殺風景な部屋に孤独が谺している
ぬめぬめと光る血だまりのような欲望が
ふつふつと湧いては裸の蛍光灯を曇らせる
夢見がちな時間は過ぎ
色に酔った陽は落ちた
華奢な手の冷たさとぬくもりが
忘れられぬまま夜を閉ざした
「蛇の名を知っているか」
「蛇の名を知っているか」
「蛇の名を知っているか」
銀色の誘惑が狂い気を自覚させる
くらくらするような眩きは毒の煙
ぎらぎらと濁った目玉は鏡の中で回る
荒寥たる風景に時はなく
色に狂った子供は独りぼっち
薄い口唇と首筋の艶めかしさを
代替品で慰め誤魔化した
「蛇の名を知っているか」
「蛇の名を知っているか」
「蛇の名を知っているか」
痛みに慣れ過ぎた無表情な魚が
ふらふらと昏い水底を泳いでいる
きらきらと光る日々は遥か彼方
眠りに落ちた午後八時
九時前の中途覚醒
夢を見ていた午後十時
十一時に冷め行く針先
瓦解直後の午前零時
「蛇の名を知っているか」
「蛇の名を知っているか」
「蛇の名を知っているか」
「蛇の名を知っているか」
「蛇の名を知っているか」
「蛇の名を知っているか」
「蛇の名を知っているか」
「蛇の名を知っているか」
「蛇の名を知っているか」
「蛇の名は―――