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人物紹介

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   『第一話~第十一話   序幕・特異家系と都市伝説編』


   人面犬
 種族・妖怪種
 
 浅い歴史の中にありながら、驚異的な伝播速度を以て社会問題にまで発展させた『都市伝説』における筆頭格の一つ。
 高速道路を走る車に追い付くほどの脚力、瞬発力を持つ人の顔を持った犬型の人外。
 運転している人間を恐怖に陥れ事故死させる事件を繰り返していたところ、『陽向』の討伐依頼に挙げられることとなった。
 退魔師・陽向晶納との戦闘の末に敗走。その際に晶納が所持していた神代三剣が一振り、 布都御魂の効力によって強大な力の半分ほどを削ぎ落とされ人面犬としての性質をも大半失う。
 過去編での最盛期人面犬の実力は『陽向』の精鋭を圧倒するほどであり、神剣の決定打無くして勝利はありえないほどであった。この段階であれば同じ都市伝説の口裂け女をも上回るクラス。


   憑百 珀理 (つくも びゃくり)
 種族・人間種(特異家系)

 元々は神職に連なる家系であり、代々から『神降』や『降魔』と呼ばれて来た降霊術“憑依”を得手としてきた一族。その今代当主。
 退魔ならぬ滅魔を掲げる人外殲滅を目指した危険な家系であり、此度も人面犬と妖精の抹殺に出向いてきた。
 語源は遥かな昔、初代当主が自らの身に神霊亡霊の類を百も取り込み、その身で万にも億にも上る数の人外を屠って来たという逸話から来る『憑百』である。


   神門
 種族・人間種(特異家系)

 憑百の非道を阻止すべくやってきた、曰く『最強の特異家系者当主』。自身と珀理との絶対的な力の差を理解した旭の眼前で珀理を完膚無きまでに叩きのめし撤退まで追いやった。


   リリヤテューリ
 種族・妖精種

 人面犬の行いを正す為にやってきた妖精の姫君らしき少女。そこで運悪く『憑百』と遭遇してしまい、襲撃される。
 心優しく、相手が敵意溢れる者や悪意に塗れた者であっても対話を試みようとする逞しい精神も宿しているが、単に世間知らずであるという部分も大きい。
 『憑百』の襲撃を『陽向』と『神門』によって助けられ、人間の善性と悪性に僅かな戸惑いを見せるも、それとは別に旭のことは人格者として好意的に受け止めた。


   レイススフォード
 種族・妖精種

 リリヤテューリを守る近衛の妖精騎士。
 基本的には彼女の無事を第一と捉え、その他を些事であると斬り捨てる極端な面がある。それが強い思い込みにさらなる拍車を掛け、一時は旭と事を構える寸前まで迫った。
 『憑百』を退け安全を確信した後に、リリヤテューリを連れ街を出た。
 

   『第十二話~第二十九話   『仙薬』編・幻獣救出戦線』

   アルムエルド
 種族・|混合二種《ダブルミックス》(妖精種・魔性種)

 喧嘩好きで外界を出歩く極めて稀有な妖精。今回もその一帯を根城にしていると噂されている強大な人外との喧嘩の為にやって来た。
 勝敗にはなるべくこだわるが、死に直面するまでの深い仕合は望んでおらず、戦術も相手によって奇策絡め手を考えて練り上げていく頭の冴えもある。
 『仙薬』の一件にて巻き込まれた中で出会った幼き白銀の少女を切っ掛けとして、彼の真名アルヴの本質による『反転』現象はアルムエルドの性質を魔性種へと変転させた。
 『反転』によって外見が褐色肌、赤茶色の頭髪など大きく変化した上に人外としての性能も魔性の力を得て強化された。


   白 (しろ)
 種族・幻獣種

 『仙薬』を生み出す為に利用されていた白銀の少女。真名ユニコーンにして、その一角に宿る万病を癒す霊薬の効力を悪用され続けていた。
 ユニコーンの起源を基に、その身体にはあらゆる毒性を打ち消し浄化する能力が備わっている。それによる解毒で、アルムエルドは白への恩義、そして保護と銘打った忠義に至った。
 戦闘能力はほぼ皆無だが、幻獣種本来の形態(小柄な白銀馬)へ変化することで多少ながらに能力は向上する。
 事件解決と同時、アルムエルドに連れられ妖精界で保護、養生に努める。


   音々 (ねね)
 種族・魔獣種

 ユニコーンを悪用した『仙薬』の一件に関わっていた人外。組織の一員として従事しているように演じながらも、白の身柄を救出すべくして機会を窺っていた。
 退魔師の襲来を好機と捉え白を助け出そうとしたところをジャドの毒に侵され瀕死に至るが、アルムエルドに救出された白によって解毒を施され一命を取り止める。
 以後、アルムエルドと同様に白への恩義を覚え彼女を過保護なまでに愛すようになる。
 尚、魔獣種と幻獣種は本来は本能的な部分で忌避し合う性質が強い種族同士であるはずだが、それ以上に音々の『可愛いもの好き』が勝ったが為に友好的な関係を築いている。


   瀬戸 (せと)
 種族・人間種

 『仙薬』の一件にまつわる首謀者。大天狗鉄平と手を組むことでユニコーンを捕縛し大金を稼ぐことに成功する。
 “念力”の能力者。物体を浮かせ自在に操ったり、圧力を加えて形を変えたり出来る。
 異能を宿す人間によく見られる、人外関連の騒動(その巻き込まれ)にも何度か遭遇したことがあり、異能の熟達もこの経験があってこそであった。
 その中で傭兵稼業をこなしている鉄平と知り合い、彼を雇うと共にユニコーンの話を耳にして悪しき野望を抱くに至る。
 誤算中の誤算であったアルムエルドの『反転』によって見るも無残な有様と化して死亡。『仙薬』ごと死体は闇に葬られた。


   鉄平 (てつひら)
 種族・妖怪種

 日本三大妖怪が一角、天狗の上位個体。
 高い武力を持ち得ながら、今の世で必要なのは富力であると考え莫大な富を求め金稼ぎの傭兵稼業をこなしていたところを瀬戸に雇われる。
 実際のところ実力は妖怪種においてもかなり上であり、その全力は大江山の大鬼に匹敵するほどだと考えられる(この推測における『大江山の大鬼』とは茨木童子のことであり、酒呑童子を相手にしては万に一つの勝ち目すら無い)。
 自らの天狗という本来の起源を抽出、具現化して放つ流星の一撃・『奥義アマキツネ』を会得しており、これを前にしては神童陽向日和と陽向晶納の二人掛かりでも逸らすのがやっとの威力であった。
 晶納との激戦の末に、大妖怪らしい死闘を演じられたことに満足し最期を迎える。


   ジャド
 種族・妖怪種

 『仙薬』の一件に噛んでいた人外。残虐な性格を有し、ユニコーンの角折りも自ら進んで行っていた外道。
 その真名は七歩蛇。怪奇物の祖とも言われる、浅井了意が記した怪異小説集『伽婢子』に登場する不気味な蛇を起源に持つ人外。
 記されている内容になぞらえ猛毒を扱う能力がある。それは爪や牙を初めとして、唾液や血液等のあらゆる体液に含まれる害毒であり、これを受けた者はたとえ毒に対する強い耐性を持っていたとしても被害を逃れる術はない。
 例外的に退魔師としての真名を以て相性的に打ち勝った日和を前に惨敗し首を刎ねられ絶命する。
 毒という一点において他を圧倒するだけの性質があったが、人外としての戦闘能力は『仙薬』メンバーの中でも最弱の位置にあった。

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   『第三十話~第四十話   憑百編前哨夜戦・択一の分水嶺』

   憑百 珀理
 種族・人間種(特異家系)

 四年前と変わらず滅魔を信条に人外を殺し続けている憑百家現当主。その実力は過去の比ではなく、研鑚と訓練を積み上げてきた旭の四年を異にも介さぬ力を見せつけた。
 旭とリリヤテューリの共闘でも押さえ込むことすら叶わず、一瞬の隙を突いた四門の急襲でかろうじて退けることに成功した。
 人の身を維持したままでは到底不可能と思える力の片鱗を見せた珀理に何かの外法を予感した旭だったが、真相は未だとして不明。


   憑百 琥庵
 種族・人間種(特異家系)

 当主と比べても勝るとも劣らない怪物。生半可な攻撃では傷すら付かない数千数万数億の概念種を取り込んだ降魔の鎧を纏う不屈の滅魔師。
 真名からして何らかの領域を敷くことで付近の概念種を吸引し取り込む機能を有しているようだが、看破することも判明することもないままに四門の助力をもって遠方へ飛ばし、決着は先延ばしとなった。
 

   カナ
 種族・妖怪種

 人面犬が人間の少女に命を救われた果てに得た安穏の日々、それを象徴する新たな名。力は大きく減衰し弱体化したが、代わりに人を愛する心を手に入れた。
 主である奏を喪ったことで生きることを手放そうとしたところを旭に諌められ、生きる意味を見出す為に生き長らえることを決意。
 現代編第一章十五話のカナの独白にて語られる『彼』とは他ならぬこの時期の陽向旭のことである。


   四門
 種族・人間種(特異家系)

 神門家に仕える一族の一人。四方の門の守り人にして空間の接続と跳躍を得意とする。能力の詳細は不明だが、遠距離でも一息で跳べる模様。同様に力を使って敵を遠い地へ強制転移させることも可能なようだ。
 彼に付き従う双子の巫女、冬夏と秋春も相応の力を宿し、意表を突いた不意打ちとはいえど憑百琥庵に一矢報いて見せた。
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