あとがき
この作品の始まりは、マンガボックスインディーズからのメールでした。
「アマチュアの方にWEB漫画の応募をする。そこにあなたも作品を投稿してみませんか?」という旨の内容であったと記憶しています。
ページ数もジャンルも自由とのことだったので、得意ジャンルであるストーカーを題材にした読み切り漫画を描きました。いつもよりも丁寧に。
ところがいざ始まってみると、どうやらそのイベントは連載を視野に入れたものだったことが判明しました。一話完結で満足していたはずが、無理矢理話を引き延ばして描き続けることになってしまいました。
読者の方たちの反応は最初は好意的でした。ありがたいことに第一回ランキングでは総合5位にまでなりました。しかし、たくさんいただいたコメントが次第に怖くなってきました。
まだマンガボックスインディーズ自体が始まったばかりだったこともあり、また新都社よりも読者の年齢層が少し低かったせいか、悪意とも取れるようなコメントが混じるようになっていました。
本来なら嬉しいはずの催促コメントすら恐ろしくなり、遂には本拠地と考えていた新都社のコメントまでも恐怖の対象となってしまいました。
ただ、「物語をえがきたい」という気持ちが消えることはなかったため、作品を投げるという考えは浮かびませんでした。
そこで思いついたのが、漫画という形ではなく文章でこの物語を進めてはいけないだろうか。ということでした。
自分で書くという選択肢もありましたが、「描きたい」「でも反応が怖い」という強迫観念に囚われ視野が狭くなっている自覚があったため、プロットを元にどなたか代わりに書き上げてくれる方がいないだろうかと善意に甘えることを選びました。
正直なところ、わらにも縋る思いでつぶやきました。
「どなたか、この漫画のノベライズを引き受けてくれませんか?」と。
そこで興味を持ってくださったのが硬質アルマイトさんでした。
『ねむりひめがさめるまで』など、もともとアルマイトさんの作品に感銘を受けてフォローをさせていただいていたので、名乗りを上げてくださった時は自分の目を疑いました。
マンガボックスインディーズは公開停止にしてヤングワロスに載せた漫画原稿と、とても雑な最後までの簡単なプロットをお預けして、この合作は動き出しました。
文章化された作品を拝読するのがとても楽しみになりました。
モノクロの線画でしかなかった自分が生み出したキャラたちが、アルマイトさんの筆に乗ることで色がつき、それぞれの考えを持って動き出す様子に毎回感動していました。
自分の力だけではここまでの肉付けは到底無理だったことでしょう。
プロットではぼんやりしていたラストも意味を持ち、あらゆる可能性のある物語の終焉を読み手自身に紡ぎだしてもらえるように結ばれました。
合作が決まった時から今この瞬間も、アルマイトさんに頼み、快諾していただけたことが嬉しく歓喜の気持ちが私の語彙力では表現しきれません。
今後は、アルマイトさんが完成させてくださったこの作品を元にコミカライズをする予定でいます。
リメイクとも取れますが、「アルマイトさんの作品のコミカライズ」がしたいのです。
いつかどこかでお目見えできればと思います。
私生活やご自身の創作など、多忙な中こんなにも素晴らしい小説に仕上げてくださった硬質アルマイトさん。
そして、漫画版や小説版を読んでくださったり、それぞれに応援の声をかけてくださったり拡散してくださったり、コメントをくださったりしたたくさんの方々に心からの感謝を込めて。
真純