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コニー・夏の消失点

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【雑誌】月刊コミックニート
【作品名】夏の消失点
【作者名】井砂
【作品URL】http://kinmilai.web.fc2.com/another/moto/index.html





【敢えて辛口で】
 井砂先生といえば、編集部の長文感想スレでも多くの感想を貰っていた方だ。
 単に凄い凄いと褒め称えるよりも、問題点を色々と指摘した方が良い気がする。
 私にとっては初めて感想を書くことになるが、敢えてちょっとだけ辛口で感想を書いてみたい。
ZONE-Bの時と同じく、もっとコメントをというか、注目されても良い作品だと思うから。


【登場人物が多すぎるのでは?】
 玉置…主人公、黒髪・オッドアイの少年。先輩の復讐に燃える。(前作のポロに似てる)
 石野…主人公の友人。金髪の少年。盗賊に腹を撃たれた。
 徳永…Z2のライダーで盗賊に轢き殺される。
 井上…徳永が轢き殺された現場を目撃していた少年。定職についている。
 坂本…徳永の葬式時、喪服の玉置と石野を車で送迎していた。
 瀧…自動車工の少年。
 戸川…酒場の店員のポニーテールの少年?(前作のエランに似てる)玉置と共に盗賊を追う。
 平沢…戸川の彼女?
 布袋…盗賊の少年、長髪。
 氷室…盗賊の少女、ツインテール。(前作のエレナに似てる)
 高橋…盗賊の少年、短髪。戸川に撃たれた。

 全部、有名な歌手の名前から取ったと思われる。
 誰が誰だか認識しにくかったので、名前付きの人物だけまとめてみた。
 これ以外に名無しのモブが数人いる。銃を売っていた少女、葬式とかたまり場で玉置や石野と話していた友人らしき人達の名前は分からない。
 これは私見だが、登場人物はもっと減らして、名前付きの人物も2~3人だけで良かったかも。極端かもしれないが、玉置と布袋だけでもいい。その代わり、選挙カーの候補者のごとく、主要の2人だけ名前を連呼すればもっと印象づけられたかも。
 描き込みは精緻で、物凄い労力をかけているのは分かる。
 モブキャラクターも自然な会話をして雰囲気を盛り上げてくれるので悪くはない。
 が、やはり情報量が多すぎる。
 バーボンハイム先生のアサシーノスが油ギトギトこってり味の中華料理なら、井砂先生の本作も意識高い系の複雑な味したラーメンのよう。
 貧乏舌な読者にはそこまで高尚な味は分からない。
 特にほら、新都社読者ってジャンクフード大好きだし。
 でもまぁ、余りこんな感想とかコメントとか気にせず、井砂先生はこの持ち味を大事にしていった方がいいと思う。
 前作よりは遥かに精緻になっているので、この路線を突き進んで成長していく姿が見たい。
是非今後とも黒Tシャツを着て腕組みしながら漫画を描いてほしい。 


【車とバイクと銃】
 その3つの絵が描きたかったんだろうなぁというのが良く分かる。
 あとは雰囲気を盛り上げる酒場、ガレージなど。
 陰影と斜線を使った描き込みが凄く、素晴らしい。好みの絵柄だ。
 井砂先生の前作「世明けに進路をとれ」に比べても非常に精緻なものとなっている。
 車やバイクが好きな人にはたまらないし、詳しくない私でも感嘆するリアリティ。
 映画のような演出、余り効果線が無いのにスピーディーに感じる動き。実にスタイリッシュだ。


【雰囲気漫画、二回読むのを推奨】
 玉置がなぜそこまで徳永先輩のかたき討ちをしたいのかも分からないので、キャラクターに感情移入させてくれない。
 雰囲気を伝えるための台詞は多いが、読者に説明するモノローグなどは一切ない。
 むしろ雰囲気を盛り上げるために、説明を排除しているのだろうが…。 
 読者は置き去りで状況だけがどんどん進んでいくので、やはり読みづらい。
 漫画だから絵で説明しようという心意気は素晴らしいが…。
 一瞬しか出ない人物にも名前があって、しかも重要人物そうな雰囲気で話すから、モブという感じがしない。結果、誰に焦点を当てて読めばよいのか分からなかった。同じ作者が描いたキャラだから仕方ないとはいえ、似たような顔が多くて判別しがたい。
 例えばだが、漫画で見せるより、三人称の小説で書いた方がまだ話は理解しやすかっただろう。
 というか、文芸作家的には、こういうハードボイルドな話を小説で書いてみたいなぁと思った。
 誰が主人公で、誰が盗賊なのか、初見では何が何だか分からなかったが…。
 二回目は敢えて登場人物の名前をメモしながら読んでようやく話が理解できた。
 本作は、先輩を盗賊に殺され、復讐に燃える主人公が、銃を手に入れ、カーチェイスしながら盗賊を追い詰めていくという話だ。
 最新更新分では、対向車線から迫りくるトラックを見つけた布袋がほくそ笑むところで終わっている。
 恐らく、追いかける玉置と戸川の車にぶつけようというのだろう。
 二回読んでやっと気づいたが、実はけっこうシンプルな話だった。
 少なくとも前作よりはシンプル。
 本作を読むなら二回読もう。
 いきなり高菜を食べちゃダメだ。まずはスープから。
 味わって読もう!
20

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