【雑誌名】ベータマガジン
【作品名】【ミシュガルド】ガイシ胎動
【作者名】火口
【作品URL】http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=18458
【ダイジェスト】
初見ではわざわざ「ダイジェスト」とあったし、美麗な絵と雰囲気を楽しむだけという印象。
だが今回、改めて最初から読み直してようやく話の方も理解できた。
本作では、甲皇国がミシュガルドに入植地として作ったガイシという街とその地下にある遺跡に関連する話だ。
ガイシ市街には化物(ヤドカリ)に寄生された住民がうろつき、傭兵(ガザミやゲオルク)などが治安維持に動いている。
にも関わらず主力の甲皇軍は何をしているかと思えば、地下遺跡に魔物が侵入しているとしてそちらの探索をしていた。
ミシュガルドには原住民的な魔物(ニコラウスなど)がおり、ガイシから甲皇軍を追い出そうとしているものの、甲皇軍(カールやウルフバードなど)はそれでも企みを進めている。
冒険者たち(ケーゴなど)が甲皇軍とは別に遺跡の探索を進めていくうち徐々に明らかになっていくが、ピクシーに乗り移った者が語る「神」とは?
といったところ。
確かにダイジェストであり、色々と端折っている部分はあるが、それでも十分に情報は提示されている。
死者の蘇生に絡む話になっていくのかな? 恐らくだけど。
ダークでシリアスな雰囲気がたまりませんね。
エルナティたその拷問シーンとか本当にたまりませんね。
【ベータなのがもったいない】
絵的な魅力は今更言うまでもないが、新都社でもトップクラスの画力・漫画力。
どのキャラクターも非常に魅力的にスタイリッシュに描かれている。
火口先生に描かれたキャラクターの作者さんは非常に嬉しいところだろうと思う。
普通に少年・ヤング・コニーなどで普通に連載したらもっと注目されるだろうに…。
ミシュガルド小説組は文芸やニノベで連載してるし、漫画組も別にベータじゃなくても良いような気がするがどうだろうか。
【情報将校カール】
明確に言われてはいないが、火口先生の自キャラ・カールを中心にストーリーは進んでいきそうである。
このカール、主役にふさわしい魅力的でバランスの取れた人物だ。
皇子でありながら庶民的でもあり、丙・乙家、平民や研究者、SHWと様々な人々と気軽に接触して関わっている。甲皇国の皇位継承権者は様々出ているが、一番まともそうな人だ。その真の目的とは…?
単なる食道楽のためだったら笑えるがそうじゃないと思う。たぶん。
あのヤドカリは食えそうにないし。
【最高のミシュガルドの楽しみ方】
ミシュガルドは習作にもってこいだと思う。
自分の描きたいシチュエーションだけを描いたり、一般受けしなさそうな妄想設定を勝手に作ったり、完成された漫画でやるには労力が大きすぎるネタを試してみたり。
「ダイジェスト」だからこそ好き勝手やってもいいと思う。
ベータにはよく実験漫画とか投稿作を試しにあげてみたりという使い方をされる作家の方も多い。
ミシュガルドだからできることというのもあるだろうし、火口先生はそういうスタンスで本作を描いているのかな? と、思った。
でも地力がある方がするとここまでハイクオリティになるのだから素晴らしい。
続きも楽しみにしている。