日曜日の朝は早起きだ。オレは居間のドアを開け、冷蔵庫から牛乳パックを取り出すと起動したDVDプレーヤーのシーク音を聞きながらソファの上に散らばっているクッションを自分の都合の良いポジションに持って行ってそれが気持ち良い場所に収まるとテレビのリモコンの赤ボタンを押した。
「やっぱり日曜の朝はプリキ○アだよな!」
オレが拳で殴りあう女の子達のアニメに没頭していると後ろのドアが開いてふわっとしたオイニーが鼻先を撫でた。
「おう、月子起きてたのか」横目で妹を斜め見ると月子はパジャマのボタンを3つ空けて谷間が全開に広がっていた。おいおい朝から積極打撃すぎるだろ。もうちょっとで赤いマルが見えそうだ。オレは咳払いをひとつしてエアコンの風量を『強』にした。
「ほら、月子も座れよ。ぷーりてぃーで、きゅあきゅあでー...」
「ぷーりぷーりでぽよぽでー」「はは、ちげーつの」
月子がラグに腰掛けてテレビの画面に目をやっておそらく見たことがないであろうアニメの歌をオレに続いて口ずさんだ。
「がんばえープリ○ュアー」「イちゃえぇえ」
テレビの尺をきっちり守り、悪役を退ける中学1年生の女の子コンビ。オレは彼女達の活躍を見てる時が一週間で一番幸せな時間なのだった。今回もハートウォーミングなお話だったなぁーンッンー。
次回予告が終わりオレは朝食の準備をしようと立ち上がった。すれ違い間際に妹のヘンな寝癖を手びねりすると(谷間を覗き込むのも忘れずに)「晩飯の残り物と茶漬けでいいか?」と尋ねてキッチンに向かいだした。
「うん!月子、マツタケのお吸い物、だいすきぃいいい!!!」
「鮭茶漬けしかねーっての。ん、オマエまさか!」
オレが振り返ると月子は両腕を股にはさんでビクンビクン肩を上げ下げして口の中で言葉を舐めまわしている。
「おい!大丈夫か!」
戻って肩をさするとアへ顔を向けながら妹はオレに向かって言葉をぶつけ始めた。
「ち○こ、ち○こ、ち○こ、ち○こ、ち○こ、ち○こ、ち○こ、ち○こ、ち○こ、ち○こ、ち○こ、ち○こ、ち○こ、ち○こ、ち○こ、ち○こ」
「ギャァー!!妹の月子がエッチな言葉を連呼するヘンタイ女になっちまったー!!」
「なにィ!?ダイスケおめぇ、また月子におかしなことしたんじゃねぇだろうなぁ!?」
オレが月子の異変に驚愕しているとオヤジが障子を突き破らん勢いで部屋のふすまを開けた。「ち、違うよ今回は月子が勝手に」「ああ?月子がヘンタイみてーなこと言うわけねぇだろ。月子はおまえと違って清らかな心をもつ中学3年生...」
「あれ、見て」「ホッ、ホアー!」オレが指差すと月子は朝食がてらに冷蔵庫から取り出した野菜スティックのきゅうりを舐め食いし始めた。指についた味噌をちゅぱり、としゃぶりあげるとハン、と恍惚の表情をオレ達に向かって見せた。
「なぁ、どうしたんだ月子?」
娘の月子をたいへん大事に育てているオヤジがよたよたと月子に近づいた。
「月子、そんなことする子じゃなかったよなぁ?そんなはしたない食べ方はやめなさい?」
「はぁ、硬いの舐めるの、きもちいい...」
オヤジの言葉を無視するように月子はにんじんのしゃぶり食いを止めない。様子を見かねてオレはふたりに声をあげた。
「なんだよ、反抗期か?」「月子はそんな馬鹿な娘じゃねぇ!不満があればすぐに言うしおめーと違って学校の成績だって...ああ、それはダメ!」
スティックをまとめてグッポジュッポと咥えだした月子をみてオヤジがよがり声をあげる。「ナニの練習なんでしょうねぇ...」オレはソファに腰掛けて妹の顔を見上げた。ほっぺたを真っ赤に染めて涙目になりながらばりぼり野菜たちを噛み砕き始めている。そしてそれらをごっくん、飲み込むとまたスイッチが入ったように下ネタ16連射が始まった。
「きん○ま、きん○ま、きん○ま、きん○ま、きん○ま、きん○ま、きん○ま、きん○ま、きん○ま、きん○ま、きん○ま、きん○ま、きん○ま、きん○ま、きん○ま、きん○ま」
「ああ、月子」オヤジが膝を折ってその場に崩れ落ちた。その目には涙が浮かんでいた。「なんでこんな低俗な言葉を言う子に育っちまったんだ...」「ハァ、月子の性知識の少なさが幸いしたな」
よかった。作者の性体験は関係ないんだね?
「オヤジ」オレはいまだに頭を床にこすり付けている中年に声をあげた。
「子供は成長するんだ。いつまでも真っ白なままじゃいられない。いつか誰かと混じって汚れるんだ。オレも月子も」
「やめろぉ、ダイスケぇ...オレに偉そうにポエム朗読するんじゃねぇ…!」
「お、おま、おまん」「ん?」オレが月子に視線を向けると妹は耳まで真っ赤にして次なる淫語を繰り出そうとしていた。
「第2フェーズ、来たか...!」
「や、やめろ...それだけは、女の子として...!やめてくれ...」オヤジが力なく月子に手を伸ばした。大きく息を吸い込むと月子は部屋中に響き渡る声でエモーショナルなその言葉を振り絞った。
「東京穂弩羅いし松あんのじょうワレメ先生ぇぇえええええ!!!!!」
「グローバルオーガニゼーションッッ!!!」
妹の下ネタを大声でかき消そうとする親父。直前で直接的な表現を回避するという妹の“圧倒的成長”を|目《ま》のあたりにすると入り口のドアがドンドン!と強く鳴らされた。
「ちょっと!あんた達日曜の朝から何トチ狂ったこと言ってんのよ!」
「そうよ!子供が起きちゃったじゃない!」「ヘンタイ一家、出て行け!」
「近所のおばはん集団じゃん...」ウチの団地は壁が薄く、隣近所の生活音が丸聞こえというとこもあって、オレ達は近隣の住民達からマークされていた。オレが入り口に舌打ちを飛ばすとオヤジがゆっくり立ち上がってベランダに繋がる窓をカラカラ開けた。その間も罵声を上げながらドアが強く殴りつけられている。
「ここはオレが食い止める」振り返ってオヤジはオレ達兄妹に言った。
「ここの柵からロープを垂らすからダイスケの自転車でお前たちは逃げろ」
「オヤジ...!何を言って...!?」「しなしなち○こ...」「さぁ行け。ダイスケ、おまえが先だ。月子に何かあったら承知しねぇぞ」
オレ達はオヤジの指示通り3階から下ろされた緊急脱出用のロープを使って1階の砂利道に着地した。月子のパジャマがぷるるんるん、とゆれると「のわー!!」という悲鳴がさっきまでいた部屋から轟いた。それがオヤジの断末魔にならないことを祈りたい。
オーケー、状況を整理しよう。まず妹の月子がエッチな言葉を連呼するヘンタイ女になっちまった。そしてこれを何とかできるのは兄であるオレしかおるまい。オレは月子の手を引っ張って駐輪場まで向かうと中学卒業まで乗っていたママチャリのキーを差し込んだ。
「ここにはいないわ!」薄板の天井がドタドタと鳴り、足音が降りてくる気配がある。「きっと下に降りたんだわあの馬鹿兄妹!」「やべっ、早くしろ月子」
オレはチャリにまたがると月子を手招きして荷台に座るよう言った。
「いたわ!あそこよ!」ちりちりパーマのおばはんがこわい顔でオレを指差した。
「毎日毎日うるさくて眠れないじゃないのよぉ!おかげで肌が荒れちゃったわ!今日こそ家族まとめて大家の前に連れ出してやるんだから!」
「うるせー!だまれ!腐れ羊水閉経クソババア!」「うにゅ」
その時だった。オレの背骨に電流が走った!「ホ、ホアッツマイケル!」
月子のノーブラおっぱいがオレの背中に当たったのだ。薄絹一枚越しにお湯の入ったふたつの水風船がぽよんと上下した感覚をオレは背中で体感した!
しかしその隆起は兄がすべき使命感とおばはんのトカゲ顔で一瞬で収まった。
「よし、おにぃちゃんがなんとかしてやるからな!」
オレはチャリを動かし始めて携帯を操作した。緊急事態に頼れるのは友達だ。オレはEメールを一斉送信するとチャリのギアを変えてペダルの漕ぐ力を強めた。
「安心しろ。お兄ちゃんがついてる」
下ネタレパートリーが尽きたのか月子は理解しがたい言葉を呟き始めている。
「ホタルイカ、運河の街、幸運の道化師、夜空への空中橋、ホタルイカ、蝦夷城、ヤマツツジ、祭り舟、ホタルイカ、灼けた大地、サブロウ、西海岸の少年、ひつじ肉、秘密のレイモン」
「天国に行く方法!?」
☆動き出した車輪!後半に続く!
団地、ピンチ!w 淫語ロイドと成った妹!
「さぁ、入ってくれ。どうぞ」「おう...」「はぇ~、すっごくおおきい...」
午前1時少し前、チミモーリョーと化した団地を抜け出した俺と月子はスメラギの家に招かれた。
廊下には結構な額がするであろう骨董品が並んでいてその奥にある『 TATHUKI 』と札が付いた部屋に入ると俺たちはゆっくりと腰を下ろした。
「まさか本当にお前からメールが来るとな」スメラギは嬉しそうに俺らを見て笑った。友達居ないなこいつ。
「困ったときに頼れるのは友達だからよ」俺が答えるとひとつ咳払いをしてスメラギは月子の胸元から目を逸らした。女に免疫ないなこいつ。
「なんだ、おまえやっぱりオレの力が必要というわけか?」
「いや、違う。なごっチとよつ君にメール送ったはずなんだけど、なんだか駄右衛門ってヤツやデーモンさんからメールが返ってきてよ」
「お前...まぁいい」哀れんだ目を向けながらスメラギは首を振った。「それでお前の妹の事だったな」ちらりと目をやるとスメちゃまはぶつぶつと小声でつぶやき始めた。ここで彼の口元にマイクを寄せてみよう。
(この女、オレの部屋に上がってからもう42回も陰茎の幼児語を連呼してやがる。やっぱり脳みそ海綿体野郎の妹はそうなのか?)
「ちょっと!コソコソわたしの悪口言わないでよ童貞きん○まびんぼっちゃま!」「ちょっと月子!」
団地を抜け出してはや3時間。月子の症状は悪化の一途を通るばかりで初対面のスメラにもトラウマレベルの下ネタをぶつけてしまう。「いや、俺は童貞じゃないぞ?」平静を取り繕いながらスメラギが弁解する。
「中学時代吹奏楽部に所属していた俺は夏の強化合宿に参加したんだ。あれは2年目の夏のことだった。場所は都市部の市内で俺たちは名のある国際ホテルに宿泊した。まぁこの家と比べれば大したことのないグレードだったがな。俺の部屋は二人部屋だったが同部屋になる予定だった男が大会当日に欠席してな。そのため俺の部屋は一人部屋となった。そして大会二日目の夜先輩の女、名前は忘れちまったがいい女だった。彼女が俺の部屋のドアをノックし部屋に招きいれると汗ばんだジャージの下には何も着ていなかった。抱きつかれてベッドに押し倒され相手に求められる形で俺の初めての性体験は始まった。俺は服を脱ぎ捨てると彼女と唇を合わせ剥き出しになったお互いのそれを擦り合わせてシーツの上で乱れると彼女が俺のものを欲しいと言い出した。俺は困惑した。避妊具を持っていなかったから。しかし彼女はそれでもいいと言った。いや、それが良いと聞こえたのは俺の気の迷いか?何度か挑戦して踏み入れたその地は温かく俺のすべてを包み込む安心感があった。彼女もまた幸福感で満たされた微笑を浮かべていた。俺は静かに腰を動かした。彼女が快感に陶酔するような瞳で俺を見つめる。俺はそのスピードを速める。このまま快楽を浴びていたいという気持ちと更なる絶頂を得たいという気持ち。俺はそのふたつの衝動に本能を鷲掴まれながら夢中で腰を振った。ベッドが壊れそうだった」
「おら、客人にお茶だせよ。カンカンに入ったやつあるだろ。お前んち金持ちなんだから」「お前。。。」
ホラ話を語りだすスメラギを見て呆れて話の腰を折る。月子は話のビートを打つようにち○こ、ちち○こ、ち○こと小刻みに肩を揺らしていた。
「それがもてなしてもらう人間の態度か...うん?...下世話な言葉の連呼、お茶、そうか、すべてが繋がったぞ!」
原西のネタのように手をぽん、と叩くと頭に電球を浮かべながら(実際は浮かんでいない。漫画じゃねぇんだから)スメちゃまは俺たちに声を張った。
「妹の症状はひゃっくりだ!きっと寝る前に淫らなことでも考えていたんだろう。お前の妹だからな」
「まじかよ!?」月子に目をやると淫語を飲み込むように口を膨らませてこくこくとヘドバンを始めた。なるほど。それならなにか食べ物を食べてその症状を抑えようとした行動にも辻褄がつく。かもしれない。
「解決方法があるのか!?」「ああ。うちの紅茶キノコを見舞ってやる。あまりの苦さに屋根裏のねずみだって気絶するレベルのヤツだ」「お前んちネズミ出んのかよ!」「突っ込みどころそこかよ...まぁ、いい。すこし待ってろ」
スメラギが立ち上がると緊張の糸が切れたのか、ぶはっと息を吐いた月子が部屋中に響き渡る大きさで声を震わせた。
「あっあっ、ひぃやぁぁあああんんぁああああ!!」「普通に喘ぐな!」
その時だった。嬌声に反応してスメラギの履いているズボンの股部分が大きく跳ね上がった。「あっ」とオレが声を出すより先に月子が膨張したソレを指差した。
「こら!なに勃↑起↓している!」「ち、違う誤解だ」思わず中腰になったソイツを見て俺は月子にネタぶり。
「勃起鑑定士マーラーディックソンさん、お願いします!」
「ウ~ン、、、GooooooN!!!」
「クロスチョップハリケーンスペシャル!!」「ツァ!イテェ!」
ボッキメンに正義の鉄槌を食らわすと衝撃で押し出されるとようにしてスメラギははけて行った。
「やったな月子!これでやっと淫語ロイドから人間に戻れるな!」「黙りなさい!この早漏!」
「なに!?お兄ちゃんは遅漏で休み時間にトイレに渋滞ができるのを知らんのか!?」
「おう莫迦兄妹、これだ」
スメラギがドアを開けると茶色い液体の入った大きなビンを抱えてドアを開けた。「うげぇ、それ」まがまがとした見た目から開栓した未来のニオイが伝わってくる。
俺が鼻をつまむと月子が立ち上がって凄い勢いでスメラギが持つそのビンに駆け寄った。
「きのこーー!!」「ッアァッ!何をする!やめっ!」「月子!」
スメラギを押し倒すと月子は紅潮した顔で転がったビンの中身をねだるように舌を這いずらせた。
「はぁぁああ。月子スメちゃんのちっちゃいキノコ欲しい...」「やめろ!この、ちっぽけな小娘がっ!」
またがった月子のふくらはぎに触れるスメラギの怒張したソレがズボン越しにゆっくりと伸びて妹の股下にぶっ刺さった。
プチン。俺の中で細いワイヤーが切れる音が鳴り響いた。目の前で妹が汚されるという兄としての最大の屈辱。これは殺しても構わないだろう。
オレは壁にかけてあったバトルアックスの柄に手をかけた。「てめぇ、よくも人の妹を...」「ち、違う誤解だ」
「どいてろォ、月子!」「きゃあぁああ!!」「わあああ!殺されるッ!!」
俺が斧を振り下ろす瞬間、間の前が硝煙で包まれて体が後ろに吹き飛んだ。「なんだ!?」俺は衝撃で壁に叩きつけられた。「租ちん○ん!」月子が心配しておにいちゃんの言葉の置き方で俺の大事なところに向かって叫ぶ。
「私の名はファン・ウェルメスケルケン・彩子!」
部屋の煙が薄くなると立ち上がったスメラギの横にメイド服を着た体格の良い女がバズーカ砲を肩に担いで俺たちに見得を切った。
「うちの召使だ」スメラギが紹介するとつりあがった眼鏡をかけたその女は俺たちの前に出て高慢ちきな喋り口で語りだした。
「私はイギリスでメイド修行をしていたところタツキぼっちゃまのお父様から命を受けこの家に仕えてきた。ぼっちゃまに手出しする者は友人だろうが許さ...」
「男女平等ぱーんち」
「んな!?」「なにをする!?」
ズンズンと歩いて女の顔にグーパンを食らわすと倒れたそいつの髪を掴んでこう言ってやった。
「おめぇら話し出すと一々なげぇんだわ!感想書いてもらうんだからさ!ちゃんとやろうよ!漫画じゃねぇんだからさ!」「そんな正論を...」取り乱すスメラギタツキ。
「こ、この頭の弱い高校生が...!」年増女が立ち上がって再びバズーカを構えた。「いまだ月子!」俺が月子に合図を出すとご丁寧に“LOCK”と書かれたレバーをサッと横に引いた。「何っ!?」
オバンが引き金を引くと勢いよくバズーカが破裂し、破片と衝撃でスメラギとメイド女が吹き飛ばされ壁に体が童夢くんのようにめり込んだ。
「|万歳《ヴィクトリア》!」硝煙が止み指を跳ねると俺はその場で飛び上がった。「その決め台詞は流行らないし流行らないせないわよ」
「おい月子おまえ」「あっ」口元の手を当てる妹を見て俺はその手を握った。
「な、治った!」「淫語ロイドから人間に直ったぞ!」「やったぁ!」
「め”ぇむ”」月子が抱きついて俺はその場に崩れ落ちた。「なんだか分からんが良かったな」スメラギが俺らを見て鼻の下をこする。「フン!次会ったら覚えてなさい!」捨て台詞を残して忍者のような身のこなしで年増メイドは姿をくらませた。
「おいそろそろ放せよ月子」久しぶりだった兄妹水入らずの大冒険。抱きついた時小声で「しあわぁせ」と月子が言ったのは気のせいじゃなかったと思っている。
この一件で俺たち兄妹は仲良くなった。(意味深)とかじゃなくて純粋に兄妹としてお互いを見て話せるようになった。
この後スメラギの勧めで月子を病院に連れて行ったのだけれど、咽喉科と聞いて親父は淫行科と勘違いしてなぜか延髄蹴りをくらった。
これだから中卒ド底辺クソ土方は嫌なんだ。おかげでせっかくこないだの喧嘩で治りかけていた首の筋を痛めてしまった。馬鹿たれが。
その後スメラギはいたいけな女子中学生の柔肌にいきり立ったソレを押し当てた後ろめたさから取引先の建設会社をウチの団地に派遣して大規模な改装工事が行われた。
騒音トラブルに悩まされていたというオバハン集団は皇コンツェルンからの高価な粗品を受け取ってホクホク笑顔になり、団地に平穏が戻り始めていた。。。!
「んねぇ。おねぇさんと、きもちいいこと、してみない?」週明けの朝、俺が携帯に向かって女声を作っているとふすまががらっと開いて制服姿の月子が顔を出した。
「ちょっと!クソ兄貴、朝から何録音やってんのよ!」「おい!マイクに余計な音声が入っちまったじゃねぇか!」
「うわ!彼女居ないからって自分用のおかず自炊してんの!?もー、むりむり!まじできもいきもいマウンテン!」「こら、月子!」
妹を追って俺は改装作業中のブルーシートを蹴って団地の通路を駆け出した。梅雨が止み、まぶしい太陽が月子の夏服のブラを透けさせている。俺は大きく鼻から息を吹き出す。俺たちの青春は始まったばっかりだ!
午前1時少し前、チミモーリョーと化した団地を抜け出した俺と月子はスメラギの家に招かれた。
廊下には結構な額がするであろう骨董品が並んでいてその奥にある『 TATHUKI 』と札が付いた部屋に入ると俺たちはゆっくりと腰を下ろした。
「まさか本当にお前からメールが来るとな」スメラギは嬉しそうに俺らを見て笑った。友達居ないなこいつ。
「困ったときに頼れるのは友達だからよ」俺が答えるとひとつ咳払いをしてスメラギは月子の胸元から目を逸らした。女に免疫ないなこいつ。
「なんだ、おまえやっぱりオレの力が必要というわけか?」
「いや、違う。なごっチとよつ君にメール送ったはずなんだけど、なんだか駄右衛門ってヤツやデーモンさんからメールが返ってきてよ」
「お前...まぁいい」哀れんだ目を向けながらスメラギは首を振った。「それでお前の妹の事だったな」ちらりと目をやるとスメちゃまはぶつぶつと小声でつぶやき始めた。ここで彼の口元にマイクを寄せてみよう。
(この女、オレの部屋に上がってからもう42回も陰茎の幼児語を連呼してやがる。やっぱり脳みそ海綿体野郎の妹はそうなのか?)
「ちょっと!コソコソわたしの悪口言わないでよ童貞きん○まびんぼっちゃま!」「ちょっと月子!」
団地を抜け出してはや3時間。月子の症状は悪化の一途を通るばかりで初対面のスメラにもトラウマレベルの下ネタをぶつけてしまう。「いや、俺は童貞じゃないぞ?」平静を取り繕いながらスメラギが弁解する。
「中学時代吹奏楽部に所属していた俺は夏の強化合宿に参加したんだ。あれは2年目の夏のことだった。場所は都市部の市内で俺たちは名のある国際ホテルに宿泊した。まぁこの家と比べれば大したことのないグレードだったがな。俺の部屋は二人部屋だったが同部屋になる予定だった男が大会当日に欠席してな。そのため俺の部屋は一人部屋となった。そして大会二日目の夜先輩の女、名前は忘れちまったがいい女だった。彼女が俺の部屋のドアをノックし部屋に招きいれると汗ばんだジャージの下には何も着ていなかった。抱きつかれてベッドに押し倒され相手に求められる形で俺の初めての性体験は始まった。俺は服を脱ぎ捨てると彼女と唇を合わせ剥き出しになったお互いのそれを擦り合わせてシーツの上で乱れると彼女が俺のものを欲しいと言い出した。俺は困惑した。避妊具を持っていなかったから。しかし彼女はそれでもいいと言った。いや、それが良いと聞こえたのは俺の気の迷いか?何度か挑戦して踏み入れたその地は温かく俺のすべてを包み込む安心感があった。彼女もまた幸福感で満たされた微笑を浮かべていた。俺は静かに腰を動かした。彼女が快感に陶酔するような瞳で俺を見つめる。俺はそのスピードを速める。このまま快楽を浴びていたいという気持ちと更なる絶頂を得たいという気持ち。俺はそのふたつの衝動に本能を鷲掴まれながら夢中で腰を振った。ベッドが壊れそうだった」
「おら、客人にお茶だせよ。カンカンに入ったやつあるだろ。お前んち金持ちなんだから」「お前。。。」
ホラ話を語りだすスメラギを見て呆れて話の腰を折る。月子は話のビートを打つようにち○こ、ちち○こ、ち○こと小刻みに肩を揺らしていた。
「それがもてなしてもらう人間の態度か...うん?...下世話な言葉の連呼、お茶、そうか、すべてが繋がったぞ!」
原西のネタのように手をぽん、と叩くと頭に電球を浮かべながら(実際は浮かんでいない。漫画じゃねぇんだから)スメちゃまは俺たちに声を張った。
「妹の症状はひゃっくりだ!きっと寝る前に淫らなことでも考えていたんだろう。お前の妹だからな」
「まじかよ!?」月子に目をやると淫語を飲み込むように口を膨らませてこくこくとヘドバンを始めた。なるほど。それならなにか食べ物を食べてその症状を抑えようとした行動にも辻褄がつく。かもしれない。
「解決方法があるのか!?」「ああ。うちの紅茶キノコを見舞ってやる。あまりの苦さに屋根裏のねずみだって気絶するレベルのヤツだ」「お前んちネズミ出んのかよ!」「突っ込みどころそこかよ...まぁ、いい。すこし待ってろ」
スメラギが立ち上がると緊張の糸が切れたのか、ぶはっと息を吐いた月子が部屋中に響き渡る大きさで声を震わせた。
「あっあっ、ひぃやぁぁあああんんぁああああ!!」「普通に喘ぐな!」
その時だった。嬌声に反応してスメラギの履いているズボンの股部分が大きく跳ね上がった。「あっ」とオレが声を出すより先に月子が膨張したソレを指差した。
「こら!なに勃↑起↓している!」「ち、違う誤解だ」思わず中腰になったソイツを見て俺は月子にネタぶり。
「勃起鑑定士マーラーディックソンさん、お願いします!」
「ウ~ン、、、GooooooN!!!」
「クロスチョップハリケーンスペシャル!!」「ツァ!イテェ!」
ボッキメンに正義の鉄槌を食らわすと衝撃で押し出されるとようにしてスメラギははけて行った。
「やったな月子!これでやっと淫語ロイドから人間に戻れるな!」「黙りなさい!この早漏!」
「なに!?お兄ちゃんは遅漏で休み時間にトイレに渋滞ができるのを知らんのか!?」
「おう莫迦兄妹、これだ」
スメラギがドアを開けると茶色い液体の入った大きなビンを抱えてドアを開けた。「うげぇ、それ」まがまがとした見た目から開栓した未来のニオイが伝わってくる。
俺が鼻をつまむと月子が立ち上がって凄い勢いでスメラギが持つそのビンに駆け寄った。
「きのこーー!!」「ッアァッ!何をする!やめっ!」「月子!」
スメラギを押し倒すと月子は紅潮した顔で転がったビンの中身をねだるように舌を這いずらせた。
「はぁぁああ。月子スメちゃんのちっちゃいキノコ欲しい...」「やめろ!この、ちっぽけな小娘がっ!」
またがった月子のふくらはぎに触れるスメラギの怒張したソレがズボン越しにゆっくりと伸びて妹の股下にぶっ刺さった。
プチン。俺の中で細いワイヤーが切れる音が鳴り響いた。目の前で妹が汚されるという兄としての最大の屈辱。これは殺しても構わないだろう。
オレは壁にかけてあったバトルアックスの柄に手をかけた。「てめぇ、よくも人の妹を...」「ち、違う誤解だ」
「どいてろォ、月子!」「きゃあぁああ!!」「わあああ!殺されるッ!!」
俺が斧を振り下ろす瞬間、間の前が硝煙で包まれて体が後ろに吹き飛んだ。「なんだ!?」俺は衝撃で壁に叩きつけられた。「租ちん○ん!」月子が心配しておにいちゃんの言葉の置き方で俺の大事なところに向かって叫ぶ。
「私の名はファン・ウェルメスケルケン・彩子!」
部屋の煙が薄くなると立ち上がったスメラギの横にメイド服を着た体格の良い女がバズーカ砲を肩に担いで俺たちに見得を切った。
「うちの召使だ」スメラギが紹介するとつりあがった眼鏡をかけたその女は俺たちの前に出て高慢ちきな喋り口で語りだした。
「私はイギリスでメイド修行をしていたところタツキぼっちゃまのお父様から命を受けこの家に仕えてきた。ぼっちゃまに手出しする者は友人だろうが許さ...」
「男女平等ぱーんち」
「んな!?」「なにをする!?」
ズンズンと歩いて女の顔にグーパンを食らわすと倒れたそいつの髪を掴んでこう言ってやった。
「おめぇら話し出すと一々なげぇんだわ!感想書いてもらうんだからさ!ちゃんとやろうよ!漫画じゃねぇんだからさ!」「そんな正論を...」取り乱すスメラギタツキ。
「こ、この頭の弱い高校生が...!」年増女が立ち上がって再びバズーカを構えた。「いまだ月子!」俺が月子に合図を出すとご丁寧に“LOCK”と書かれたレバーをサッと横に引いた。「何っ!?」
オバンが引き金を引くと勢いよくバズーカが破裂し、破片と衝撃でスメラギとメイド女が吹き飛ばされ壁に体が童夢くんのようにめり込んだ。
「|万歳《ヴィクトリア》!」硝煙が止み指を跳ねると俺はその場で飛び上がった。「その決め台詞は流行らないし流行らないせないわよ」
「おい月子おまえ」「あっ」口元の手を当てる妹を見て俺はその手を握った。
「な、治った!」「淫語ロイドから人間に直ったぞ!」「やったぁ!」
「め”ぇむ”」月子が抱きついて俺はその場に崩れ落ちた。「なんだか分からんが良かったな」スメラギが俺らを見て鼻の下をこする。「フン!次会ったら覚えてなさい!」捨て台詞を残して忍者のような身のこなしで年増メイドは姿をくらませた。
「おいそろそろ放せよ月子」久しぶりだった兄妹水入らずの大冒険。抱きついた時小声で「しあわぁせ」と月子が言ったのは気のせいじゃなかったと思っている。
この一件で俺たち兄妹は仲良くなった。(意味深)とかじゃなくて純粋に兄妹としてお互いを見て話せるようになった。
この後スメラギの勧めで月子を病院に連れて行ったのだけれど、咽喉科と聞いて親父は淫行科と勘違いしてなぜか延髄蹴りをくらった。
これだから中卒ド底辺クソ土方は嫌なんだ。おかげでせっかくこないだの喧嘩で治りかけていた首の筋を痛めてしまった。馬鹿たれが。
その後スメラギはいたいけな女子中学生の柔肌にいきり立ったソレを押し当てた後ろめたさから取引先の建設会社をウチの団地に派遣して大規模な改装工事が行われた。
騒音トラブルに悩まされていたというオバハン集団は皇コンツェルンからの高価な粗品を受け取ってホクホク笑顔になり、団地に平穏が戻り始めていた。。。!
「んねぇ。おねぇさんと、きもちいいこと、してみない?」週明けの朝、俺が携帯に向かって女声を作っているとふすまががらっと開いて制服姿の月子が顔を出した。
「ちょっと!クソ兄貴、朝から何録音やってんのよ!」「おい!マイクに余計な音声が入っちまったじゃねぇか!」
「うわ!彼女居ないからって自分用のおかず自炊してんの!?もー、むりむり!まじできもいきもいマウンテン!」「こら、月子!」
妹を追って俺は改装作業中のブルーシートを蹴って団地の通路を駆け出した。梅雨が止み、まぶしい太陽が月子の夏服のブラを透けさせている。俺は大きく鼻から息を吹き出す。俺たちの青春は始まったばっかりだ!