【雑誌】週刊ヤングVIP
【作品タイトル】サヌルカヌイ
【作者名】ノゴハン
【作品URL】http://sanurukanui.web.fc2.com/
【シュールギャグ&クトゥルフ的SF】
この漫画は感想を書くのがとても難しい。
とても好きな作品なのだが、文芸作家の私でもどう好きなのかと言葉に表すのが難しい。名状しがたい。
それでも更新を合わせてくれた以上は試みてみたい。
一言で表すなら「シュールギャグ&クトゥルフ的SF漫画」となるのだろうか……。
ただそのシュールギャグや作風に慣れてくると、それだけでは限界がある。
「領主の国」「湖の街」と、最初の二話は、今迄見たことがない作風で新鮮で面白かったけど、もしそういう短編がずーっと続いていたら途中で飽きていただろう。
早々に「電脳帝国」で長期シリーズに入って良かったと思う。
サヌルカヌイとは? そして電脳帝国とは? という謎が徐々に明らかになっていくクトゥルフ的SFストーリー漫画として興味深く読み進めることができた。
電脳帝国の生活は危険だが割と面白そう。ちょっとぐらいなら住みたい。
【壮大な物語・膨大な設定】
サヌルカヌイとそれを取り巻く人々には膨大な設定がある。
サヌルカヌイ自身が一番とんでもないが、それ以外のミカ、アニス、ミリアらの設定もまた壮絶だ。
そしてこの世界、地球らしいがどうも1億年後の未来らしく…。
まぁ、後はサイトTOPの一番下の方にある「駄文」を読んでください。
「駄文」などと言いつつ、この設定を読んでもらうがために本編書いているんじゃないかというぐらいの熱量で書かれている。
私は面白かったので、ちょっと大変だったが全部読みました。
なんという壮大すぎる物語…気が遠くなる。
ノゴハン先生の絵は描き込みも緻密だし、更にこれだけの設定を文章で書くのも相当な時間がかかったに違いない。
使い捨てで一瞬で殺されるようなモブキャラの1人1人、登場する兵器のすべてに緻密にして膨大な設定があるのだ。
まぁ、そういう膨大な設定を読まずとも、本編だけでも十分楽しませてくれる。
駄文(設定)を読めばより楽しめるというだけ。でもすべて理解しようとすると少々頭が痛くなるので、気軽に読むならやはり本編だけでいいと思う。
「駄文」には読みやすいエロ小説も2本ある。
女騎士のエロ小説はありがちで割と普通だった。
でもヌルヌルカヌイとミカのエロ小説はかなり良かったというかエロかった。挿絵もあるし。何という触手愛。さすがミシュガルドのローパーの生みの親。
これはノゴハン先生にしか書けないだろう。
触手姦小説といえば、ミシュガルドでナっちゃんというキャラがエロい目に遭う小説「ミシュガルドのちょっとアレな話」というのがあったが、まさか…!?
いや、違ってたら失礼だな。
でもあれはノゴハン先生も気に入るだろう。未読ならぜひ。
【独特の世界観の源泉は…?】
ノゴハン先生の絵柄・世界観は、先生にしか描けない唯一無二の存在だ。
他の漫画を引き合いに出してすまないが、似ているとすればこの奇妙でシュールな世界観は「魔女試験」に通じるところがある。
そういえば杉本アトランティス先生も「サヌルカヌイ」好きだと言ってたような。やはり作風が似た者同士はひかれあうのかもしれない。
サヌルカヌイだけでなく、例えばヌルヌルカヌイとミカの子供の物語などで外伝が永遠と描けてしまいそう。
実に想像力豊かだが、ちょっと頭おかしいんじゃないのと思うところも…。
ノゴハン先生の脳内はどうなっているのか興味深い。
直接除けばSAN値が激減しそうなので、漫画で見せて欲しいところだ。
【3/19追記】
ミリアが頑張ってサヌルカヌイの暴走を抑えた。
崑崙修行僧つえー。
それにしても最初はぶっとんでると思っていた胃袋がサヌルカヌイの中では一番まともだったとは…。そして一番苦労人可愛い。
電脳帝国編が始まるきっかけとなったミカの兄も戻ってきたようだ。
兄と妹の絆が報われる作品は名作である。
新都社で時々出現する妹キチの読者さんも納得の展開だろう。
【3/26追記】
電脳帝国25あたりからフルカラーで大変な力の入りようだ。
ノゴハン先生の絵はカラーの方が見やすくて見栄えもする。
アニスもミカもサヌルカヌイの影響を大きく受けて常人とは違う何かに生まれ変わったようだが、ハッピーエンドで何より。
エピローグはサヌルカヌイが分身を残してアニスらの元から去っていくというエンド。
エレベーター6000年とはまた壮大だ。ここのエレベーターガールがとても不気味で良かった。
異様に気の長いサヌルカヌイだが、彼女が去っていくシーンは「火の鳥」を見ているかのような読後感だ。
ちょっと褒めすぎかな?
大変面白い漫画をありがとうございました…っと、これで完結ではないみたい。
電脳帝国編が終わりなだけ? 次のシリーズも楽しみだ。