第2話「PK」

　圧倒的な強さでペレ擁するブラジルが70年W杯で全勝優勝を遂げると、ペレは段階的に表舞台から退きました。
　ペレの去った70年代のサッカー界の頂点に君臨したのが西ドイツのベッケンバウアーとオランダのクライフです。

　ベッケンバウアーは西ドイツ代表として66年W杯準優勝、70年W杯3位、72年欧州選手権優勝、クラブではバイエルン（西ドイツ）で73－74年欧州チャンピオンズカップ優勝、個人では72年にバロンドール（欧州年間最優秀選手賞）を受賞し、主将として自国開催の74年W杯に臨みました。

　クライフは代表でこそ国際大会での上位進出などの結果を残せていませんでしたが、クラブではアヤックス（オランダ）で70－71年、71－72年、72－73年シーズンにかけて欧州チャンピオンズカップを3連覇し、71年と73年にバロンドールを受賞、同じく主将として74年W杯に挑みました。

　74年W杯決勝は二大スーパースターによる頂上決戦になったのですが、開始直後に西ドイツが一度もボールに触れることなくオランダが先制する波乱の展開でスタートしたのです。