【雑誌】少年VIP
【作品タイトル】1000円ヒーロー
【作者名】焼き芋ガンダム斎藤
【作品URL】http://1000yenhero.web.fc2.com/
【完成された少年漫画】
妹大好きお兄ちゃん、しかしてその正体は1000円で1秒だけ変身できるヒーロー、日朝千。
両親がいなくて働きながら妹を養う苦学生。それでも妹にはお腹いっぱい食べさせて、自分はもやしで飢えをしのぐ。
怪人が現れれば、なけなしの生活費を犠牲にして変身。
友達から金を借りてまで変身したりはせず、ヒーローの力を金に換えようともせず、あくまで自分の中の正義のためにだけ戦う。
妹のためだけにしか金（ヒーローの力）を使わないかと思えば、周りに困っている人がいれば手を差し伸べる。
ワンパンマンにあるような民間のヒーロー組織が出ていたが、それに所属すれば金には困らないだろう。
だが正義のために戦っているわけではないとして、ヒーロー活動で金を得ようとしない。
妹のラケットだの修学旅行費だので金策に右往左往するくせに、やせ我慢もいいところだが、その姿勢はストイックでかっこいい。
誰からも好かれるタイプの快活な主人公。
見た目ヤンキーで粗雑な言動とは裏腹に、聖人君子すぎるんじゃないかというきらいはあるが。
変に厨二病的に闇落ちせずしっかり強いヒーローであり、大変好感がもてる。
少年漫画の主人公としては完成されている。
【様々なヒーロー、様々な正義】
ワンパンマンがそうであったように、最強すぎる主人公ゆえに、主人公以外のヒーローたちに目がいく。
レート１円や１０円のヒーローたちにもそれぞれドラマがある。
レート１０のエッジマンを皮切りに、まさかあのマッチョマンたちがレート１のマジックテープマンやつなぎマンだったとは…。
政府と民間ヒーローの違い、マッハマン、レディフロスト、それぞれの「正義」「ヒーロー像」が語られる。
こうして見ると、一口にヒーローといっても様々な形があるんだなぁと感心させられた。
ヒーロー論を書けるんじゃないかというぐらい考えられている。
実に興味深い。
【ヒーローとは？ 怪人とは？】
「1000円ヒーロー」の世界では、特に世界設定についてはまだそこまで語られていない。
どうしてヒーローたちはお金を投入することで変身できるベルトを持っているのか、そしてそれは誰が作って普及させたのかとか。
怪人は人間とは違う生命体として描かれているが、彼らはどこから来て何を目的としているのかとか。
仮面ライダーなどで見慣れているからかもしれないが、ヒーローがいて怪人がいてという世界をちゃんと理由づけてやってほしいなと。
例えばだが、クロマニョン人が現代人やヒーローに進化して、ネアンデルタール人が怪人に進化しているとかでもいい。
簡単でも良いので、そういう歴史的背景なり、ヒーローや怪人がいる理由を教えて欲しい。
パラサイトヴァンパイア編でヒーローに変身できちゃう怪人が出てきて、いっそう思ったがヒーローと怪人の境目が良く分からない。
炎や氷を出せたり、体からナイフを出せたり、明らかに怪人と同様の異能の力な訳だから。
しかもそれが遺伝するというなら、やはり人間とヒーローは別種の生命体？
正義や悪の心というあいまいなものだけで分けられているのなら、生物的にはヒーローも怪人も大差ないということだろうか。
コメント欄にもあったが、日本語を話す知的生命体を殺すって結構重いことだ。
日本語が通じるなら会話による平和的解決もできるんじゃないかと思うんだが、ヒーロー組織や政府は害虫駆除をするかのように怪人を殲滅しようとしているようだ。
最新更新分では、千ともやしの怪人とが協力していたし、なおさらヒーローと怪人の差が気になった。
とまぁ、軽く気になったのはそれぐらい。
別漫画ばかり例に出して申し訳ないが、ペニスマンでそのあたりのテーマがもっと掘り下げられると思っていたのだが、もう無理だろうからね…。
本作でそのテーマが掘り下げられるのでは？と期待しちゃうのだ。
でもまぁ、単に様式美としてそういうもんだと考えればいいのかもしれない。
ファンタジー漫画でもエルフやドワーフがいる理由なんていちいち説明しないしね。
他はまったく隙が無いぐらい完成され、レート１０００００級の面白い漫画だった。
軽々しくこういうことを言うと怒られるだろうが、商業ＷＥＢ漫画サイトでお金貰えるほどに。
でも焼き芋ガンダム斎藤先生なら、千と同じ道をとってくれると期待したい。
【会ってみたい作者】
これだけ安定して更新しているのに頻繁にオフ会にも出没してる焼きガン先生。
でもオフ会出没率が同じく高い私とは一度も邂逅していなかったりする。
地域が離れているので難しいかもしれないが、一度お会いしてみたい。
色んなオフレポ読んでると良くそう思う。
でもイケメンすぎて目が焼かれそうだ。
作品感想じゃないけど作者のキャラが面白そうだったのでつい（笑）