「警告」より)

 ここ、読みにくい気がする。もしカギカッコの後に地の文を入れるとして、個人的な修正をさせてもらうと、こんな感じになる?

「明日、合コンするんだ?」指宿が言う。「田守に聞いたんだけど。川内が主催だとか」
 なぜ知っているんだ、と尋ねる前に指宿はその問いに答えた。
「それを聞くために呼んだのか」
 彼女の意図が汲み取れなかった。指宿が合コン相手へ嫉妬の炎を燃やしているとは思えない。
「そうじゃなくて」
 指宿は首を横に振り、続ける。
「川内の悪い噂が広まってるみたい。なにがしの女に手を出したとか、女をあちこちで泣かせてるとか。だから川内が主催のイベントには注意した方がいいよ」

 もちろん、書き手の方針によって文章表現は変わってくるだろうから、上記はあくまで個人的な感想。僕はどちらかというならラノベよりだから、大衆文学としては若樹先生の書き方が正しいのかもしれない。
 ただ、一読者として話は面白いと感じたので、文章の使い方がちょっともったいないかなあ、とは思った。

【総括】
 鹿児島都構想の話はまだ出てきていないけど、面白い。冒頭の「10年後」ではあまり前向きな話はしていないから、結局失敗するのかな? でも失敗することが分かっている計画に身を投げだしていくのは嫌いじゃない。続きも読みます。
「永遠の0」 作者:ヨ先生

【まえがき】
 昔からよく見かける先生。なんか一作品、面白えって思って読んでいた作品があったんだけどなんだったかな。思い出せない。消されたかも。

【ストーリー】
 射精すると過去に戻ることができる白人男性の話? やばいよく分からない。最後、一緒にいた女性・ヒカリは全裸で息を荒げていたけど、もしかして最初はレイプしていたのだけど、そこで射精したから過去に戻って、オナニーさせて、またレイプする前の場面に戻ってきたということ? 過去に戻る系の話は難しいけど、最後に男・シコルスキーが発した「いい陰毛だね」の一言でどうでも良くなった。コイツ永遠にシコり続けられるってことだよね。やべえ。

【キャラクター】
 掌編なので特に特記事項はない、けど、これだけの分量でそれぞれのキャラクターがどんな感じの性格なのか、人間なのかを端的に表現できているので、やっぱりヨ先生って頭いいか文章上手いかだよね。分かりやすい。

【文章】
 前述した通り、的確な表現なので突っ込む部分はない。会話文も自然なので良いと思う。ヨ先生の文章は十分読むに値するレベルなので、こういったクオリティの掌編なり短編なりを生み出し続けてくれたらな、と思う。

【総括】
 久しぶりにヨ先生の文章を読んだけど、面白かった。また違う作品を期待したい。昔読んでた作品なんだったかな。螺旋だとかそんなタイトルだった気がするんだけど……。
32, 31

  

「黒兎物語」 作者:バーボンハイム先生

【まえがき】
 前回は読むのが苦痛だった本作。さて、今回の感想分(46~51話)はどうか。

【ストーリー】
 フローリアに応援を要請するリブロースと、その周囲の人びとのちょっとした騒動。おお、悪くない話。むしろこういうゴタゴタは好き。でも、黒兎人族出てますかね、これ。
 去り際にミハイルに刃を向けたリブロースは追い回されるのだけど、その時になぜわざわざ場内に逃げ込んだのかが分からなかった。帰路へ着こうとしていたのなら、そのままフローリアに向かえばよかったのでは、と感じるところ。それともまだ城内にいたか。だとしたら余裕すぎるのでは。いま攻めこまれているんだよね?
 あとはリブロースを助けるために現れたゲオルク。すぐに悪態をついた。交渉事には自信があった……とこぼしているけど、交渉らしい交渉はしていないと思う。ゲオルクが口にすべきことを地の文で説明しているので、ゲオルクの言ってみただけ感が半端ない。何枚も上手であったか……じゃないよもっと舌戦しろよゲオルク。最後は煙玉使って逃げられた。無事でよかったけど、もう少し早く使えたのではという気がしないでもない。
 この作品自体が筆者の意見を交えつつ史実を語っていくという形式をとっているので違和感がある。結構、他作品の何話を参照……みたいなのもあったりするので、ストーリー仕立てに関しては言いたいことはたくさんあるのだけど、それはまたいつか感想を書くときに。

【キャラクター】
 ゲオルクのように個性が立っている(ミシュガルド戦記のおかげかもしれないが)キャラクターは容易に想像できるのだけど、クルトガみたいなキャラクターはどんなキャラだったっけ……と考えてしまう。もちろん黒兎物語のなかで登場しているのかもしれないのだけど。いまだにダート・スタンとかニッツェとかよく理解していない。戦記だといって多くのキャラにスポットを当てる必要はないのかな、とも思う。

【文章】
 やはり突っかかる。謎の改行は執筆環境の影響? 読みやすい工夫のための改行? 後者であれば若干見当違いな気が。Neetelの桁数は42文字と最適な幅になっていると思うから、そこまで改行は挟まないで良いと思う。改行のせいで文章の腰を折られている部分が点在しているので、なんとかしたほうが書く側にとっても良いのでは。
 以下抜粋。

・ヤーヒム・モツェピ大尉率いる警備部隊は、帰路へとつこうとする
 ジィータ・リブロースと、クルトガ・パイロットを拘束すべく2人を探し回っていたのだ。

 こういった改行は意味がない以上に、文章に齟齬が生まれてしまう。これでは警備部隊が帰路につこうとしているように見えてしまい、その後の文章を読んで、ようやくそうじゃないと分かる形だ。だから文章を遡る必要が出てきて無駄足になる。

・緊張感の欠如
 これは作風だから仕方ない面もあると思うが、悶え苦しむ様子に「痛~~~~~~~~ッッ」と逼迫した状況に似つかわしくない(刃○風?)台詞だったり、互いの金玉を握り合うといった表現だったり、興をそがれるものがやはり多い。それが作風と言われれば何も言えないのだけど、すべての読者がこれをよしと思っているわけじゃない、ということだけは言わせてほしい。少なくとも私は少し不快に思った。

【総括】
 今回は状況そのものが好きな感じだったのでさくさく読めた。ただ、ちょうど黒兎人族が見当たらないのでタイトルどこに行ったという感じにもなった。黒兎物語というからには、彼らだけにスポットを当てて、それ以外は事細かに書かなくても良いのではないか、と考えた。うーん、難しい。
「有沢、HIVに感染したってよ」 作者:安彩花先生

【まえがき】
 顎? と思ったら安彩花先生の作品。またテーマが重そう。明るい話に期待したいけど、一話からサブタイが「粛清」なので、逆に踏ん切りがついた。

【ストーリー】
 転校する女子生徒・川尻清子は四人の人間と関係を持って(?)いて、さらにHIVに感染している事実を告げた。それで感染した生徒たちがイジメに遭い、ドロドロとしたストーリー仕立てになっている。
 ポイントとなるのは学校の人間がアダ名で呼び合っているため「有沢」が誰か分からないという点か。川尻というアダ名(?)があるくらいなので、その「有沢」でさえアダ名である可能性があるので難しい。でも後者だったらもう正体割れてるか。なんにせよ、誰が有沢なのか、というミステリー要素がある。
 今回は2話までの感想だけど、感染容疑者一人ひとりのエピソードを描いていく形式になるのだろうか。今月中には完結させたい、と言った旨をつぶやいていた記憶があるので、そうなのかもしれない。しかしどうにも明るい未来が全く見えてこないストーリーではある。ポップでキッチュな話でも歓迎だぜ、先生。あとジャニーズ君。自殺する前にとりあえず検査に行こう。
 あまり関係ないかもしれないけど、川尻が献血に向かっているのが少し怖い……。HIVに感染してるとそういうことやるの?

【キャラクター】
 アダ名でなんとなくキャラクターの容姿が浮かぶのは助かる。が、ジャニーズ君がどういった理由でジャニーズと呼ばれるようになったのかの理由付けが足りないように感じた。結局イケメンだったから? スポーツもそこそこできたから? 「俺こそが誰よりも価値のある人間なのだとようやく理解した」とだけしか書かれてなかったから余計に気になった。その価値の部分を教えてほしい。
 川尻が主人公……と思ったけど、要するに「桐島、部活やめるってよ」の桐島的な伝聞のみで語られる人物像か。「桐島」もその同級生5人の日常の変化を描いていたので、似たような形式になるのだろうか。ジャニーズ君以外の3人の話にも期待したい。

【文章】
 読みやすい。エンタメ小説的。1話の独白と地の文が同一に語られる形式は戸惑うけど、まあ、悪くない。ただ、普通にカギカッコで綴じてもいいかなという印象。
 以下、少し気になったところの抜粋。

>ところで先ほども述べましたように、先生方がいくらシラを切ろうとしても私がイジメられていたことは周知の事実であったと私は考えています。埃に塗れた制服、破れた教科書、何度も無くなる上靴。私は馬鹿ですか? あなたたちはイジメの事実を知っていながら黙認していたのです。でも、これは知っていましたか? 私たちの学年には“痴漢ゲーム”なるものが流行していたのです。
(一.粛清より)
 私は馬鹿ですか、の部分で「ん?」となった。前後の分とのつながりがあまりない気がする。その後で「でも」から始まる疑問文があるので余計目立つ。馬鹿ですか、の一文がなくても成り立つので消してもいいのでは。
 僕もこういうことを結構やる(作者って自分の文章に関しては割と盲目になるよね)のだけど、音読すると違和感のある部分がわかるので、アップする前にちょっとだけ読んでみたらいいんじゃないかなあ、と思う。

>分かり切っていたことだが、川尻清子の“忠告”は棄却された。
(ニ.感染より)
 忠告? となった。直後に犯人探しが始まっていることを考えると、川尻の忠告は「HIVなんて気にしないでいい」ということ? それは少しおかしい気がする。川尻の忠告、という文面がそもそも気になった(川尻は何か忠告していた?)のだけど。ちょっと直後の文章とのつながりに違和感があるので、この一文はなくてよかったかも。

>俺が自分の価値に気が付いたのは中学生に上がってから。漫画やドラマに憧れただけの恋愛ごっこじゃなく、真に男女の意思が芽生え始めた頃~ ~学年で一番美人だと名高いカチューシャが彼女になった。全てが順調だった。
(ニ.感染より)
 ジャニーズくんの全体像が見えてこない。実は長身細身のイケメンだったけど、陰気だったから目立ってなかったってこと? よく分からない。
 直前にある「小学生に男女の概念はなく、力の強い者、活発な者が問答無用で『輪』の中心に立つ」というのも気になった。経験上、遅くても小学四年生くらいからそういう気は出てくるのではないかな、と思う。あとは読点の前後が少し噛み合ってない。男女の概念がないから力の強いものが輪の中心に立つ……そういうものか?

>エキゾチックな顔立ち
 一瞬、どんな顔立ちだよ! って思った。日本人離れした、みたいな簡単な描写でも良かったのでは? 中学生がエキゾチックなんて表現使ってるとなんかフフってなって面白いけど!

【総括】
 題材は面白い。ブレないので先が気になってしまう。ただ、ハッピーエンドはかけらも見えてこないけどな(そこがゾクゾクするのだけど)! ニノベは基本的に明るい話が多い(?)ので、文芸ではこういうエンタメ小説ならではの作品が増えていいと思う。続きに期待します。
34, 33

  

 以上4作品の感想です。作品リストは作成の時間対効果が薄かったので書きませんでした。申し訳ありません。
「鹿児島都構想のすべて」は面白い。文芸らしい作品。もう少し早く読んでいればと思った。ただ、レイアウトは気になるのでもう少し第三者視点で読みやすいようにしてくれたらな、と。「永遠の0」は不思議。でも読める。ヨ先生もっとこういうの書いてください。面白いから。「黒兎物語」は今回の部分は割と楽しんで読めた。結構作者の心理状況がそのまま影響している? 文章は相変わらずちょっと難があるけど、楽しめるのではないかと。「有沢、HIVに感染したってよ」は誰が有沢なのか読者にはわからないという見せ方が上手い。そして読ませる文章。ニノベの有望株がソルト先生なら、文芸新都の有望株は安彩花先生だな!

 次回感想日。
 次はニノベ作品ですね。対象日は3月19日(土)にします。休みの日なので多く更新されることを願っています。沢山の更新待ってるぜ!
 あと、四代目担当もこっそり募集中。今月中に名乗りがなければ、来月頭頃からぼちぼち探して行って、4月いっぱいで僕は退場しようかなと思っています。なので、感想を読んでいただいている方も、僕の感想が嫌いな方も、あと1ヶ月ほど、ごしいきご鞭撻のほどよろしくお願いします。
 ではでは、また次の感想で。
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黒兎玖乃 先生に励ましのお便りを送ろう!!

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